ウィーン・セレナーデ
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2004年6月5日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ヴァイオリン:6代 シャンドール・デッキイ・ラカトシュ
ヴァイオリン:7代 シャンドール・デッキイ・ラカトシュJr
チター:ローマン・マァルティン
ピアノ:ヴァレェル・ヘェゲェドュゥス
 
第1部

Violon & Piano
1.連曲
  a.いつかまた逢えるよ
(エロォシュ作曲)
  b.それは美しくない、そうじゃな・・、と皆が言う(作者不詳)
  c.パガニーニ チャルダッシュ(S.ラカトシュ作曲)
2.バラトン湖の想い出(フーバイ作曲、S.ラカトシュ編曲)
3.真のジプシー民族(ビィハリィー作曲、S.ラカトシュ編曲)
4.ヘイ、ジプシー!(カールマン作曲)
5.タイスの瞑想曲(マスネー作曲)
6.カナリア(ボォリアキィン作曲)
7.ホラ・スタッカート(ディニク作曲)

Zither
1.ウィーンはいつもウィーン
(シュランメル作曲)
2.ウィーン、我が夢の町(ズィーツィンスキー作曲)
3.連曲
  a.プラターに再び花が咲き・・・
(シュトルツ作曲)
  b.菩提樹(シューベルト作曲)
4.連曲
  a.ほら、チターの調べ
(モーツァルト作曲)
5.ケルテン歌曲マーチOp.80(サイフェァルト作曲)
6.山嶺の春(フロインドルフェァル作曲)
7.心の道(フロインドルフェァル作曲)
8.コルネリア(マァルティン作曲)
9.第三の男(アントン・カラス作曲)

(アンコール)
良い年
(マルティン作曲)
ヨハン大公のヨーデル(民謡)

(休憩20分)

 

第2部

Violon & Piano
1.老ジプシー
(コンドォール作曲)
2.哀悼、求め、そして早く(マイティンシュッキイー作曲、S.ラカトシュ編曲)
3.連曲
  a.私も絹の襟巻きもってます・・・
(作者不明、S.ラカトシュ編曲)
  b.ビールが一杯、ワインが一杯・・・
(作者不明、S.ラカトシュ編曲)
  c.悪魔のチャルダッシュ(ラァッツ作曲)
4.ウィーン奇想曲Op.2(クライスラー作曲)
5.スタッカート・カプリッチィオーソ(S.ラカトシュ作曲)
6.ロマンス(S.ラカトシュ作曲)
7.ワルツ、ガラスの共鳴(ボォーランジェ作曲)
8.蜂(シューベルト作曲、S.ラカトシュ編曲)
9.チゴイネルワイゼン(サラサーテ作曲)
10.「24の奇想曲」作品1より第13曲「悪魔の笑い」(パガニーニ作曲)
11.春の陶酔 第3番Op.32(シィンティング作曲)(ピアノ独奏)
12.セレナーデ変ホ長調(T.ラカトシュ作曲)
13.ノクターン変ホ長調(ショパン作曲、サラサーテ編曲)
14.アルプスの南の門に望む・・・(フイッシェアル作曲)

(アンコール)
剣の舞
(ハチャトゥリアン作曲)
ルーマニアのひばり(民謡)
チャールダッシュ(モンティ作曲)

 
 

 東京出張から新潟に帰り、その足でりゅーとぴあへ向かいました。「ウィーン・セレナーデ」と言われてもどういうものか想像できないですが、ウィーン情緒いっぱいな演奏なのだろうと期待して会場に赴きました。
 チラシによればハンガリーの名門音楽家系のラカトシュ家の6代目と7代目が共演し、チター奏者としてオーストリアを代表するマァルティンが出演するとのことです。
 ラカトシュと言うと、DGからCDをいろいろ出して超絶技巧で奇才ぶりを発揮するロビー・ラカトシュがまず思い浮かぶのですが、それとは別です。ちょっと紛らわしいですが実際はどういう関係なのでしょうか。ちなみに、ロビー・ラカトシュ率いるラカトシュ・アンサンブルは10月31日に新潟来演予定です。

 さて、新潟駅で軽食を取り、初夏を思わせる陽気の中汗を拭き拭き会場に到着。チラシ集めをしてからホールに赴きました。今回は3階席の発売はなかったのですが、それでも空席がちょっと目立ちました。私の席はDブロックのA席ですが、一番Sに近いAを苦心して選んだので、なかなかいい席でした。

 まずはヴァイオリンとピアノの演奏。最初は7代目のラカトシュの演奏。その後6代目が登場。6代目はサービス精神旺盛で客席に出向いて演奏。ウィーンの街角の流しの演奏、あるいはレストランやカフェでの演奏を思い浮かべさせます。結構難しそうな曲をさらりと苦もなく弾いてみせます。あまりにさらさらと演奏してしまうので、情感に欠ける面もあります。
 第1部後半はチターの独奏。チターの音色はウィーンの香りたっぷり。しかし、これまたさらりと演奏してしまうので、情感豊かとはいえません。音量が小さいのも難点。もっと小さなホールで聴きたいところ。腕に抱えて運べるほどの小ささなのに、結構低音が出るのには驚きました。

 後半の第2部は再びヴァイオリンとピアノ。スピーディで軽やかな演奏が続きます。難曲であるはずのチゴイネルワイゼンもさらさらっとただの小品であるかの如く弾いてしまいます。6代目、7代目とも甲乙付けがたく、どちらもいい味を出しています。アンコールで盛り上げてコンサートは終了しました。

 コンサートが終わって、充実感があると思いきや、ちょっとしたむなしさが残ります。ジプシーヴァイオリンのこういう曲、こういう演奏は、ホールでかしこまって聴くより、街中で食事をしたり、酒を飲んだりしながら聴くのがいいのだろうと思います。どの曲も同じようにさらりと演奏してしまうので、フェイントをかけられたように欲求不満になってしまいます。もっと緩急のメリハリを付けて、情感豊かな演奏も散りばめてほしかったというのが実感でした。終演後サイン会があったようですが、家路へと急ぎました。
 

(客席:2階D5-21、A席2250円:会員割引)