東京交響楽団 第11回新潟定期演奏会
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2001年4月1日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:秋山和慶
ハープ:吉野直子
メゾ・ソプラノ:秋葉京子、テノール:ペーター・スヴェンソン
 

細川俊夫:ハープ協奏曲「回帰」(2000/2001)−辻邦生の追憶に−(東京交響楽団委嘱新作) 
         ハープ:吉野直子

(休憩20分)

マーラー:交響曲「大地の歌」

         メゾ・ソプラノ:秋葉京子
         テノール:ペーター・スヴェンソン

 

 
 

 今日から4月というのに天候不順。みぞれ混じりです。久し振りの定期演奏会であり楽しみにしていましたが、体調は今ひとつ。会場でゆっくりしようと早めに出かけたのですが、ヨドバシでの買い物の後渋滞に巻き込まれ、結局開場時間をかなりすぎてからの入場となりました。
 開演前のホワイエでは専属オルガニストの吉田恵さんによるポジティブオルガンの演奏が始まっていました。小型のオルガンながら、柔らかな音色を響かせていました。

 さて、会場は7分程度の入り。S席エリアは満員ながら、他は空席が目立ちます。開演時間をかなり過ぎてから1曲目の演奏開始。新作であり、当然初めて聴く曲。こういう現代曲は、精神の集中を強要されるので、聴く方も疲れます。メロディーではなく、音色、響きを自分の感性を総動員して感じ取らなければなりません。
 現実の生活の中では、響きを感じ取るための静寂の場を見つけだすことは困難でありますし、雑念の中で精神集中することは難しく、心の余裕もありません。コンサート会場でもなければこのような精神集中はできないですし、定期演奏会でもなければ、自分から進んで金を払って聴くこともないでしょう。
 心にしみ入る音色、ハープとオケのせめぎ合いの妙。これくらいは私にも感じられましたが、それ以上感じ取るだけの感性を、私は有していません。あとは美しい吉野さんの姿に感銘していただけです。客席には作曲者がいて、カーテンコール時にステージに招かれていました。まだ若く、今後の活躍が期待されます。

 後半は、楽しみにしていた「大地の歌」。実演で聴くのは初めてです。楽しみとは言っても、マーラーの交響曲の中でも好きな曲ということではありません。単に初めてだからという理由。曲は単調な印象を受け、全曲通して聴くことはほとんどないです。今回の定期を前にして、バーンスタインのCDを聴いてみましたが、恥ずかしながら第1楽章を聴いた後から眠くなり、うとうと。第6楽章「告別」でハッとして気を取り直す、という始末。いつも「告別」を聴くだけで、全曲聴いたような気分になっていました。
 と言うことで、本日は体調思わしくないことも重なり、精神集中できぬまま、少々退屈しながら曲が進みました。第1楽章、テノールの声がオケに埋もれてよく聴き取れません。楽章が進んで、ときどきオケのきれいな響きに我に返りますが、ダイナミックな曲ではないので、少々意識レベルがダウンします。ようやく「告別」で気合いを入れます。
 秋葉京子さんの熱唱が心に響きます。最後のあの「Ewig...ewig...」の繰り返しは何とも切なく哀しく心にしみます。チェレスタの音があんなに効果的に使われていたなんて、CDを聴くだけではわかりませんでした。
 少々疲労感いっぱいだったおですが、心地よい疲労感に変わりました。たまにはこういう精神集中も必要でしょう。秋山さんの指揮がどうだったのかを論ずるだけの実演経験、曲への理解、思い入れはないので、この辺でよしとしましょう。
 

(2階C*−*)