オーケストラ・アンサンブル金沢 新潟定期公演
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2000年3月15日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:岩城宏之
ヴァイオリン:マイケル・ダウス
 
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35 (Vn:マイケル・ダウス)

(アンコール) 曲名不詳

(休憩)

ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 作品92

(アンコール) 曲名不詳

 
 
 
 久しぶりのコンサートです。例によって、北陸道を飛ばし、開演間際に到着しました。今月初めにチケットを購入したときはまだ空席がたくさんあったのですが、客席はまずまず埋まっていました。昨年から新潟定期演奏会と銘打ってコンサートを開始しており、どんなオケか気になりましたので初見参ということに相成りました。

 オケは小編成ですので、ステージ中央にこぢんまりと配置。楽員は国際色豊富です。オケ全体に占める外国人の割合は日本一ではないでしょうか。また、女性のステージ衣装が上品ながらもカラフルなのは好感が持てました。何も黒一色である必要はないですよね。チューニングが終わって、岩城さんの登場。久しぶりにお姿を拝見しました。

 さて、1曲目は弦楽だけのアンサンブル。このオケの規模にはちょうどいい選曲でしょう。きれいな弦の音を聴かせてくれました。
 2曲目は、このオケの特別コンサートマスターもつとめるダウスの独奏でのコンチェルト。いわば旧知の間柄であり、息のあった演奏を聴かせてくれました。このような小編成のオケでの演奏は初めてでしたが、絶対的音量は仕方ないものの、迫力いっぱいの熱演でした。楽員・指揮者とも拍手で好演をたたえていました。アンコールにも応え前半の終了。

 休憩後、後半はベートーヴェンです。7番はベートーヴェンの交響曲の中では、個人的には最も好きな曲です。昔、未来惑星ザルドスという映画があり、この中で第2楽章が効果的に使われていました。赤ちゃんが生まれ、成長し、大人になり、年老いて、土に帰る。こんな人生の繰り返しの中で人類の歴史が積み重ねられてきました。ちょっとはかなさ、むなしさを感じますが、それが人生、それが生命というものです。映画の最後の場面でこの曲とともに訴えかけているように感じました。
 また、昔、FMレコパルという雑誌がありました。FMfan、週刊FMの牙城をくずさんと小学館が発行した雑誌です。この創刊号に手塚治虫のマンガが載っていました。たしか不滅のアレグレットというようなタイトルで、フルトベングラーとナチスについて、第2楽章アレグレットを題材として描かれていました。ここでフルトベングラーという指揮者を初めて知りました。こんなこともあり、7番、特に第2楽章を聴く度に様々な思い出が浮かんできます。

 話が横道にそれてしまいました。コンサートマスターは先ほどのダウスです。比較的速いテンポで軽快に演奏が進みます。切れ目なく2楽章へ。重くなく少しあっさりした演奏です。これはこれでいいと思います。3・4楽章はエンジン全開。思いっきり飛ばしてくれて、気分すっきりでした。熱演だったと思います。アンコールを1曲演奏して9時前に終了しました。

 さて、小編成のオケですが、それはそれで魅力はあります。ただし、2階席最前列の私の席では、音がだんご状に固まり、こもって聴こえあした。ステージ中央に固まりすぎたんじゃないかと思います。ホールの響きが良すぎたのも災いしたのかもしれません。
 そして、花束を渡すのがかわいい女の子だったのは良かったです。ホッと気持ちが和らぎました。実は、隣の席の人は鼻息が荒く、始終スースー音を立てていましたし、アラームを鳴らしてなかなか止めようとしない人がいたりして、多少のイライラを感じながらのコンサートでした。

 ロビーでは各種のCDの他、岩城さんの著作物、このオケが登場する小説などまで売られていました。岩城さんのサイン会まで行うというサービス振り。楽員の一生懸命さがいろんな場面で伝わってきました。経営は大変だとのことですが、こんなオケを持つ石川県の人たちがうらやましいです。今後の新潟定期の充実に期待したいです。