痔核と言うのはそもそも血管の故障です。痔静脈叢と言う網の目のような血管が膨れ静脈瘤になったものを痔核とかイボ痔とか呼んでいます。
 健康診断などで肛門の診察や大腸内視鏡検査を受けて場合に「痔核がありますね」と言われたが特に症状はないということがあります。これは単に痔静脈叢が大きくなっていると言うことで、「ここまで大きくなったら痔核」と言う境界線があるわけではありませんので、特に治療は必要ありません。また、痔の坐薬や軟膏は出血や痛みなどの症状をとるためのものですから、何年使っても静脈瘤が小さくなるわけではありません。ただ、これ以上大きくならないように、注意しましょう。

 痔核の代表的な症状として出血があります。痔核の本体は血管ですから、当然大きくなれば負担をかけることによって出血を生じます。出血のほとんどが坐薬や軟膏で治療し、排便を整えたり肛門に負担をかけないよう生活習慣を改善することによって治療できます。坐薬や軟膏だけでは不十分な場合、痔核に硬化剤を注射するのも効果的です。ただ、痔核がなくなるわけではありませんから、油断すればまた出血を生じます。しかし、少量の出血は健康に影響するものでもありませんし、直腸癌など他の病気による出血ではないことがわかっていれば、出血を完全に止める必要もありません。

 次に腫れて痛みを生じる、かんとん痔核や血栓性外痔核があります。これらは静脈瘤のところで血栓(血豆)がが生じ、その影響で突然腫れて強く痛みます。症状が強くて患者さんが希望すれば手術の適応もあると思いますが、ほとんどの場合坐薬や軟膏、消炎鎮痛剤で治療しています。腫れの程度にもよりますが数日から1週間程度で痛みは消失し、その後血栓も吸収され徐々に小さくなり、最終的には腫れる前の状態まで回復します。

 最後に痔核が大きくなって周りの組織が支えきれなくなり、排便時などに肛門の外に脱出してしまう場合があります。この状態を脱肛といって手で押し込まないと戻らない脱肛第3度や、いつも脱出したままである第4度が手術の適応とされています。ただしこの場合も患者さんが手術を希望しない場合は手術適応としません。痔核は良性の病気ですから、Dr.OKは患者さんが「毎朝、脱肛を手で押し込んでいるが、いっこうに不便を感じない。手術を受けるくらいなら脱肛を我慢していたほうが良い。」と考えるのであれば、わずかではありますがリスクのある手術を受ける必要はないと考えているからです。