最悪のシナリオ Part2

腸内洗浄で3キロも痩せる(実際は溜まっている便が出ただけのこと)という評判を聞いた、若きOL、○田×子さん。ちょうど会社の近くで洗腸クリニックッができたので、物は試しと挑戦してみました。
一回2万円という値段はちょっときついですが、効果はテキメン。ただ、腸内洗浄をやめると便秘になって、数日で元の体重に戻ってしまうので、やめるわけにいかず、さすがに自宅通勤でお金のかからない優雅なOLにとっても金銭的にきつくなってきました。
おりもおり、友人から1万円で腸内洗浄をやってくれるエステの噂を聞き行ってみました。

いつもと違って、どうもやることが乱暴(後日、医師の資格のない人がやっていて、摘発をうけたらしい)。おしりから入れられた管で、腸を突っつかれるような感じが強く不安でした。

家に帰って便意があったのでトイレに行ってびっくり。肛門から出血するじゃありませんか。便秘症だけでなく痔もちでもあった彼女、「痔に傷がついたか」と思いましたが、痔からの出血ならそれほど珍しくもないので、その日は持っていた痔の座薬を入れて寝ることにしました。
夜半になって、なんだか下腹部が痛くなってきました。翌日はどうしても休めない仕事があったので、鎮痛剤を飲んで出社しましたが、昼ごろから熱は出るは痛みはひどくなるはで我慢できなくなり、会社の近くの救急病院へ駆け込みました。

病院でレントゲンを撮ったら、「お腹の中で腸の外にガスが漏れている」という説明。すなわち、腸に穴が空いてそこからおならのガスがお腹の中に漏れ出しているということでした。ガスとともに細菌の塊ともいえる便も漏れているので、ひどい痛みや熱が出るとのこと。このまま放置していては、敗血症になって命を落とす危険性大だということで、緊急手術を行うことになりました。

手術所見
臍から下腹部にかけての正中切開で開腹。直腸の下部に機械的に開いたと思われる穴があり、そこから漏れた便によって限局性腹膜炎を起こしていた。穴の周囲はすでに細菌感染によって組織がぼろぼろになっており、一期的に縫合閉鎖することは不可能(縫合不全の可能性大)と考え、穴より20センチくらい口側の大腸を左下腹部から体外に出し、一時的な人工肛門を造設した。さらに、右下腹部からはシリコンドレーン(腸内に溜まっている便汁をだすため)をお腹の中に挿入留置した。

人工肛門は、数ヵ月後には元に戻して、肛門から便が出る普通の体に戻れましたが、お腹についた大きな傷跡のため、友達と楽しみにしていた温泉めぐりもできません。それよりも深刻なことに、手術後の腸の癒着が原因と思われる軽い腸閉塞状態が続き、今まで以上に食べ物や便通に気をつけなくてはいけない体になってしまいました。ちょっと太めの体形を気にしてはいても、好きなものを思いっきり食べられた頃がうらやましいけど、後の祭り・・・・