これが大腸癌だ!!

 この患者さんは、10年来内痔核のため、時々排便時に肛門から出血をしていました。2年前の健康診断で、便潜血反応が陽性と判定されましたが、「痔からの出血だろう」と自己判断し、放置していました。今年になって、ようやく重い腰を上げて注腸検査を受けた結果、上のようなレントゲン写真が撮られました。
 写っているのは、直腸からS状結腸までの部分です。白く写っているのが肛門から注入したバリウムです。空気を注入する事によって腸が膨らみ、ソーセージのような形に写っています。←→で示した部分が、膨らんだ腸がかじられたように細くなっている部分です。このような像はアップルコア(リンゴの芯)サインといって、大腸癌に特有の像です。腸管の大部分が癌で塞がれているにもかかわらず、この患者さんは便秘のような通過障害の症状は訴えられませんでした。
 幸い、手術によって癌の部分は切除できましたが、再発の恐れは否定できません。それに、このまま放置していたならば手遅れになっていたかもしれません。
便潜血反応が陽性だったら、必ず注腸検査や大腸内視鏡検査を受けるべきだという、教訓的な症例でした。