あらあらあら、ずいぶんひどく腫れていますね。おしりの右半分が腫れていますよ。今朝、急に腫れたとおっしゃいましたが、数日前から痛みはあったんではないんですか。

肛門周囲膿瘍(57KB)

そうでしょう。それに昨晩は熱も出て、痛くてよく眠れなかったんですね。 これは、肛門周囲膿瘍と言って、簡単に言えば肛門の近くが膿んで、膿がたくさんたまって腫れているんですよ。

ちょっと切開して、膿を出してやればすぐに楽になりますよ。

「切るのは怖いからイヤだ」とおっしゃるんですか。そうは言っても、ほおっておくとどんどん膿がたまって腫れてきて、しまいには皮膚が破れて膿が出てきますよ。そんなになるまで我慢するより、ちょっと局所麻酔をして小さく切開すればすぐに楽になりますよ。

えっ、「抗生物質は効かないか?」ですって。残念ながら、こうなってしまいますと抗生物質では効果がないですね。

やっとご理解いただけましたか。では横向きになって、おしりをこちらに向けてください。歯の治療の時に、麻酔を歯茎に打ったことはあるんですね。それと同じ麻酔薬ですから、ちょっとしみますけど、浮いたような感じになり痛みがなくなりますよ。

痛くないですか?では、小さく切開を入れますよ。

これはすごい、どんどん膿が流れ出ていますよ。

切開排膿(73KB)

イワダレ先生にうかがったところによると、最高で牛乳瓶一本くらい膿が出た患者さんがいたそうですが、それに匹敵する量ですね。

さあ、これでほとんど膿が出ましたから、痛みもずいぶん和らぎ、今夜はぐっすりと眠れると思いますよ。抗生物質を処方しておきますから、毎食後飲んでください。

今後の事ですが、切開した後がなかなかふさがらず、痔瘻になる可能性が高いと思います。これは、肛門周囲膿瘍の原因が、肛門の中に原因があるわけで、外から切開して膿を出したり、薬を付けたりしても治らないわけでして、よくわからないのでしたら、もう一度 痔瘻のページ に立ち寄ってください。

痔瘻になりますと、ほっておいても治りませんし、複雑化したり、非常に希ですけれども痔瘻癌が発生する事があります。切開で楽になったからと言って治療をやめてしまわずに、必ず二週間後には再診してください。そのときの具合で、今後の方針を決めましょう。

それでは、おだいじに。