場所:月岡温泉街(新湯)の中央にある客室数13室という小規模な湯治旅館である。小さな看板があるだけで分かりにくいが、共同駐車場横、「高橋館」の隣の角にある。意外にも玄関は自動ドアとなっている。
料金:入浴は300円と格安、タオルなし。月岡では最安かと思われる。
浴室:玄関を入ると右に帳場があり、正面に中庭が見える。左手の廊下を奥に進むと大浴場があり、手前に小さな鍵のかかる家族風呂がある。大浴場は混浴らしいが、基本的に女性が入浴中のときは男は遠慮する。家族風呂は空いていれば自由に入ることができる。浴室には浴槽があるのみで、洗い場というべきものはない。窓際にシャンプー、リンス、ボディソープのボトルが並んでいる。浴室隅には洗い椅子、ケロリン桶が積んであり、固形石鹸とヘチマが置いてある。ヘチマが置いてあるのは珍しい。家族風呂は、家庭風呂を少し大きくした程度の浴槽があるのみであるが、ひとりで貸しきりで入ると贅沢この上ない。。両方の浴室とも景色は見えない。窓を開けると道路なのでご注意。脱衣場には脱衣棚に脱衣籠があるのみで、洗面台、化粧台というものは存在しない。鏡すらもない。
泉質:月岡温泉源泉協同組合からの配湯であるので、他の旅館と同じ源泉である。平成元年の古い成分表しか掲示していなかったので成分の記載は割愛する。湯は淡緑色透明、強い硫化水素臭が浴室を満たす。飲むと硫黄味のほかに苦味が強く塩味がする。水面には油膜が浮かび、湯花も浮遊する。湯の中では肌はツルツルであるが、浴後の肌は脱脂されるのでサラサラになる。湯は完全な源泉掛け流しで循環なし。湯口にはコップが置いてある。
コメント:自炊の湯治宿であるので設備的には劣る点は仕方ない。しかし、泉質の良さは特筆できる。源泉の供給量が同じなら、小さな浴槽ほど鮮度が高くなることを見事に証明してくれる。湯の鮮度は月岡温泉でも屈指である。料金も安く、設備にこだわらずに源泉を堪能したい人には自信を持ってお勧めできる。循環された共同浴場よりも数倍満足感が高い。
*2016年2月現在、閉館との情報をいただきましたが。その後営業しているとの情報をいただきました。良かったです。
*2018年12月12日で閉館しました。
(No.432 2007/12/1、2018/12/12閉館) |