西方の湯温泉 西方の湯 (胎内市・旧中条町) A (泉質A、浴室B、設備B、眺めC)
胎内市中村浜上畑 TEL: 0254-45-2550 営業時間:10:00−20:00 定休日:火曜日(11月〜3月は露天風呂休み)
泉質:ナトリウム-塩化物強塩泉、掛け流し
タオル:なし サウナ:なし 露天:あり 石鹸:あり シャンプー:あり 休憩所:あり 食堂:なし |
場所:国道7号線新新バイパス蓮野インターから国道113号線に進み、海岸沿いに紫雲寺、中条へと進む。日本海東北道経由なら中条ICから村松浜方面に進み、突き当たりの塩の湯温泉の交差点を右折し、風力発電所を左に見ながらしばらく進むと、突然巨大な親鸞立像が出現する。ずいぶん前から目立っていたのだが、廃墟のごとく雑然として、人の気配もなく、立ち寄ることはなかったが、平成11年12月から温泉の営業を始めた。正式には、越後の里親鸞聖人総合会館西方の湯という。
料金:玄関でスリッパに履き替え、受付する。大人500円、小人300円。タオルなし。
浴室:巨大な建物の奥に浴室がある。骨董品類が雑然と置かたロビーから奥にある浴室に向かう。左奥が女湯、右奥が男湯である。脱衣場にはスチールロッカーがあり、好きなものを選ぶ。ロッカーの番号がばらばらなのがご愛嬌。脱衣場洗面台にはドライヤーが置いてある。
浴室は広々している。浴槽は大小3つに仕切られ、三角形の大浴槽のほかに、少しぬるめの小浴槽と水風呂がある。大浴槽の隅にある注湯口から注がれた高温の源泉が、ぬるめの小浴槽に注ぎ込まれ、小浴槽の縁から掛け流されている。壁際には洗い場がありボディーソープ、シャンプー類が備えられている。
外には庭園風の大きな岩風呂の露天風呂が2つあり、夏季のみ利用できるが、浴槽のひとつにはお湯が張られていないことがほとんどである。露天風呂からは親鸞聖人像の横顔を拝みながら入浴することができる。当初は塀があって海が見えなかったが、その後塀の一部が取り払われ、遠く日本海を展望することができるようになった。
泉質:オープン当初の湯は、独特のクレゾール臭、ヨード臭、アンモニア臭が鼻を突いた。湯は黒褐色〜醤油色、あるいは墨汁色で、混濁あり、透明度は10cmくらい。黒い湯花と不気味な白い泡が浮遊する。N10-1、N10-2、N10-3とN12-1、N12-2の2つの源泉を使用。場所的にいっても、源泉の命名からいってもサンセット中条と同列の泉質と思われるが、色が異なる。原油のお風呂にでも入っている感じ。泉質はナトリウム-塩化物強塩温泉。
主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 4.3、Na 10960、K 191.3、NH4
129.2、Mg 78.8,Ca 514.1、Sr 4.0、Ba 22.8、Mn 0.2、Fe(II+III) 2.5、F
0.1、Cl 18890、Br 67.8、I 93.7、S2O3
0.8、SO4 1.7、HCO3 560.5、CO3 0.8、メタ珪酸 122.7、メタ硼酸 179.1、遊離CO2 47.1 などガス性除く成分総計は31830mg/kgである。
臭気が物語るように、ヨウ素イオン、アンモニウムイオンの量はものすごい。湯は当然ながら塩辛く、ツルスベ感がある。湯口から注がれるお湯はかなりの熱さである。臭いが強烈なので、シャワーで洗い流しても翌日まで臭気がとれない。「掃除してない便所の臭い」と表現した人もいるくらいである。癖が強すぎるので好みは分かれよう。源泉は大きな浴槽から小さな浴槽へ流れ、掛け流しされている。
その後、源泉は温泉マニヤを驚喜乱舞させ、テレビで紹介されたりイメージソングまで作られた「便所臭」の墨汁色の源泉と、もっとおとなしく色も薄い源泉の2種類を3ヶ月毎に使い分けるようになった。その後「西方の湯」を象徴する墨汁色の湯は源泉トラブルで使用できなくなり、N12-2源泉のみ使用されるようになった。(→ブログ)
泉質はナトリウム-塩化物強塩温泉(弱アルカリ性高張性高温泉)、源泉温度60.7℃、PH7.6、蒸発残留物37890mg/kg、湧出量記載なし、掘削自噴。主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成20年12月9日分析終了)は、Li
4.5, Na 12590, K 161.0, NH4 180.2, Mg 87.2, Ca 600.3, Sr 6.4, Ba 1.9, Mn
0.3, Fe(II) 3.7, F 0.2, Cl 21160, Br 129.2, I 82.5, NO3 0.3,
HS 1.5, S2O3 ?, SO4 13.4,
HCO3
599.2, メタ珪酸 116.7, メタホウ酸 172.9, 遊離CO2 31.8, 遊離H2S 0.5
など、ガス性除く成分総計は35920mg/kg。
アンモニウムイオン、臭素イオン、ヨウ素イオンの多さが特徴であり、独特の臭気を生んでいる。湯口の源泉は透明だが、鉄分も含むため、浴槽内は茶濁りを生じている。もともとがヨウ素を取る工業用源泉だけあって、ヨウ素イオンは82.5mg/kgと豊富で、ヨウ素泉の基準をはるかに超えており、新しい基準では含ヨウ素-ナトリウム-塩化物強塩泉となる。硫黄分もぎりぎり硫黄泉の基準には足りないが、豊富に含有している。
その後、平成30年12月14日付の新しい分析表が掲示された。源泉名はN12-1井。泉質はナトリウム-塩化物強塩温泉(高張性弱アルカリ性高温泉)。源泉温度78.9℃。湧出量は測定不能(動力揚湯)。PH
7.7(試験室では8.0)。主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成30年12月14付)は、Li 2.1、Na 10300、K
118.8、NH4 169.7、Mg 57.3、Ca 200.5、Sr 10.0、Ba 7.3、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II)
1.1、Cu 0.0、Zn 0.0、F 0.5、Cl 14240、Br 109.5、I 69.4、NO2 0.0、NO3
0.0、HS 0.0、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 32.1、HPO4 0.7、HCO3 2246、CO3
0.0、メタケイ酸 91.3、メタホウ酸 430.2、遊離CO2 37.7、遊離H2S 0.0、など、ガス性除く成分総計は28087mg/kg。
以前は、源泉がN12-2だったが、今回はN12-1となっている。成分表上は若干の違いがあるが、ほぼ同じ泉質である。なお、よう素イオンが69.4mg/kgあるので、よう素泉の基準(10mg/kg)を満たし、正確な泉質名は、含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉となるはずである。
コメント:施設は巨大である。当初は広々としたロビー、ステージを備えた大宴会場、大広間、売店、屋台村などを備えていて、巨大な宴会場が休憩室として使用されていた。レストラン、喫茶、エステルームなどもあったらしいが、営業している形跡はなかった。屋台村はメニューが豊富で、値段も手頃であった。これだけ大きな施設でありながら、客はまばらであった。温泉のある総合会館は平成3年の開業とのことで、浴室もその頃からあったと思われるが、温泉営業の許可は平成11年末である。整備・経営の仕方によっては、一大宗教テーマパークになりうる可能性もあっただろうに・・。
親鸞立像の方も雑然としていて、初めて訪問したときは工事中かと思ったが、平成元年からすでに営業中とのことだった。40mの立像の上まで階段で上ることができて、拝観料は300円だった。ただし、像内は工事途中のまま、照明を付ける資金がなかったのか、備え付けの携帯ライトを持って、暗闇の中の階段を上った。ちょっとした探検気分であった。上まで上ろうという人はめったになかったであろう。その後内部の探検はできなくなったようだ。
場所は国道沿いでわかりやすので、立ち寄るには便利。巨大な駐車場に車はほとんどなく、薄暗い館内は初めて来る人を拒むような雰囲気があるが、一度訪問してみれば怖くはなくなる。かつての伝説の「黒湯」を楽しめなくなったのは残念だが、現在の源泉もかなり濃厚な泉質であり、湯温も高いので、長く入りすぎるとノックアウトされるのでご注意。外観、館内も含めて、これほど個性的な温泉は全国でも屈指と思われ、一度は入浴すべき温泉であろう。女将さん、親父さんの人柄も含め、この温泉の魅力に触れると病み付きになること間違いない。
(No.163 2000/4/22、2006/2/25追記、2006/10/23営業開始時間変更、2011/1/1追記、2019/1/1改定、2019/8/3追記)
ブログもご覧ください。→、2008/1/2、2009/2/21、2010/1/1、2011/1/1、2011/6/4、2011/11/5、2012/1/1、2012/4/7、2012/5/3、2012/5/3(2)、2012/5/9 ..(略)..2018/7/29
西方の湯のイメージソング→http://youtu.be/uhX19O9KEDU、 http://youtu.be/tf3FV5N_hJE |