ジュニアオーケストラ・フェスティバル2025 in NIIGATA
  ←前  次→
2025年8月17日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
(ロビーコンサート)
トリフォニー・ジュニア・オーケストラ(弦楽アンサンブル)
  グリーグ:ホルベルグ組曲より 前奏曲
ティアラこうとうジュニアオーケストラ(管楽器アンサンブル)
  福田洋介:さくらのうた
みたかジュニア・オーケストラ(ヴァイオリン二重奏)
  バルトーク:44のヴァイオリン二重奏曲より 第40番、第44番
豊田市ジュニアオーケストラ(ヴァイオリン、クラリネット、パーカッション)
  大野雄二:ルパン三世のテーマ
ジュニアオーケストラ浜松(金管アンサンブル、パーカッション)
  NARGO(宮川成治編):Paradice Has No Border
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  
新潟市ジュニアオーケストラ教室による単独演奏
 A合奏 (指揮:藤井裕子)
  ウッドハウス:田舎の踊り
  ウッドハウス:2つの小品 1.おだやかなガヴォット 2.行進曲
 B合奏 (指揮:碇山隆一郎)
  サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より 《バッカナール》
  ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」より 
        《剣の舞い》《バラの乙女たちの踊り》《子守唄》《レズギンカ》

(休憩15分)

フェスティバルオーケストラ(特別合同オーケストラ)
 チームHANABI (指揮:神成大輝)
  ビゼー:カルメン前奏曲
  ロジャース:「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー
  チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」より 《花のワルツ》

(休憩15分)

 チームHOTARU (指揮:碇山隆一郎)
  シベリウス:交響詩「フィンランディア」Op.26
  ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より《韃靼人の娘たちの踊り》《韃靼人の踊り》
  エルガー:行進曲「威風堂々」第1番 (オルガン:濱野芳純)

(アンコール)
  J.シュトラウスI:ラデツキー行進曲
  

 国内にはジュニアオーケストラが各地にありますが、このうち全国公立ジュニアオーケストラ協議会に加盟し交流している全国の公立ジュニアオーケストラが、一堂に集まって練習し、交流を図るのがジュニアオーケストラフェスティバルです。
 2001年に第1回が新潟市で開催され、以後3年毎に開催されてきました。2004年と2019年は浜松市で開催されましたが、そのほかはすべて新潟市で開催されており、新潟市での開催は今回が7回目です。

 私はこのうち2007年2010年2013年2016年2022年の5回に参加させていただき、全国の子供たちの素晴らしい演奏を楽しませていただきました。2007年のときは9団体のメンバーが参加していましたが、それ以後は7団体となり、今回は6団体の参加です。
 新潟市ジュニアオーケストラ教室を応援し、こよなく愛している私としましては、全国のジュニアオケも応援しないわけにもいかず、今回も参加させていただくことにしました。

 今回参加する団体は、ジュニアオーケストラ浜松、ティアラこうとうジュニアオーケストラ、豊田市ジュニアオーケストラ、トリフォニーホール・ジュニア・オーケストラ、みたかジュニアオーケストラ、そしてわれらが新潟市ジュニアオーケストラ教室の6団体です。以前は北九州市や佐世保市、岡山市などからの参加もあって、仙台市も常連だったのですが、今回は6団体だけで、ちょっと寂しく感じました。

 前回までは個別のオーケストラの演奏が行われましたが、今回は新潟市ジュニアオーケストラ教室の単独演奏のほかは、6団体の選抜メンバーによる合同フェスティバル・オーケストラが2チーム編成されて演奏が行われます。
 個別の演奏で各団体を比較するのも面白かったのですが、今回は新潟市ジュニアオーケストラ教室の演奏を除けば合同チームだけでの演奏になりました。互いに競い合うのではなく、同じ曲を一緒に練習し、メンバー同士の交流を図るという意味では、この形は良いのではないかと思います。

 今日は朝から青空が広がり、清々しい日曜日になりましたが、その分陽射しが強く、残暑が厳しく感じられました。
 ゆっくりと午前を過ごして家を出て、白山公園駐車場に車をとめて、静かな上古町を歩き、いつもの楼蘭で絶品の冷やし中華をいただきました。お腹を満たし、寂しい心も満たされました。これを食べると幸せになれます。
 上古町を歩き、白山神社を抜けて県民会館に立ち寄り、某コンサートのチケットを買い、りゅーとぴあに入りますと、既に開場が進んでいました。

 チラシ集めをして入場しますと、ちょうど13時25分からのロビーコンサートが始まるところでした。ホワイエは混雑していましたので、3階に上がってバルコニーから聴かせていただくことにしました。
 今回のロビーコンサートは新潟市ジュニアオーケストラ教室以外の各オーケストラのアンサンブル演奏が行われました。オーケストラとしての演奏がない代わりに、各オーケストラのアンサンブル演奏をすることになったものと思います。

 まず最初は、トリフォニーホール・ジュニア・オーケストラです。ヴァイオリン11人、チェロ4人という弦楽アンサンブルにより、グリーグの「ホルベルグ組曲」の「前奏曲」が演奏されましたが、美しい弦楽合奏で、聴き応えがありました。
 2番目は、ティアラこうとうジュニアオーケストラの管楽器五重奏です。左からトランペット、クラリネット、ホルン、ファゴット、オーボエが並んで、「さくらの歌」が演奏されましたが、ほのぼのとした音色で楽しませてくれました。
 3番目は、みたかジュニア・オーケストラで、ヴァイオリン二重奏でした。バルトークの二重奏曲を2曲演奏してくれましたが、熱のこもった演奏に聴き入りました。
 4番目は、豊田市ジュニアオーケストラです。ヴァイオリン4人、クラリネット&サックス1人、カホン1人という編成で、ルパン三世を軽快に、楽しく演奏してくれましたが、小学生らしき小さな男の子の小型のヴァイオリンによるソロがすばらしく驚嘆しました。
 5番目は、ジュニアオーケストラ浜松です。ホルン3人、トランペット4人、トロンボーン4人、チューバ1人という金管アンサンブルにパーカッション3人が加わって、「Paradise Has No Border」を迫力いっぱいに、ノリノリの演奏で楽しませてくれました。

 各オケの代表によるアンサンブル演奏でしたが、多彩な編成・演目で楽しく聴かせていただきました。いずれもジュニアらしさを感じさせましたが、音楽を演奏する喜びに満ち溢れていて、あたたかな気持ちにさせてくれました。

 ロビーコンサートが終わってバルコニーから下に降り、2階正面前方の席に着いて開演を待ちました。3階やステージ周りの2階席は団員席になっていましたが、そのほかの一般席の客の入りとしましては、ほどほどのようでした。

 開演時間となり、ホストである新潟市ジュニアオーケストラ教室の演奏で開演しました。まず最初は初級者によるA合奏です。
 毎年のことながら相変わらず弦が少なくて、弦5部は 4-3-3-2-2 で、第1ヴァイオリンの1人はどうみても子供には見えず、指導者の先生のようでした。
 お馴染みの藤井先生がにこやかな表情で登場して、最初は初心者向けの定番曲のウッドハウスの「いなかの踊り」が演奏されました。この曲はA合奏で何度も聴いていますが、しっかりした演奏で、今年のA合奏の良さがすぐに感じられました。
 続いてウッドハウスの「2つの小品」が演奏されましたが、これもなかなか聴き映えする演奏で、しっかりしたオーケストラ演奏になっていて感激しました。特に行進曲は躍動感があって良かったです。

 B合奏の代表者による挨拶の間にステージ転換され、続いては中上級者によるB合奏です。ヴァイオリンが少なくて、弦5部は私の目視で 7-9-4-10-5 でした。ヴァイオリンやヴィオラの少なさに比して、チェロの多さがアンバランスに感じました。
 碇山さんが登場して、最初はサン=サーンスの「バッカナール」です。オーボエのエスニック感に溢れるソロに始まり、以後しっかりとしたアンサンブルで、迫力あるオーケストラサウンドで魅了しました。
 この曲は先月の新潟大学管弦楽団第46回サマーコンサートで演奏されたばかりですが、その演奏にも劣らない、もしかすればそれ以上の渾身の演奏ではなかったでしょうか。
 続いてはハチャトゥリアンの「ガイーヌ」からの4曲が演奏されました。抜群のリズム感で圧倒した「剣の舞い」、少しゆったりと歌わせながらも切れの良さを感じさせた「バラの乙女たちの踊り」、オーボエソロに始まりフルートとハープがしっとりと歌った「子守唄」、フルスピードで突進し、パーカッションが大爆発して、フィナーレでは全員起立して演奏して燃え上がった「レズギンカ」。もの凄いとしか言いようがありませんでした。圧倒的なパワーとスピード感に魅了され、興奮と感動で胸がいっぱいになりました。
 今年のB合奏はこれまで以上に素晴らしいことが実感され、31日の定期演奏会への期待がますます高まりました。他のジュニアオケの皆さんも、この演奏には驚いたのではないでしょうか。お見事でした。

 休憩後は、まずジュニアオーケストラ浜松とティアラこうとうジュニアオーケストラの代表による自己紹介がありました。
 そして、フェスティバルオーケストラの演奏となりましたが、最初はチームHANABIです。団員が入場し、ステージいっぱいのオケに圧倒されました。特にヴァイオリンが多く、なんと18型!です。数を数えるのも困難で、私の目視では、18-16-7-9-5 のように見えました。ヴァイオリンの多さに比して、ヴィオラが少なく感じました。

 指揮者の神成さんが登場して、最初は、ビゼーの「カルメン前奏曲」です。あまりにも編成が大きすぎて小回りが効かなくなった印象があり、演奏の質としましてはどうなのかなと思いましたが、フェスティバルの演奏ですので、みんなで賑やかに演奏するということでは良かったのではないでしょうか。

 団員の入れ替わりがあり、2曲目は「サウンド・オブ・ミュージック・メドレー」です。年齢も演奏技術も様々なメンバーが集まっての演奏ですので、メロディラインが不鮮明だったりはありましたが、お馴染みのメロディを楽しく聴かせていただきました。

 団員が入れ替わって、3曲目はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から「花のワルツ」です。賛助出演のハープも美しく、ふくよかでゴージャスなサウンドの聴き応えある演奏にうっとりしました。

 2度目の休憩の後、まず豊田市ジュニアオーケストラ、トリフォニーホール・ジュニア・オーケストラ、みたかジュニア・オーケストラの自己紹介がありました。
 そしてフェスティバルオーケストラの演奏になりましたが、今度はチームHOTARUです。先ほどと同様の大編成でしたが、18-16-10-9-5 とヴィオラが増員されていました。指揮の碇山さんが登場して、最初はシベリウスの「フィンランディア」です。
 出だしから重厚な金管の大音量に圧倒されました。編成が大きいですので、聴かせどころのフィンランディア賛歌もしっとりとはいきませんでしたが、迫力溢れるオーケストラサウンドを楽しめました。

 団員の入れ替わりがあり、2曲目はボロディンの「イーゴリ公」からのお馴染みの2曲です。これは大編成のオケの魅力が発揮されて、迫力あるサウンドで圧倒されました。繊細さには目をつぶり、大編成のオケの醍醐味を味わいました。

 団員の入れ替わりがあり、最後はフェスティバルのフィナーレに相応しいエルガーの「威風堂々」です。賛助出演の濱野さんのオルガンも加わって、迫力いっぱいに演奏されました。
 この曲は東響の演奏を聴いたばかりですが、子供たちの演奏は、プロもかなわない何かを持っていますね。大きな感動と興奮の中に、予定されたプログラムは無事終了しました。

 団員の挨拶があり、アンコールに「ラデツキー行進曲」を演奏し、大きな盛り上がりの中に、3年に1度のジュニアオーケストラのお祭りはお開きになりました。

 ロビーコンサートから始まって3時間を大きく超える長丁場の演奏会で疲労感も感じましたが、心地良い疲労です。子供たちの頑張りから、これから生きていくパワーをもらったように思います。

 金曜日から3日間リハーサルを積んできた子供たち。年齢も演奏技術も異なる子供たちが各地から集まって作られた臨時編成の巨大オケですので、正直申し上げて演奏の質としては問題はありますが、それを超越した喜びと感動を与えてくれました。
 演奏の結果よりも、異なったオケの団員たちが、3日間に渡ってともに音楽を作り上げていく過程にこそ、このフェスティバルの意義があるものと思います。
 新潟の地に全国の子供たちが集まって交流を深め、夏休みの想い出を作ってくれたものと思います。こういう交流の場として、新潟市が全国にアピールできたら最高だと思います。3年後はどこで開催するのかわかりませんが、もし新潟市で開催するなら、また参加させていただきたいと思います。
 

(客席:2階C2-9、¥2000)