新潟交響楽団第113回定期演奏会 | |
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2024年11月24日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール | |
指揮:永原裕哉 | |
オネゲル:交響詩断章第1番「パシフィック231」 シベリウス:「カレリア」組曲 第1曲 間奏曲 第2曲 バラード 第3曲 行進曲調で (休憩15分) ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 第1楽章 田舎に着いたときの晴れやかな気分 第2楽章 小川のほとりの情景 第3楽章 田舎の人々の楽しい集い 第4楽章 雷雨、嵐 第5楽章 牧人の歌、嵐の後の喜びと感謝の気持ち (アンコール) ロンビ:コペンハーゲンの蒸気機関車のギャロップ |
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今日はお馴染みの新潟交響楽団の定期演奏会です。6月の第112回定期演奏会に引き続いて聴かせていただくことにしました。 実は、当初は長岡市立劇場で開催予定だった東京フィルの演奏会(指揮:バッティストーニ)に行く予定にしていて、この演奏会は聴けないと残念に思っていたのですが、東京フィルの演奏会が指揮者の都合で1月18日に延期になり、急遽この演奏会に出かけることになりました。 東京フィルの演奏会が厳寒で大雪のリスクもある1月に延期になったのは残念でしたが、この演奏会を聴けることになって不幸中の幸いというところでしょうか。 今回の指揮者は第108回定期演奏会から共演している平川範幸さんではなく、永原裕哉さんです。12月22日の「第九」は平川さんが指揮しますので、どうして今回だけ永原さんになったのでしょうね。 メインの曲目には新鮮味がありませんが、1曲目の「パシフィック231」に期待したいと思います。この曲を聴くのは、1999年6月に開催されたチューリヒ・トーンハレ管弦楽団(指揮:ジンマン)の演奏会以来25年ぶりになります。 ちなみに、メインの「田園」は、しょっちゅう聴いているような気がするのですが、新潟交響楽団が取り上げるのは2002年11月の第71回定期演奏会以来22年ぶりというのは意外でした。 昨日の雨は上がったものの、厚い雲が広がって、ちょっと気分もふさぐ日曜日になりました。金曜日の演奏会の記事を書き上げて更新し、一段落しました。 ご機嫌斜めの暴君を横目に、簡素な昼食を摂り、凍りついた現実から逃避するかのように家を出て、りゅーとぴあへと車を進めました。曇り空ながらも雨は降らなくて助かりました。 駐車場に車をとめて、りゅーとぴあ入りしますと、既に開場待ちの列が長く伸びており、私もその列に並んで開場を待ちました。 予定より若干早く開場となり、自由席エリアの2階Dブロック右端に席を取りました。開演時間が近付くに連れて客席は次第に埋まり、指定席のCブロックを始め、各ブロックとも虫食い状ながら満遍なく埋まり、まずまずの入りとなりました。 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、最後にコンマスが一礼して、チューニングとなりました。弦は通常の配置で、弦5部は、11-10-9-9-8 です。 長身の永原さんが登場して、1曲目は、オネゲルの「パシフィック231」です。シンバルの金属音に大太鼓が加わり、低弦とトロンボーンがずっしりと響き、巨大な機関車がゆっくりと動き出しました。弦がリズムを刻んで加速して行き、管が警笛を鳴らし、野を越え、山越え、川越えて、スピードを上げて駆け抜けました。 トップスピードで走るところでチューバが咆哮し、大太鼓が鳴って、ブレーキがかかり、客席へ向けて機関車が迫り、観客の眼前で機関車は停止しました。 蒸気機関車が走り出し、急停車するまでの様子が眼前で繰り広げられました。永原さんに導かれた潟響の皆さんが、抜群のパフォーマンスを発揮し、迫力いっぱいの演奏で楽しませてくれました。 チューニングが行われ、2曲目は、シベリウスの「カレリア組曲」です。第1曲「間奏曲」は、弦のトレモロの上でホルンが奏でられ、弱音器を付けて再度鳴り、これを繰り返した後に、弦は力を増して、打楽器が加わって、力強く行進しました。どんどんと熱量を上げて高らかに歌い上げ、そして静かに、弦のトレモロとホルンとともに曲が終わりました。 第2曲「バラード」は、管が静かに、悲しげに歌って始まり、続いて弦も悲しげに歌いました。切なげにオーボエが泣き、ゆったりと弦が寂しく奏で、消え入るようになるも、再びゆったりと歌いだして、感情を高ぶらせました。イングリッシュホルンが悲しく歌い、切々とした悲しみの中に曲は終わりました。 第3曲「行進曲調で」は、一転して明るく行進を始めました。次第に力を増して、足取りは力強く、トランペットがファンファーレを奏で、全員で明るくダンスを踊り、そして高らかに勝利の凱歌を上げ、高揚感の中に曲を閉じました。 素晴らしい演奏に大きな拍手が贈られて、潟響の見事なパフォーマンスを讃えました。曲の楽しみを知らしめるいい演奏だったと思います。 休憩後の後半は、ベートーヴェンの「田園」です。第1楽章は、美しい弦楽のアンサンブルでスタートして、管が加わって快調に進み、好演が確約されました。なめらかに演奏が進み、のどかな田園風景が眼前に広がりました。この風景は、コシヒカリの田んぼでしょうか。青々と稲が育った6月の水田風景を夢想しました。 第2楽章は、ゆったりと美しく歌う弦楽アンサンブルが心地良く響き、ゆったりとワルツを踊りました。緑の木立の中に爽やかな風が吹き抜けました。ゆったりとした流れの中でも緊張感は途切れず、美しいアンサンブルを保ち続けました。最後の聴かせどころのフルート/オーボエ/クラリネットによるカッコウもばっちりでした。 第3楽章は、軽快に、少し速めに駆け足しました。オーボエとファゴットの掛け合いも素晴らしく、ホルンも頑張ってくれました。力強くステップを踏んで舞曲を踊り、軽快なリズムで生き生きと収穫を祝いました。 第4楽章は、遠くから嵐が迫り、平穏な村を直撃し、雷鳴が鳴り響き、稲妻が光り、大荒れになるも、嵐は過ぎ去り、遠ざかっていきました。こんな情景が迫力ある演奏で具現化されていました。 第5楽章は、嵐が去って平穏が訪れ、安堵した空気感と、明るさを取り戻した平和な田園の風景が描き出されました。 ところどころで息切れもないではなかったですが、アマオケとしては十分すぎる演奏だったと思います。若き永原さんとともに、生命感と色彩感のある音楽が作り出され、十分すぎるほどの感動をいただき、客席からはブラボーがこだましました。永原さんに花束が贈られて、その好演を讃えました。 大きな拍手に応えてのアンコールは、ロンビの「コペンハーゲンの蒸気機関車のギャロップ」です。打楽器奏者が帽子をかぶって、駅員と機関車の運転手に扮して盛り上げてくれました。 蒸気機関車がゆっくりと走り出し、どんどんと加速して疾走しました。警笛を鳴らして猛スピードで駆け抜けて、そしてスピードを落として駅に到着して停止しました。 躍動感のある素晴らしい演奏に圧倒されました。1曲目の「パシフィック231」に呼応しての選曲だったと思いますが、心憎いばかりの演出と迫力ある演奏に大きな満足感をいただきました。 永原さんは、スポットの出演でしたが、素晴らしい指揮者ですね。大いに楽しませていただきました。生き生きとした潟響の演奏に心奪われ、至福の時間を過ごすことができました。このような演奏を聴くことができて、東京フィルの演奏会が延期になったことをラッキーとさえ思えました。 大きな喜びと満足感とともにホールを出て、落葉して寒々とした木々を眺めながら、車へと向かいました。帰り道は夕日がまぶしく、穏やかな日曜日が暮れようとしていました。つかの間の安穏な世界から、暗い現実世界へと身を投じました。 (客席:2階D4-29、自由席:\1000) |