江南・夏を彩る オペラコンサート
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2024年7月27日(土) 14:00 新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
ソプラノ:児玉祥子、笠原けい子、テノール:長川 慶、バリトン・指揮:野口雅史、企画:桂木 農
ピアノ:梅津幹子、本間 優、栄長敬子
ゲスト:新潟青陵短大100人コーラス
 
ソリスト合同(ピアノ:本間 優)
モーヅァルト:オペラ「後宮からの誘拐」より
     合唱「偉大な太守さまを讃えて歌おう」

ソプラノ独唱:児玉祥子(ピアノ:本間 優)
スカルラツティ:すみれ
オッフェンバック:オペラ「ホフマン物語」より
     アリア「生垣に小鳥たちが」

ソプラノ・バリトン二重唱(ピアノ:栄長敬子)
モーヅァルト:オペラ「フィガロの結婚」第3幕より
     二重唱「ひどいぞ、なぜ私をじらす」

バリトン独唱:野口雅史(ピアノ:栄長敬子)
モーヅァルト:オペラ「フィガロの結婚」第3幕より
     アリア「もう飛ぶまいぞ、愛の蝶々」

ピアノ独奏:本間 優
ショパン:カンターピレ 変ロ長調(遺作)
ショパン:ヘクサメロン 第6変奏 ホ長調(ベッリーニ:オペラ「正教徒」より)

ソプラノ・テノール二重唱(ピアノ:本間 優)
ドニゼッティ:オペラ「愛の妙薬」より 二重唱「愛しい妙薬よ」

(休憩15分)

ゲスト合唱:新潟青陵短大100人コーラス(指揮:野口雅史、ピアノ:栄長敬子)
ZARD:「負けないで」
富岡博志:「明日へ」
YOASOBI:「アイドル」

ピアノ独奏:梅津幹子
ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調(遺作)

ピアノ連弾:梅津幹子、本間 優
ビゼー:オペラ「カルメン」より 前奏曲〜ハバネラ〜ジプシーの歌〜闘牛士の歌

テノール独唱:長川 慶(ピアノ:本間 優)
レオンカヴァッロ:「あなたが愛されますように」
ヴェルディ:オペラ「仮面舞踏会」より アリア「永遠に君を失えば」

ソプラノ独唱:笠原けい子(ピアノ:梅津幹子)
ロッシーニ:オペラ「セビリャの理髪師」より アリア「今の歌声は」

ソリスト合同(ピアノ:梅津幹子)
J.シュトラウス2世:オペレッタ「こうもり」より シャンパンの歌
 
 新潟の歌手、演奏家、舞台人により、オペラ公演やコンサートを地道に続けておられる新潟オペラスタジオの皆さんによるオペラコンサートです。
 その活動は知っていましたが、これまで聴く機会がなく、今回は是非とも聴かせていただこうと思い立ち、参加させていただきました。

 いつものルーチンワークを終えて、某所で安価な昼食を摂り、バイパスを19km、25分もかからずに新潟市江南区文化会館に到着しました。亀田バイパスに面しているこのホールは、私の家から信号4つで行けますし、駐車場も無料ですので、一番便利なホールです。

 混み合わないだろうと安易に考えて、開場までの間、併設されている図書館で雑誌を読んでいましたら、いつの間にか開場待ちの列が長く伸びていました。こんなに賑わうとは予想せずびっくりしました。

 あわてて列に並んで入場し、前方の3列目・左寄りに席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。399席という小型のホールということもありますが、客席はなかなかの盛況です。

 開演時間となり、ソプラノの児玉祥子さん、笠原けい子さん、テノールの長川 慶さん、バリトンの野口雅史さん、そして、新潟オペラスタジオ代表で企画の桂木 農さんの5人と、ピアノの本間 優さんが登場して、モーツァルトの「後宮からの誘拐」からの合唱曲で開演しました。本間さんのピアノとともに、5人それぞれが高らかに歌い、挨拶代わりの歌声で魅了しました。

 ここで、代表の桂木さんによる挨拶があり、当初出演予定だったテノールの笠原壮史さんが健康上の理由により出演できない旨の話がありました。

 2曲目は、紫色のドレスのソプラノの児玉さんと濃紺のドレスの本間さんにより、スカルラッティのオペラ「ピッロとデメトリオ」からのアリア「すみれ」が歌われました。声量十分な美しいソプラノで、ホールの響きもきれいで、うっとりしました。
 続けて、オッフェンバックの「ホフマン物語」からのアリア「生垣に小鳥たちが」歌われましたが、人形オランピアを演じて、コミカルに歌い、野口さんが出てきて、動きが止まった児玉さんのぜんまいを巻いて再び動き出すという演出もあり、笑いを誘って楽しませてくれました。

 ここで、MCがあり、モーツァルトの「フィガロの結婚」からの2曲が歌われるとの案内があり、水色のドレスが麗しいソプラノの笠原さんとバリトンの野口さん、そしてアズキ色のドレスの栄長さんが登場して、二重唱の「ひどいぞ、なぜ私をじらす」が、演技を交えながら日本語で歌われました。
 続けて、バリトンの野口さんが、お馴染みのアリア「もう飛ぶまいぞ、愛の蝶々」を原語で、オペラの場面が眼前に広がるかのような演技を交えて歌って、楽しませてくれました。

 ここで、ピアノの本間さんの挨拶と曲目紹介があり、ショパンの「カンタービレ」が、しっとりと演奏され、続けて、同じくショパンの「ヘクサメロン」からの第6変奏を、柔と剛との対比も鮮やかに力強く演奏して魅了しました。
 2曲とも大変短い曲でしたので、もっと聴きたかったというのが正直な気持ちでしたが、今日はピアノのコンサートではなく、声楽がメインですので、仕方ないですね。

 ここでオペラの場面の説明があり、赤いドレスに着替えた児玉さんとテノールの長川さんにより、ドニゼッティの「愛の妙薬」の二重唱が、本間さんのピアノとともに楽しく歌われて、ちょっとコミカルなオペラの場面が思い浮かぶようでした。

 休憩後の後半は、ゲストの新潟青陵短大100人コーラスの合唱です。今年4月に入学した1年生主体の145人の学生と教員有志1人がステージにずらりと並んで壮観でした。
 青陵短大の教員である野口さん、栄長さんが、入学後の学生を授業として指導してきた成果の発表会でもあります。
 オペラとは関係がない「負けないで」「明日へ」「アイドル」の3曲が、野口さんの指揮、栄長さんのピアノ、そして学生によるカホンも加えて歌われましたが、若者たちの明るく爽やかな、美しい合唱に感激しました。「アイドル」では、数少ない男子学生も大活躍していました。
 入学後の短い期間で、ここまで聴かせる合唱に仕上げた指導力に感銘し、野口さんが学生たちに注ぐ視線や、落ち着かせようとする身振りから、優しい人柄が垣間見られ、学生たちとの良好な関係が伝わってきました。
 若者たちから元気をいただき、残り少ない私の寿命が、少しは伸びたような満足感を感じ、予期せぬプレゼントをいただいたように思いました。

 学生たちが退場し、続いては梅津さんのピアノ独奏で、ショパンのノクターン第20番が、しっとりと演奏され、胸に滲みました。

 続いて、梅津さんと本間さんのピアノ連弾で、ビゼーの「カルメン」からの音楽がメドレーで演奏されましたが、力強く華やかなピアノの迫力を楽しませていただきました。

 続いては、テノールの長川さんが本間さんのピアノとともに、レオンカヴァッロの「あなたが愛されますように」を切々と、情熱的に歌い上げました。
 続けてヴェルディの「仮面舞踏会」からの「永遠に君を失えば」を、劇的な歌声で、熱く感情を込めて歌いました。迫力あるピアノとともに、声量豊かな歌声で圧倒し、胸を熱くしました。

 続いて、オペラの場面の説明があり、グリーンのドレスに着替えた笠原さんが、梅津さんのピアノとともに、ロッシーニの「セヴィリャの理髪師」からのアリアを歌いましたが、前半以上に声の出が良く、声量豊かな、美しいコルラトゥーラソプラノに魅了されました。超高音の美しさはさすがです。

 そして最後は、ピアノの栄長さん、本間さんも含めて、出演者全員がグラスを持って登場し、梅津さんのピアノとともに、J.シュトラウス2世の「こうもり」から、お馴染みの「シャンパンの歌」が、それぞれが交代にソロを歌いながら、コミカルに、明るく楽しく歌い、コンサートの最後を賑やかに飾りました。
 
 新潟にこんなにも素晴らしい音楽家が居ることを知らしめてくれた内容豊富なコンサートでした。新潟人だけでもオペラ上演ができるというのは凄いことであり、感銘を受けました。これからのますますのご活躍を、蔭ながら応援したいと思います。

 気分良く外に出ますと、雨が降ったらしく、大きな水溜りができていました。自宅までの道中にも雨が降ったり、日がさしたりと、目まぐるしく天候が変わりました。なかなか天気は落ち着きませんね。

 
(客席:3-6、¥2000)