北区フィルハーモニー管弦楽団第12回定期演奏会
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2024年7月14日(日) 14:00 新潟市北区文化会館
指揮:長谷川正規
ゲストコンサートマスター:庄司 愛
 
ラヴェル:古風なメヌエット

ドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」より
  前奏曲とマズルカ
  間奏曲とワルツ
  バラードとスラヴ民謡の主題による変奏
  人形のワルツとチャルダッシュ

(休憩15分)

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90

(アンコール)
ブラームス:ハンガリー舞曲第3番
 
 今週末の新潟は、第44回新潟ジャズストリートが開催されており、各会場とも熱く盛り上がっていますが、それ以外にも魅力あるコンサートが開催されています。
 その中でも、今日は毎年楽しみにしている「新潟市ジュニア合唱団第34回定期演奏会」が開催されますが、この演奏会と見事に被ってしまいました。どちらに行こうか最後まで思い悩みましたが、この演奏会を選びました。
 昨年の第11回定期演奏会は新潟交響楽団第110回定期演奏会と重なりましたし、毎回苦渋の選択を迫られています。
 北区フィルは、2010年6月に開館した新潟市北区文化会館を活動拠点として、2010年11月に結成され、2011年5月には、LFJ新潟プレ公演に合わせて有志によるデビューコンサートが開催され、私も聴かせていただきました。
 そして、2011年10月に第1回ファミリーコンサート、2012年6月に第1回定期演奏会が開催され、以後毎年2回の演奏会を重ねて現在に至ります。結成当初からその歩みを見届けてきた私は、このオケには大きな思い入れがあり、今回の演奏会も聴かせていただくことにしました。

 指揮者は、第1回から指揮を執っている長谷川正規さんで、コンサートマスターはゲストの庄司愛さんです。前半はラヴェルとドリーブ、後半のメインプログラムはブラームスの交響曲第3番です。大いに楽しませていただきましょう。

 昨日のコンサートの記事を書き上げてアップし、ゆっくりと休日の朝を過ごし、簡素な昼食を摂って家を出ました。バイパスを快適に走って、35分で北区文化会館に到着できました。
 駐車場に車をとめて館内に入りますと、13時前ではありましたが、既に開場待ちの列が長く伸びていました。私もその列に並んで開場を待ちました。
 予定より5分早く、13時10分に開場となり、中段右側に席を取りました。開演時間が近付くにつれて客席は埋まり、満席に近い入りとなり、地域に根を下ろして親しまれていることがうかがえました。西区からはるばる聴きに来た私は、アウェイ感を感じました。
 昨年は開演前にプレコンサートがありましたので、今回も期待したのですが何もなく、この原稿を書きながら開演を待ちました。

 開演時間となり場内が暗転し、拍手の中に団員が入場しました。最後にゲストコンマスの庄司愛さんが登場してチューニングとなりましたが、このチューニングの音を聴いて、今日の演奏会の成功を感じました。
 オケの配置は通常の配置ですが、チェロが客席側で、ヴィオラが奥でした。弦は10型で、私の目視で弦5部は、10-10-9-7-4 のようでした。小型のオケですが、ステージいっぱいに並び、このホールにはちょうど良い大きさに思われました。

 大柄の長谷川さんがゆっくりと登場して、前半はフランスの作曲家の曲です。1曲目は、ラヴェルの「古風なメヌエット」で、ピアノ曲をラヴェル自身が管弦楽版に編曲した曲です。
 演奏が始まって、まず弦楽のアンサンブルの美しさに感銘を受けました。管の不安定さを多少感じましたが、何とか頑張ってくれて曲をまとめてくれました。

 管が減り、打楽器が増員されて、2曲目は、ドリーブの「コッペリア」です。組曲として4曲が演奏されましたが、1曲目の「前奏曲とマズルカ」は、ティンパニに始まり、ホルンが甘く響き、低弦のピチカートが加わりました。この前奏曲に引き続いて、お馴染みのマズルカのメロディが、軽快に、賑やかに鳴り響きました。ここでも弦の美しさが際立っていました。
 2曲目の「間奏曲とワルツ」は、弦楽で奏でられる美しいワルツにうっとりしました。鍛え上げられたヴァイオリンの美しいアンサンブルに感銘を受けました。
 3曲目の「バラードとスラブ民謡の主題による変奏」は、庄司さんのソロが美しく、その後のスラブ民謡の明るい舞曲は、大きくアクセントを付けて、多彩に形を変えて、楽しげに歌いました。管のソロでは、頑張れと声を上げたくなりましたが、何とか頑張ってくれました。次第にエネルギーを蓄えて、大きく発散させて、盛り上げて興奮を誘いました。
 4曲目の「人形のワルツとチャルダッシュ」は、ホルンに導かれてヴァイオリンが歌い、そして、怪しげに人形のコッペリアが動き出し、明るくワルツを踊りました。
 曲調が変わってティンパニが鳴り、チャルダッシュへ。ダイナミックに力強くリズムを刻み、弦も勇壮に歌い上げて、盛大に盛り上げてフィナーレとなりました。
 曲毎に大きな拍手が贈られましたが、北フィルの素晴らしさを知らしめてくれる素晴らしい演奏でした。日頃の練習の成果が良く出ていて、大きな感動をもたらしました。

 休憩後の後半は、ブラームスの交響曲第3番です。チェロは前半7人でしたが、8人になりました。長谷川さんがゆっくりとステージに登場して演奏開始です。
 金管に導かれて弦がメロディを奏でて第1楽章が始まりました。前半ではあまり感じられなかったアンサンブルの乱れが少し気になり、管が頑張りすぎて、管と弦のボリュームの違いが大きく感じられました。弦が14型くらいならちょうど良いように思われました。アマチュアの危うさを感じさせながらも、ブラームスらしい暗さ、渋さが出ていて、引き締まった演奏だったと思います。
 第2楽章は、抑揚のない長谷川さんの指揮ぶりと同様に、淡々と演奏が進みました。ゆったりさの中に不安定感があって、居心地の悪さを感じましたが、緊張感を維持し続けてくれました。
 第3楽章は、甘く切ないメロディを弦楽が美しく歌わせてくれました。この楽章は弦楽がメインなので聴きやすかったです。管の不安定さ、音量のアンバランスは気になりましたが頑張ってくれました。
 第4楽章は、これまで同様に、管のパートによって不安定さ、音のバランスの悪さを感じましたが、次第に演奏が引き締まり、最後は美しくまとめてくれました。終わり良ければすべて良し。いい演奏だったと思います。
 難を感じる場面はありましたが、アマチュア・オケとしては当然のことであり、全体としては良くまとまった演奏で、この曲の魅力を感じ取ることができました。皆さん自分の力を精一杯発揮して、特にオーボエの頑張りは特記しておきたいと思います。
 楽章間には盛大な拍手が贈られました。拍手しない者は悪人に思えるほどで、地域の方々に大きな感動をもたらした証でしょう。

 カーテンコールで、長谷川さんと庄司さんに花束が贈られました。打楽器が増員されて、長谷川さんの挨拶があり、アンコールにブラームスのハンガリー舞曲第3番が演奏されました。第3番というのは、なかなか渋い選曲ですね。
 オーボエが軽やかに歌い、ホルンが加わって、軽快にステップを踏みました。リズムを速めて、賑やかに足を踏み鳴らし、再び軽やかにステップを踏んで演奏を終えました。

 大きな拍手とともに、感動の演奏会は終演となりました。良い音楽を聴かせていただいた満足感とともにホールを出ますと、梅雨の中休みが終わって、小雨が降り出すところでした。帰り道も快適にバイパスを走り、渋滞がありながらも、40分もかからずに帰宅できました。
 
 
(客席:14-26、¥1000)