音コン・チアフルコンサート vol.2 春祭
  ←前  次→
2023年3月19日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
司会:中津川英子、塙康平
 
アイルランド民謡/クライスラー編:ロンドンデリーの歌
   フルート:尾崎博也、ピアノ:三宅月海
   
グリーグ:2つの悲しい旋律
後藤 丹:「さくら」に「よる幻想曲
   第1ヴァイオリン:佐々木友子、廣川抄子、松村牧子、近藤ほなみ
   第2ヴァイオリン:平山真紀子、原山美香、高橋百合         
   ヴィオラ:庄司愛、加納晶子、チェロ:渋谷陽子、片野大輔
   コントラバス:星野勝彦
   指揮:後藤丹
  
モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414
   ピアノ:関塚羽美(第1楽章)、三宅月海(第2・第3楽章)
   弦楽アンサンブル
   オーボエ:渡辺茜、金子いつか、ホルン:宮野大輔、尾崎祐司
   指揮:長谷川正規
  
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
シューベルト/大森栄一編:ます
シューベルト/大森栄一編:至福
村松崇継/Miyabi作詞:いのちの歌
   新潟市ジュニア合唱団、指揮:馬場幸、ピアノ:高橋歩美

(休憩:15分)

福田洋介:さくらのうた
ファルカシュ:17世紀の古典ハンガリー舞曲集
   フルート:尾崎博也、オーボエ:金子いつか、クラリネット:辻笑子
   ファゴット:金子恭子、ホルン:宮野大輔、打楽器:倉澤桃子
  
シャブリエ:スペイン狂詩曲
   ピアノ:鈴木賢太、田中幸治
  
プッチーニ:オペラ「蝶々婦人」より 《花の二重唱》
   ソプラノ:鈴木規子、メゾソプラノ:押見朋子
ロイド=ウェバー:ミュージカル「オペラ座の怪人」より
   《私を想って》《オペラ座の怪人》《ミュージック・オブ・ザ・ナイト》
   ソプラノ:梅澤ゆきの、バリトン:塙康平
   チアフル・コンサート・オーケストラ + クラリネット:伊奈るり子
   打楽器:倉澤桃子、ピアノ:田中幸治
   指揮:長谷川正規、アンサンブル編曲:後藤丹

岡野貞一/後藤丹編:朧月夜
ロジャーズ/後藤丹編:すべての山に登れ
   チアフル・コンサート・オーケストラ
   声楽アンサンブル + ソプラノ:丸山たい子
   新潟市ジュニア合唱団
   指揮:長谷川正規
 
(アンコール)
シューベルト/ショーバー作詞/後藤丹訳詩:音楽に寄せて
 

 「音楽でつながろう!」をテーマにした、新潟県音楽コンクール歴代受賞者、審査員、県内で活躍する音楽家によるクラシック・ガラ・コンサートです。

 半世紀以上の歴史を誇る新潟県音楽コンクール(音コン)は、新型コロナ禍で、2020年の開催は、残念ながら中止になってしまいました。音楽に触れ合う機会も減ってしまい、新潟の音楽文化をつなげていきたいと、コンクールの歴代受賞者、審査員等が参加しての「音コン・チアフル コンサート」が、2021年6月に開催されました。今回は、その第2回ということになります。

 新潟で活躍する音楽家が多数参加されており、まさにオールスターメンバーです。出演者の名前を拝見しただけで、胸が高鳴ってしまうのは私だけでしょうか。新潟市ジュニア合唱団も参加し、これは聴きに行くしかありません。
 今日はほかにも魅力的な公演が重なってしまい、苦渋の選択ともなりましたが、身体はひとつですので、仕方ありません。

 このところ、春の陽気が続いたかと思えば、冬の寒さに戻ったりと、落ち着かない天候が続いていましたが、今日は朝から晴れ渡り、青空が気持ちよい日曜日になりました。
 ゆっくりと昼食を摂り、晴れ渡った空の下、りゅーとぴあへと向かいました。駐車場に車をとめて、公園を散策しながら、りゅーとぴあ入りしました。桜のつぼみは膨らんできていましたが、開花まではもう少しかかりそうです。公園の芝生では、レジャーシートを広げて飲食しているグループもあり、春の訪れを実感しました。
 りゅーとぴあの館内に入りますと、既に開場されており、自由席でしたので急いで入場しました。既に1階、2階とも正面の客席はかなり埋まっていましたが、2階正面に空きを見つけて席を取りました。いつものクラシックコンサートとは、客層はかなり違うようでした。
 ステージ中央には、弦楽アンサンブルのための椅子が並べられており、ステージの右手にはピアノが設置されていました。
 開演時間が近付くに連れて客席はどんどんと埋まり、空いている席を見つけてレセさんが客を誘導していました。大盛況と言って良いでしょう。

 開演時間となり、場内が暗転し、右端のピアノにスポットライトが当てられ、フルートの尾崎博也さんと白いドレスが麗しいピアノの三宅月海さんが登場して、ロンドンデリーの歌で開演しました。緊張した様子も感じられましたが、柔らかなフルートと優しく寄り添うピアノが心地よく響きました。

 ここで司会の中津川さんとバリトンの塙さんが登場して挨拶があり、その間に弦楽アンサンブルの皆さんが入場して席に着き、MCの間にチューニングも行われました。
 弦5部は、4-3-2-2-1で、コンマスは佐々木友子さん、その隣には廣川抄子さん、後ろに松村牧子さんと近藤ほなみさん。第2ヴァイオリンは平山真紀子さん、原山美香さん、高橋百合さん、ヴィオラは庄司愛さんと加野晶子さん、チェロは渋谷陽子さんと片野大輔さん、コントラバスは星野勝彦さんと、県内のトップ奏者がずらりと並んでいて壮観です。
 後藤丹先生の指揮で、グリーグの2つの悲しい旋律が、しっとりと演奏され、弦楽アンサンブルの素晴らしさに感嘆しました。
 続いて後藤丹先生の作曲による「さくら」による幻想曲が美しく演奏され、曲の良さとともに、豪華メンバーによるアンサンブルを堪能しました。

 中津川さんのMCの間にステージが整えられ、弦楽アンサンブルにホルン2人(宮野大輔さん、尾崎祐司さん)、オーボエ2人(渡辺茜さん、金子いつかさん)が加わり、モーツァルトのピアノ協奏曲第12番です。指揮は長谷川正規さんです。
 白っぽいドレスの関塚羽美さんと長谷川さんが登場して、第1楽章を軽やかに、春風が吹くように爽やかに演奏しました。
 関塚さんと長谷川さんが退場し、青柄の模様のドレスに衣裳換えした三宅さんと長谷川さんが登場し、第2楽章と第3楽章が演奏されました。同じピアノにも関わらず、奏者の違いによる音色の違いが面白かったです。若さと躍動感を感じさせた関塚さんと違って、しっとりとした、落ち着きを感じさせる演奏で、どちらも甲乙付けがたく感じました。

 アンサンブルの皆さんが退場し、ステージが整えられる間に、中津川さんによりピアノの三宅さんと関塚さんへのインタビューがありました。
 一昨年のコンクールで三宅さんが大賞、関塚さんが県知事賞だったそうです。三宅さんは指導者として活躍されておられるそうです。協奏曲の演奏は今回が初めてだったそうですが、堂々たるものでした。関塚さんは高校を卒業して、音大に進学されるそうで、今後の活躍が期待されます。

 インタビュー中にステージにひな壇が作られ、中央にピアノが設置され、新潟市ジュニア合唱団の団員が静かに入場しました。指揮の馬場幸さん、ピアノの高橋歩美さんが登場して、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、シューベルトの「ます」「至福」、村松崇継の「いのちの歌」の4曲が続けて演奏されました。
 海野先生が去り、新しい指導者に代わりましたが、やはりジュニア合唱団は素晴らしいですね。澄みきった歌声に、汚れきった私の精神が浄化されるように感じました。最後の「いのちの歌」では、感動の涙が浮かんできました。

 休憩時間中に、ジュニア合唱団の団員が、ステージ横のAブロック、Eブロックに着席し、後半は、木管五重奏で開演しました。フルートは尾崎博也さん、オーボエは金子いつかさん、クラリネットは辻笑子さん、ファゴットは金子恭子さん、ホルンは宮野大輔さんです。
 最初は打楽器の倉澤桃子さんが加わって、「さくらのうた」が演奏されましたが、すこし硬さがあり、不安定さも感じました。緊張していたのかもしれません。
 倉澤さんが退場して、続いては、木管五重奏だけで、17世紀の古典ハンガリー舞曲集が演奏されました。5曲からなりますが、各曲の対比も鮮やかに演奏し、終曲は躍動感があって楽しませてくれました。

 中津川さんによるフルートの尾崎さん、クラリネットの辻さんへのインタビューの間にステージ転換され、ピアノが2台交互に向かい合うように設置されました。
 続いては、新潟ピアノ界の指導者として名高い鈴木賢太さんと田中幸治さんの2台ピアノで「スペイン狂詩曲」です。鈴木さんと田中さんのピアノの音量の違いが若干気になりましたが、色彩感あふれる迫力ある演奏を楽しませていただきました。
 
 ここで中津川さんと塙さんによるトークがあり、その間にステージが整えられ、ステージ左奥にピアノ、右奥にティンパニが設置されました。
 これまで登場した弦楽アンサンブルと木管五重奏(+ホルンの尾崎さん)にクラリネットの伊奈るり子さん、打楽器の倉澤さん、ピアノの田中さんが加わり、チアフル・コンサート・オーケストラとなりました。指揮は長谷川正規さん、編曲は後藤丹先生です。

 まず、ソプラノの鈴木規子さんと メゾソプラノの押見朋子さんが登場して、プッチーニの「花の二重唱」が歌われましたが、これは素晴らしいものであり、本日のプログラムの中でも一番だったように思います。大御所二人の素晴らしさ、そしてオケの素晴らしさ。最高のパフォーマンスでした。

 続いては、ソプラノの梅澤ゆきのさんとバリトンの塙康平さんにより、私が大好きな「オペラ座の怪人」からの3曲が、日本語の歌詞で歌われました。
 梅澤さんによる「私を想って」は可憐であり、クリスティーヌのイメージにぴったりでした。「オペラ座の怪人」は梅澤さんの歌に始まり、塙さんが加わって、ミュージカルの世界が眼前に広がりました。そして、塙さんによる「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」も圧巻でした。塙さんは劇団四季の舞台にも立たれているとのことであり、さすがと思わせました。

 中津川さんによる後藤先生へのインタビューの間にジュニア合唱団はPブロックに移動しました。先ほど見事な歌声で魅了した声楽陣4人にソプラノの丸山たい子さんが加わって、5人がステージ前方に並び、「朧月夜」と「サウンド・オブ・ミュージック」からの「すべての山に登れ」が演奏されました。
 声楽陣の中で男性は塙さん1人であり、「朧月夜」では塙さんがソロをとる場面が多かったですが、見事な歌声に感動しました。
 「すべての山に登れ」では新潟市ジュニア合唱団も加わって、感動の涙が目から溢れそうでした。最後を飾るに相応しい盛り上がりでした。

 大きな拍手に応えて、アンコールにシューベルトの「音楽に寄せて」を歌い、感動のステージを締めくくりました。「音楽でつながろう!」というテーマそのままに、音楽家同士、音楽家と聴衆とが確かに繋がりあったように思います。

 終演時間は、なんと16時50分。3時間にもなろうとする内容豊富なコンサートでしたが、飽きることなく楽しませていただきました。
 新潟の音楽家の素晴らしさを再認識し、音楽の素晴らしさを再確認し、心地良い疲労感とともに、ホールを後にしました。

(客席:2階C7-11、\2000)