東京交響楽団 第692回定期演奏会 Live from Suntory Hall !
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2021年7月17日(土)18:00 サントリーホール
指揮:ジョナサン・ノット
チェロ:伊藤文嗣(首席チェロ奏者)
ヴィオラ:青木篤子(首席ヴィオラ奏者)
コンサートマスター:水谷 晃
 


R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 op.35

(休憩20分)

シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

 
 
 サントリーホールでの東京交響楽団第692回定期演奏会が無料ライブ配信されることになり、せっかくですので今回も聴かせていただくことにしました。

 東京交響楽団のライブ配信は、新型コロナ禍により、昨年来何度も行われており、その度に視聴させていただいております。
 一番最近は、6月27日の川崎定期演奏会第80回で、飯守泰次郎さんの指揮で、ブルックナーの交響曲第7番を楽しませていただきました。ただし、このときは、前半のプログラムのライネッケのハープ協奏曲(独奏:吉野直子)を聴くことができませんでしたので、記事にはしませんでした。その前は5月27日で、今日と同様にノットさんの指揮で、マーラーの「巨人」が演奏されました。

 今回の演目は、前半が東響が誇る首席奏者の、チェロの伊藤文嗣さん、ヴィオラの青木篤子さんを迎えてのR.シュトラウスの「ドン・キホーテ」、後半がシベリウスの交響曲第5番です。両方ともなかなか演奏を聴く機会が少ない曲であり、どんな演奏になるのか楽しみでした。

 いつものようにニコニコ動画のサイトに接続しますと、無人のステージが映し出されていました。緊急事態宣言下ではありますが、制限なくチケットは発売されており、客席はそれなりに埋まっていました。

 拍手の中に団員が入場。最近は東京でも新潟方式になっていましたが、今回は新潟方式とは異なり、ステージに出た団員はすぐに着席してしまいした。
 最後に独奏者のヴィオラの青木さん、チェロの伊藤さんとコンマスの水谷さんが登場してチューニングとなりました。伊藤さん、青木さんはいつもの首席奏者席ですが、マスクなしです。今日の次席は田尻さん、廣岡さんは2列目におられました。
 配列は、ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、チェロとコントラバスが左、ヴィオラが右です。16型のフル編成で、ステージいっぱいのオケは壮観です。

 マスクをしたノットさんが登場して開演です。以後マスク姿のままで指揮しました。チェロがドン・キホーテ、ヴィオラが連れのサンチョ・パンサを演じて、2人の冒険の旅が始まりました。
 チェロが主役のチェロ協奏曲的な曲ですが、切れ目なく物語りが続きます。コンマスの独奏も多いのですが、これはどういう役回りでしょうか。
 台詞をしゃべるような青木さんのヴィオラ独奏の面白さ。堂々と雄弁に語る伊藤さんのチェロ。そのほかにも多彩な楽器が加わって繰り広げられる音楽劇に酔いしれました。
 主役はもちろんドン・キホーテであり、伊藤さんのソロが素晴らしかったです。特に終盤の長大な美しいソロはうっとりと聴き入りました。
 静かに曲が終わり、大きな拍手が贈られました。まだ前半というのに、長々とカーテンコールが続き、演奏の素晴らしさを物語っていました。

 休憩後の後半は、パラパラ拍手の中に団員が入場。全員揃って数秒の静寂の後にチューニング。ノットさんが登場して演奏開始です。
 北欧の雄大で自然豊かな空気感が漂う出だしから、まさにシベリウスという音楽が流れ出ました。管楽器群の美しさ。さすがに東響はいい仕事をしてくれます。ちょっと暗さを感じさせる混沌とした音楽は、冬の新潟の鉛色の空を感じさせました。次第にスピードアップし、ティンパニの連打と共に、金管がファンファーレを奏でて第1楽章が終わりました。
 第2楽章は、ゆったりとした、ほっとするような音楽が形を変えながら流れ出て、どこかで聴いたようなメロディ(タコ7?)が耳に良く馴染みました。
 アタッカで第3楽章へ。大急ぎで疾走した後に、ホルンが叫び、雄大な大地を髣髴させるスケール感のある音楽が歌われました。その後は再び駆け足となり、小さな震えが大きな脈動となり、大きなうねりとなりました。盛り上がりがピークとなり、音を刻んで感動の音楽が終わりました。

 前半・後半とも素晴らしい音楽でした。ノットさんと東響とが作り出した心を揺さぶる音楽に力をいただき、ニコニコ動画のサイトを後にしました。

 

(客席:PCの前、無料)