りゅーとぴあの開館当初から、新潟市内の小学校5年生全員が、りゅーとぴあに招待され、コンサートホールで東京交響楽団の演奏を聴くという「わくわくキッズコンサート」が毎年秋に開催されてきましたが、新潟市の財政難から2018年度から中止されました。
これに代わるコンサートとして企画されたのが「オーケストラはキミのともだち」と題されたコンサートで、夏休みに合わせて8月初めに開催されています。
プログラム内容は従来とほぼ同様ですが、一般にも対象を広げ、1日2回公演で開催されています。肩の凝らない楽しい内容ですので、いい年をしたジジイである私も、昔の子供ということで、初回の2018年、そして2019年と参加させていただき、今回3回目となります。
これまでは、「わくわくキッズコンサート」 時代からずっと飯森範親さんが担当してくれていましたが、今回は原田慶太楼さんに代わりました。
東京交響楽団の正指揮者だった飯森さんが卒業して特別客演指揮者となり、来年4月からは原田さんが次の正指揮者に就任することが発表されており、飯森さんの業務を原田さんが受け継いだということでしょうか。
原田さんは活躍が目覚ましい若手指揮者であり、「題名のない音楽会」にも何度か出演され、お名前は知っていましたので、この機会に是非とも実際の演奏を聴いてみたくて、新潟初登場のこのコンサートを聴かせていただくことにしました。
今年は11時と14時の2回公演ですが、11時開演の第1回は3歳以上を対象、14時開演の第2回は小学生以上対象で未就学児は不可ということでしたので、第2回を選ばせていただきました。「子どものための芸術文化体験事業」という名目でのコンサートに、私のようなジジイが参加するのは気が引けるのですが、精神年齢は子供のままですので、お許し下さい。
本日の1回目の公演は10時半の開場、11時の開演ですので、東京交響楽団の皆さんは朝早くから準備、リハで大変だったことでしょう。新幹線の始発ではぎりぎりであり、昨日からの新潟入りでしょうか。
先週の日曜日に「新潟特別演奏会 2020盛夏」のために来演したばかりであり、2週連続の新潟での演奏会となります。お疲れ様です。
活発な梅雨前線により、今朝まで新潟県内は大雨に見舞われましたが、天候は徐々に回復し、雲の間から青空が見え、次第に晴れ渡ってきました。関東甲信は今日梅雨明けし、新潟の梅雨明け宣言も秒読みとなり、いよいよ本格的な夏を迎えます。
しかし、新型コロナ感染は、新潟市内でも感染者が一気に増えて心配な状況です。心は暗くなりますが、いい音楽を聴いて、気分転換することにしましょう。
午前中に所用を済ませ、いつものように上古町の楼欄で絶品の冷やし中華をいただき、賑やかに蝉の鳴く白山公園を抜けて、りゅーとぴあへと向かいました。
ロビーは開場を待つ親子連れで混雑していました。私も開場待ちの列に並び、体温チェックを受けて入場し、2階正面に席を取りました。
客席は1席ずつ空けて発売されて、モザイク状に客が入りましたが、なかなかの盛況です。未来を担う子どもたちがたくさん来ていて良かったです。
13時50分から石丸由佳さんによるオルガンのウェルカム演奏が行われました。初めて聴く曲でしたが、明るく華やかな曲で、最後はオルガンの最上部にある“星”をキラキラと回転させて楽しませてくれました。オルガンの響きを子どもたちは楽しんでくれたものと思います。
時間となり拍手の中に楽員が入場。最後にニキティンさんが登場して大きな拍手が贈られました。オケの配置はオーソドックスな配置で、弦5部は私の目視で、12-10-8-7-6
という12型の編成で、先週よりも大きな編成です。
原田さんとりゅーとぴあの榎本さんが一緒に登場して、恒例の「ディズニーのメロディによる管弦楽入門」で開演しました。お馴染みのメロディに乗せて、順に各楽器の紹介がなされますが、榎本さんのナレーションも何年目かになり、手馴れたものです。
ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」をイメージして作られたと思われ、最後のトゥッティによるフーガはブリテンそのものですが、楽しく聴けて良いですね。
榎本さんが下がって、以後原田さんのMCで演奏が進められました。照明効果も加わって「スターウォーズ」の迫力は、まさにオーケストラの醍醐味であり、気分爽快になりました。子どもたちもフルオーケストラの迫力に圧倒されたのではないでしょうか。
「ハリーポッター」のチェレスタの深遠な響きで興奮を沈め、「ラデツキー行進曲」を手拍子で楽しみ、「白鳥の湖」をうっとりと聴き、「山の魔王の宮殿にて」でオーケストラは大爆発しました。
「ウイリアム・テル」で軽快に走りぬけ、「パプリカ」で子どもたちはダンスし、「ファランドール」で畳み込むリズムで圧倒し、オーケストラの魅力を子どもたちに知らしめてくれました。
そして、アンコールは毎回恒例の「君をのせて」で、しっとりとした感動の中に終演となりました。オケが退席しても拍手は続き、聴衆の感動が示されていたように思います。
東響の皆さんは、フル編成で新潟に来てくれてプロの音楽を聴かせてくれました。2週連続の来演に感謝し、見事なパフォーマンスを賞賛したいと思います。これまで東響は何度聴いた数え切れませんが、何度聴いても新鮮な感動をもらえます。
原田さんの作り出した演奏は、早めのテンポでグイグイと押しのけて疾走し、気持ちの良いものでした。つわもの揃いの東響を手の内に納め、ドライブし、生き生きとして躍動感が弾け、色彩感あふれる音楽を作り出し、楽しませてくれました。
今年35歳の原田さん。若さ溢れる演奏は爽快であり、正指揮者に就任し、東響を新たな時代へと導いてくれるものと思います。
そういえば、飯森さんが新潟に初めて来たときは原田さんくらいの年齢じゃなかったかなあ、などと思い起こし、年月の移ろいを実感しました。
今回初めてオーケストラを聴く子どもたちが多かったですが、最初から一流の演奏を聴けた子どもたちは幸せだと思います。ホールを埋めた子どもたち、そして昔の子どもたちは、みな満足してくれたものと思います。今日の感動をきっかけにして、是非とも音楽を好きになって、りゅーとぴあに足を運んでほしいです。
気分爽やかにホールを出ますと、空は晴れ渡り、真夏の太陽が照りつけていました。蝉の声も賑やかで、ようやく新潟も梅雨明けでしょうか。
(客席:2階C2-9 、一般:¥1500) |