5台ピアノの世界
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2019年5月12日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ:中川賢一、田村 緑、白石光隆、デュエットゥ かなえ&ゆかり
 

メンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」より “結婚行進曲”

ヘンデル:「水上の音楽」組曲第2番より “アラ・ホーン・パイプ”

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

ホルスト:組曲「惑星」より 第4曲“惑星”

シャブリエ:狂詩曲「スペイン」

エルガー:行進曲「威風堂々」第1番

(休憩20分)

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(全曲)

(アンコール)
木内佳苗(デュエットゥ編):信濃川悠々
ラヴィニャック:ギャロップマーチ

 昨日の「ピアノ駅伝」の出演者が一堂に会しての5台ピアノにるコンサートです。2台ピアノによるコンサートは度々ありますが、5台ピアノによるコンサートは新潟初であり、全国的にも珍しいのではないでしょうか。当然5台ピアノの録音も少なく、私の手元には THE 5 BROWNS のCDが1枚あるのみです。

 りゅーとぴあは5台のフルコンサートグランドピアノ(スタインウェイD274 2台、ベーゼンドルファー290インペリアル、ヤマハCFIIIS、カワイEX)を保有しており、これらが総動員されました。
 これだけのフルコンサートグランドピアノを有するホールは全国でも珍しいと思われ、りゅーとぴあならではの企画と思います。私の残された人生を考えますと、今回を逃すともう二度と聴けないかも知れません。
 出演は、中川賢一さん、田村 緑さん、白石光隆さん、そしてデュエットゥの木内佳苗さん、大嶋有加里さんの5人です。入念な練習を積まれて今日のコンサートに臨まれています。
 
 今週末は天候に恵まれ、今日も快晴となりました。風も心地よく、春から初夏へ向けて、季節の移ろいを感じます。過ごしやすさでいえば、今が新潟のベストシーズン。一年中こういう気候だと良いのですけれど・・。

 昼食をゆっくりと摂り、早めに駐車場入りし、昨日から開催中の「古町どんどん」を覗いて来ました。上古町の静かさから一転して、5番町に入りますとものすごい人出でした。飲食ブースには行列ができ、日頃の古町からは想像できない賑わいでした。かつて賑わっていた昭和の古町を思い起こしました。
 6番町でジャズライブを聴き、5番町に戻りますと、ご当地アイドルのライブが始まり、オジサン方の掛け声に圧倒されました。新潟も元気ですね。

 ゆっくりと歩いてりゅーとぴあ入りし、開場とともに入場しました。私は東響定期会員枠ですので、いつもと同じ席です。チケット完売ということで、満席! 久々ですね。
 ステージには、りゅーとぴあが誇るフルコンサートグランドピアノが5台、半円形に並べられています。左から順に、スタインウェイ、ヤマハ、ベーゼンドルファー、カワイ、スタインウェイです。この中で、中央に位置するベーゼンドルファー・インペリアルの巨大さが目を引きます。

 開演時間となり、5台ピアノによる“結婚行進曲”で演奏開始です。左から順に、田村さん、白石さん、中川さん、木内さん、大嶋さんという並びです。田村さんは水色のドレス、白石さんは白い上下、中川さん黒のスーツ、木内さんは黄色のドレス、大嶋さんは若草色のドレスです。
 5台ピアノのゴージャスなサウンドはさすがです。ベーゼンドルファーの重低音が土台となり、重厚な音の厚みを作っていました。
 以後曲毎にピアノのフォーメーションとピアニストの配置が変わり、各出演者が順に曲目紹介しながら演奏が進められました。

 ピアノの配置が変えられて、2曲目はスタインウェイ2台を連弾(2台4手)で“アラ・ホーンパイプ”です。左の1stが木内さん、2ndが大嶋さん、右の1stが白石さん、2ndが中川さんという配置で、明るく軽快に、そして華やかに演奏されました。

 次は、スタインウェイ、カワイ、スタインウェイの3台で、左から木内さん、田村さん、大嶋さんという女性3人により“亡き王女のためのパヴァーヌ”が演奏されました。しっとりと優しいピアノの調べで、心は癒されました。

 最初の5台ピアノの配置に戻され、次は、“木星”です。左から白石さん、木内さん、田村さん、大嶋さん、中川さんという配置で、ダイナミックに、パワー全開に演奏し、その迫力に圧倒されました。

 次の狂詩曲“スペイン”は、左から木内さん、大嶋さん、白石さん、中川さん、田村さんという配置で演奏され、色彩感と情熱あふれる音の洪水で魅了しました。

 続く“威風堂々”は、田村さん、中川さん、白石さん、木内さん、大嶋さんという配置で演奏され、厚みとパワーみなぎるダイナミックなサウンドに酔いしれました。

 この感動は、単に音量が豊かということだけではなく、卓越した演奏技術と5人の調和があってこそです。お互いが見通せない5人が息を合わせることが難しいことは想像に難くなく、その苦労が忍ばれます。

 休憩後はメインの“展覧会の絵”です。左から白石さん、木内さん、田村さん、大嶋さん、中川さんという配置で演奏されました。白石さんは黒いスーツ、木内さんと田村さんは白いドレス、大嶋さんは黒いパンツルックに衣裳換えしておられ、曲への意気込みが感じられました。

 演奏は期待にたがわぬもの。曲ごとの対比も鮮やかに、色彩感あふれる音楽を生み出していました。溢れ出る音の洪水に身を委ね、グロテスクなまでの重低音の咆哮に押しつぶされ、巨大な音の大伽藍に圧倒されました。5台ピアノのパワー恐るべしです。

 満席のホールは興奮に包まれ、アンコールは木内さん作曲による“信濃川悠々”で興奮を鎮めました。この曲は昨日も演奏されましたが、昨日は2台ピアノで、今日は5台ピアノ版です。朱鷺メッセの展望台から見える信濃川からインスピレーションを得て作曲した曲だそうですが、美しい曲ですね。新潟にちなんだ曲としてこれからも演奏してもらいたいものです。
 そして最後の最後は、“ギャロップマーチ”。5人が1台のピアノで演奏するという離れ業で観客を沸かせて、この画期的なコンサートを締めくくりました。

 5人の実力者が練習を重ねて、満席の観客とともに、一期一会の感動のコンサートを実現しました。そのコンサートに同席していたという幸運をかみ締め、大きな感動と満足感を胸に家路に着きました。


(2020/6/9追記)

演奏の模様が動画配信されています。

 シャブリエ作曲:スペイン

 ラヴェル作曲・駒井一輝編:亡き王女のためのパヴァーヌ(3台ピアノ)

 エルガー作曲:行進曲「威風堂々」第1番

 木内早苗作曲・デュエットゥ編:信濃川悠々
 
 

(客席:2階C*-*、東響定期会員招待)