スペシャル市民オーケストラ 開港150周年記念コンサート
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2019年4月28日(日) 16:30 新潟市民芸術文化会館 劇場
 
演奏:スペシャル市民オーケストラ
指揮:坂井悠紀
司会:遠藤麻理
 

ムソルグスキー:展覧会の絵 より プロムナード

<楽器紹介>ピチカート・ポルカ ほか

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」より 第1楽章

<開港と西洋音楽の歴史について>
   賛美歌:主、我を愛す (合唱:チャイルド・アゲイン)

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」より 第1楽章

ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」より 「行け我が想いよ黄金の翼に乗って」
   合唱団:新潟明訓高校合唱部、東京学館新潟高校合唱部
        県立新潟高校合唱部、チャイルド・アゲイン

エルガー:行進曲「威風堂々」第1番 抜粋

(アンコール)
J.シュトラウスI:ラデツキー行進曲

 本日の公演の最後を飾るのは、スペシャル市民オーケストラによるコンサートです。新潟港は1869年に開港し、今年が150周年です。これを記念してのコンサートです。
 スペシャル市民オーケストラは、新潟市で活動する市民オケのメンバーが結集したオーケストラです。これまでもラ・フォル・ジュルネ新潟のプレ公演等で演奏しており、直近では2017年4月にも聴いています。
 指揮は坂井悠紀さん。新潟市内に勤務されておられ、ほかに本職があるという点ではアマチュア指揮者ということになりましょうが、東京音大で作曲・指揮を専攻されたプロです。2014年4月にこのオケが結成されたときから指揮を担当されており、音楽監督といいますか、育ての親といえましょうか。

 オーケストラ公演を劇場で行うというのは異例ですが、先にコンサートホールでのギターデュオの公演が決まっていましたので、この会場になったものと思います。
 ギター公演が押してしまいましたので、入場に手間取りましたが、なかなかの集客となったようです。朝には「0歳からのコンサート」が行われましたが、どうでしたでしょうか。
 今回は3歳以上可となっていて、家族連れも多いようでした。「楽器紹介」コーナーがあるように、ファミリー向けのプログラムが組まれましたが、私のようなジジイも開港150周年を祝うべく参加させていただきました。

 FM PORT でお馴染みの遠藤麻理さんの軽妙な司会で演奏が進められました。オケの編成は、弦5部がヴァイオリンから順に、8-7-5-5-3と小型で、室内オーケストラサイズというところでしょうか。コンマスは曲毎に変わりました。

 新潟港が開港した時代に作曲された曲ということで、「展覧会の絵」で開演しました。聴き所の金管をはじめ、アンサンブルがバッチリときまり、オケの仕上がりの良さを感じさせました。欲を言えば、響きの良いコンサートホールで聴きたかったなあ・・・。

 楽器紹介コーナーでは、各セクションがワンフレーズずつ演奏してくれましたが、弦セクションでは、ヴィオラが単独で演奏したほか、弦楽全体でピチカート・ポルカを演奏して楽しませてくれました。

 続いては「シェヘラザード」。コンミスの河本彩さんのすばらしいヴァイオリン独奏に感嘆しました。河本さんの演奏を聴くのは久しぶりでしたが、すばらしい成長ぶりに驚きました。いい演奏でした。

 続いて新潟港開港と西洋音楽の関わりについての解説がありました。新潟に始めてきた外国人として宣教師がいましたが、その宣教師が新潟に初めて伝えた西洋音楽が賛美歌です。当時歌われたであろう賛美歌を、チャイルドアゲインという合唱団が電子オルガンをバックに歌ってくれて、胸に染みました。

 次は、新潟市のキャッチコピーが“田園交響都市”ということで、ベートーヴェンの田園が演奏されました。これに先立って、すばらしいソロを聴かせてくれた河本さんへのインタビューのほか、新潟市の公務員の団員として紹介された白井さんへのインタビューがあって面白かったです。遠藤さんの無茶振りで、河本さんが返事に困っていたのがまたチャーミングでした。

 続いては、新潟市内の高校の合唱部と先ほどのチャイルドアゲインの皆さんがステージ後方に並んで、「行け我が想いよ黄金の翼に乗って」が声高らかに歌われ、感動の音楽でホールを満たしました。

 そしてプログラム最後は、エルガーの「威風堂々」が合唱入りで演奏され、開港150周年を、ホールを埋めた聴衆とともに祝いました。

 アンコールは予想通りに「ラデツキー行進曲」。こういう場面には欠かせない曲ですね。奏者と観客とが一体となり、和やかな中にコンサートは終演となりました。
 市民オーケストラに市民の合唱団、指揮者も市民。まさに新潟市民の手による手作り感溢れる演奏は、親近感と感じて良かったです。
 私も新潟市民であり、新潟港、新潟市のさらなる発展を祈りながら、穏やかな陽気の白山公園を通って家路に着きました。

 

(客席:2階19-21、¥1000)