小千谷コミュニティオペラ2018 愛の妙薬
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2018年4月8日(日) 14:00  小千谷市民会館 大ホール
 
 
ドニゼッティ:愛の妙薬 (イタリア語上演、日本語台詞)

  第1幕

  (休憩)

  第2幕



ピアノ・指揮:河原忠之
演出:太田麻衣子

アディーナ:盛田麻央(ソプラノ)
ネモリーノ:高柳 圭(テノール)
ベルコーレ:大山大輔(バリトン)
ドゥルカマーラ:品田広希(バリトン)
ジャンネッタ:関 萌子(ソプラノ)

小千谷コミュニティー合唱団

 小千谷市民会館リニューアルオープンを記念して企画された市民オペラ公演です。小千谷市出身のオペラ歌手(藤原歌劇団所属)の品田広希さんが、市民とプロの音楽家とでオペラ公演を行おうと実行委員会を立ち上げ開催されたものです。

 品田さんは以前リサイタルを聴いたことがありますが、声楽家というよりオペラ歌手という表現がぴったりの芸達者な「役者」です。地元愛も強く、なじみのないクラシック音楽の楽しみを広めようと地道な活動をされていることは賞賛すべきと思います。今回も小千谷ではこれまで実績のない市民オペラをやろうという無謀ともいえる冒険を試みました。
 事務局を務め、出演もされた方と懇意にさせていただいており、公演の企画、資金集め、準備の苦労は伝え聞いていましたので、オペラ公演を見事に成功させたことは素晴らしいことと思います。

 私は観に行くことはできませんでしたが、チケットはすぐに完売となり、大盛況だったそうです。この度事務局の方から公演の記録DVDをいただき、鑑賞させていただきました。
 市民オペラということで、それなりの内容だろうと思っていたのですが、非常に高水準な内容に感動しましたので、ここで紹介させていただくことにしました。

 品田広希さんの人脈により、河原忠之先生をはじめ、プロの音楽家の皆さんが、ほとんと手弁当という形で協力してくれたそうです。
 限られた予算ですので、セットも衣装も実行委員会の皆さんの手作りだそうです。衣装の生地は地元名産の「小千谷縮」を使用し、高価な着物も材料に使われたそうです。インチキ薬売りのドゥルカマーラの衣装の背中に小千谷の名産品である錦鯉が描かれていましたが、これは刺繍したものだそうです。

 舞台左手にピアノがセットされ、後は簡素なセットがあるだけです。結果としてこれで十分でした。河原先生のピアノとともに開演しました。

 アディーナ役の盛田麻央さん、ネモリーノ役の高柳 圭さん、ベルコーレ役の大山大輔は東京より招聘し、そしてドゥルカマーラが地元出身の品田さんです。
 各人とも表現力豊かな歌声と演技で、さすがにプロだなあと感じました。台詞は日本語で、小千谷弁も交えながら笑いを誘い、楽しく物語が進行しました。でも歌はイタリア語で歌い、聴き応えあるアリアを聴くことができました。会場には字幕がありましたが、DVDには字幕はなく、歌の意味がつかめませんでしたが、それでも素晴らしい歌声に引き込まれました。
 村娘のジャンネッタ役の関さんは地元公募の合唱団の中から抜擢されたそうですが、声楽を学ばれた方であり、プロの方々に引けをとらないアリアを聴かせてくれました。
 その他大勢の村人たちは地元の方々ですが、それぞれがしっかりと演技し、イタリア語で歌い、その熱演に感動しました。

 興奮と感動の中に終演を迎えましたが、会場の熱狂振りから、オペラを地元の方々がしっかりと楽しまれたことが伝わりました。カーテンコールでは出演の方々に品田さんから愛の妙薬ならぬ小千谷の銘酒が贈られ、労をねぎらいました。

 このオペラは、これまで実演では、りゅーとぴあでのハイライト版しか観たことはありませんが、喜劇ということで親しみやすくて演目としても良かったと思います。

 地方の小さな町で、市民の力でオペラを上演する苦労は想像に難くありません。市民会館のリニューアルオープン記念のため、会場は直前まで使用できず、練習に苦労したとのことです。さらに、字幕に関してのアクシデントがあって、直前まで大きなドラマがあったそうです。そういう苦難を乗り越えての公演成功であり、ブラボーを贈りたいと思います。
  

(客席:ビデオ鑑賞)