鍵冨弦太郎 秋のアンサンブル
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2017年11月4日(土)14:00 だいしホール
 
ヴァイオリン:鍵冨弦太郎
ピアノ:小澤佳永
オーボエ:若山健太
 

グラナドス:ヴァイオリンソナタ (未完)

スヴェンセン:ロマンス

メンデルスゾーン:ソナタ ヘ長調 1838

(休憩15分)

テレマン:ふたつの楽器のための6つのカノン から 第1番、第3番

バッハ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1060

(アンコール)
ポンセ:エストレリータ

 

 冷たい雨が降り続いて生憎の天候となりました。鉛色の空。気温も低く、冬近しを感じさせて憂うつな気分です。体調も不良でどうしようかと思いましたが、チケットがもったいないですので気分転換に出かけました。

 これまで鍵富さんのコンサートは何度か聴かせていただいておりますが、初めて聴いたリサイタルは2008年7月、そして一番最近は2014年10月ですので、3年振りになります。前回は内容的に必ずしも十分でなかったような印象があり、今回もどうしようかと思案しましたが、その後の成長を期待してチケットを買いました。

 三吉屋でいつもの中華大盛を食べ、開場時間にホールに到着しましたが、開場待ちの人はまばらでした。天気が悪くて出足が悪いのでしょうか。
 開場時に受付で渡されたのは、曲目が書かれたB5の紙が1枚だけ。曲目解説がないのは我慢するにしても、出演者のプロフィールどころか出演者名もありません。共演者に失礼ではないでしょうか。それなりの入場料を取っているわけですから、見開き1枚くらいのパンフレットくらい作っても良いのではないでしょうかねえ・・。前回もこうでしたから、これが鍵冨流なんでしょうね。

 開演時間になるにつれ客も増えてきて、ますまずの客の入りとなりました。圧倒的に女性客が多くて、人気のほどが伺われます。

 黒シャツの鍵冨さん、若山さん、クリーム色のドレスで小柄な小澤さんが登場。鍵富さんの挨拶とメンバー紹介の後、曲目解説をはさみながら演奏が進められました。オーボエの若山さんは前半は譜メクリストとして活躍されました。
 鍵富さんはメロディの歌わせ方が素晴らしく、ロマン性溢れる前半の3曲はうっとりと聴かせてくれました。快い柔らかなヴァイオリンの調べに酔いしれました。

 後半最初は、ヴァイオリンとオーボエの二重奏です。ヴァイオリンの後をオーボエが同じメロディで追いかけるカノンが面白かったです。オーボエの音色も美しく、心地良かったです。

 最後は3人でバッハです。これも3人の良さが良く出ていました。オーケストラパートを受け持つピアノの上に、ヴァイオリンとオーボエが舞い踊るようで、軽快で優雅な音楽に酔いしれました。

 アンコールは前回聴いたときと同じエストレリータ。こういう甘くて切ないメロディは鍵冨さんにぴったりですね。女性ファンが多いのもうなずけます。

 余り知られていない曲を演奏したと本人が話されていましたが、魅力的なプログラムで、聴き応えがありました。前回のコンサートで感じた欲求不満はなく、大いに楽しめました。トークは上手じゃないですが、以前よりずっと良くなりましたね。

 5時からはホテルで懇親会が開催されるそうです。ファンの人たちで賑わうことでしょう。オーケストラのアシスタントコンマスや室内楽で活躍されているそうですが、これからのますますのご発展をお祈りします。
 

(客席:F-6、¥2500)