東響ロビーコンサートの後、両親と兄の墓参を済ませ、再びりゅーとぴあに戻りました。昨年11月以来、4ヶ月ぶりの東響定期です。にいがた東響コーラスとの共演、馴染みやすいプログラムということもあってか、今シーズン一番の集客となりました。満員の客席は、見るだけでも気持ちよく、高揚感を感じます。
拍手の中、合唱団が入場。レクイエムという演目に合わせて、女性陣も黒い衣装でまとめています。次いで楽団員が入場。最後にニキティンさんが登場し、大きな拍手が贈られました。チューニングはオルガンの音で始まりました。
最初はフォーレのレクイエムです。数あるレクイエムの中でも、癒しという点では一番ではないでしょうか。若い頃から大好きであり、クリュイタンスやコルボのCDを愛聴しておりました。
オケは小編成で、コントラバス、チェロは左手に並び、ロビコンで活躍したヴィオラセクションは右の最前方です。ステージの後方に合唱団が整列しました。
飯森さんと甲斐さんが登場して開演です。第1曲の出だしの合唱の荘厳な響きに導かれ、コンサートホールは聖堂へと変貌しました。
練習が積まれたコーラスは、楽譜なしで歌い、胸に迫るハーモニーで癒してくれました。甲斐さんの歌声は朗々と響き、オルガンの重厚な響きがオケと融合し、清廉な音楽を創りだしていました。
ピエ・イエスで森さんは黒いドレスでオルガン席で歌い、澄んだ歌声は天から差し込む一条の光のようであり、見事な演奏効果をあげていました。この辺の飯森さんの演出はにくいですね。
終曲のオルガンの優しい響きで天国に誘われ、数秒の静寂ののち、指揮棒が下ろされるとともに、盛大な拍手とブラボーがホールをこだましました。
飯森さんは、この曲の魅力を十二分に表現し、心を打つ音楽に酔いしれました。合唱も、独唱者も、そしてオケもすばらしかったですが、オルガンも讃えるべきだと思います。終始演奏し続けていたにも関わらず、山本真希さんの名前がクレジットされていないのは残念に感じました。
後半最初は、水色のドレスが麗しい萩原さんを迎えてのラヴェルの協奏曲です。食わず嫌いであったこの曲でしたが、「のだめ」でこの曲の魅力に気づき、以来大好きな曲になっています。ジャジーな雰囲気があり、洒落た曲ですが、萩原さんもオケも、色彩感豊かに曲の良さを存分に表現していました。
第2楽章での最上さんの長大なソロもお見事であり、東響の実力をまざまざと見せ付けられたように思いました。容姿端麗な萩原さんはステージ映えし、カーテンコールで出入りする姿も絵になっていました。盛大な拍手に応えてドビュッシーを演奏してくれて、うっとりと聴き入りました。
続いてオケの編成が大きくなり、ラヴァルスです。うねるような弦楽の響き。飯森さんはオケを良く鳴らして、ゴージャスな響きを作り出し、芳醇なオーケストラサウンドで酔わせてくれました。
そして最後はボレロ。各楽器のソロもお見事としか言いようがなく、フィナーレに向かってひたすらクレッシェンドを続け、興奮と感動のエンディングを向かえました。これまでこのホールで聴いたこの曲の最良の演奏ではなかったのではないでしょうか。
飯森さんの曲作りはわかりやすく、聴かせどころ見事に決めて、理屈なく楽しめる音楽を聴かせてくれました。今年のベストコンサート候補になる演奏に早くも出会えて、幸せ気分で家路に着きました。
(客席:2階C*−*、S席:定期会員 \5600) |