第17回ショパン国際ピアノ・コンクール2015 入賞者ガラ・コンサート
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2016年1月26日(火) 18:30  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ヤツェク・カスプシック
管弦楽:ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:エリック・ルー、イーケ・(トニー・)ヤン、ドミトリー・シシキン
    ケイト・リウ、シャルル・リシャール=アムラン、チョ・ソンジン
 

エリック・ルー (第4位)
 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 op.22 (オーケストラ付)

イーケ・(トニー・)ヤン (第5位)
 ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 より 第1楽章

ドミトリー・シシキン (第6位)
 ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 より 第2楽章、第3楽章

(休憩20分)

ケイト・リウ (第3位)(マズルカ賞)
 ワルツ第4番 ヘ長調 Op.34-3 「華麗なる円舞曲」
 3つのマズルカ Op.56 第1番ロ短調、第2番ハ長調、第3番ハ短調

シャルル・リシャール=アムラン (第2位)(ソナタ賞)
 ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58 

チョ・ソンジン (第1位)(ポロネーズ賞)
 夜想曲 第13番 ハ短調 Op.48-1
 幻想曲へ単調 Op.49
 ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53 「英雄」

 (アンコール)夜想曲 第20番 嬰ハ短調 「遺作」
 

 5年に1度ワルシャワで開催されるショパン・コンクールが昨年秋に開催されました。今回の優勝者は、一ノ瀬カイでもパン・ウェイでもなく、韓国のチョ・ソンジンでした。日本からは小林愛実がファイナりストとなりましたが、残念ながら入賞はなりませんでした。
 この歴史あるコンクールの入賞者ガラコンサートが、新潟で初めて開催されるとあって、これはぜひ聴かねばとと思いましたが、平日の開催で、さらに開演が18時半となれば、行くのはなかなか大変です。ということで、S席でなく、A席の通路沿いを買い、遅れてもいいように配慮しました。

 土曜夜からの突然の大雪で、新潟県内は大混乱となりました。高速道路は閉鎖され、一般道は大渋滞。火曜日朝から高速道路が開通し、混雑も解消されましたが、国道8号線は、今後歴史に残るであろう「中越大渋滞」が続いており、北陸道が無料開放されたりという異常事態となっていました。

 こんな日にコンサートでもあるまいという気もしますが、せっかくのチケットを無駄にしたくなく、頑張って行ってきました。でも仕事が終わるはずはなく、大急ぎで駆けつけて、ホールに着いたときには7時半近くになっていました。
 ちょうど前半のピアノ協奏曲の第1楽章が終わるところで、タイミング良く、この切れ目で入場することができました。
 私の好きな曲である「アンスピ・大ポロ」が聴けず、コンチェルトの第1楽章が聴けなかったのは残念ですが、第2楽章に間に合ってよかったです。もう少し遅れていましたら、前半のみ出演のワルシャワ・フィルの演奏を聴けないところでした。

 コンクール第6位のシシキンが登場して第2楽章、第3楽章の演奏が始まりました。まず、オーケストラのサウンドの美しさに驚きました。柔らかく厚い弦楽のビロードのような美しさは息を呑むほどでした。このオーケストラサウンドに支えられて、ピアノのメランコリックな調べが流れ、心にしみるロマン性あふれる演奏は、この曲の魅力を余すことなく表現していました。第3楽章は軽やかに飛び跳ね、輝きと色彩感ある音楽がフィナーレへと駆け抜けていきました。
 オーケストラとの演奏はこれで終わりというのが残念でなりません。初めから聴きたかったなあという思いに満たされながら休憩時間を過ごしました。ロビーで出会った友人は、たいしたことなかったと言っていましたが・・。

 後半はいよいよトップ3による演奏です。最初は3位でマズルカ賞を受賞した紅一点のケイト・リウによりワルツとマズルカが演奏されました。ちょっと緊張しているのかなという硬さを感じました。容姿そのままに、繊細さと色彩感を感じさせました。

 続いては2位でソナタ賞を受賞したアムランによるソナタです。これはダイナミックで聴き応えある演奏でした。各楽章の対比も鮮やかに、優しさと力強さを併せ持った演奏に、すごいと唸りました。

 トリは1位でポロネーズ賞も受賞したチョ・ソンジンです。ノクターンを情感込めて爽やかに演奏し、幻想曲は緩急のメリハリと多彩な響きで楽しませ、演奏映えする英雄ポロネーズで盛り上げました。鳴り止まない拍手に応えて、ノクターンの遺作をしっとりと演奏し、終演となりました。

 前半を聴けなかったのが残念でしたが、私が聴いた4人はは、さすがに受賞者と思わせる魅力を感じました。ファイナりストともなりますと、ピアニストとしての実力の差はないはずであり、その日のコンディションでも結果は左右されると思いますし、選曲や審査員の好みにも左右されることでしょう。いずれも甲乙付けがたい演奏でしたが、私はピアノソナタ3番を演奏したアムランに一番魅力を感じました。

 オーケストラ付の前半を少ししか聴けなかったのは残念でしたが、貴重なガラコンサートを聴くことができてよかったと思います。この入賞者たちが、今後どう活躍していくのかを楽しみにしたいと思います。

 と、2005年のショパンコンクールでの山本貴志のライブCD(ピアノ協奏曲第1番)を聴きながら書いていましたが、この演奏は何度聴いても良いですね。
  

(客席:3階 I 9-8、A席:10000円)