新潟県音楽コンクール第50回記念コンサート 音楽のよろこび
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2015年10月4日(日) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
新潟県音楽コンクール高位受賞者および審査員
新潟交響楽団(指揮:松沼俊彦)、新潟市ジュニア合唱団
 
第1部 

1.4台のピアノ連弾(8人)によるアンサンブル
  (関陽平、清水明日香、太刀川紘子、土屋光、遠藤吉比古、
   小山恵、齋藤淳子、相馬上子、指揮:清水研作)
  ワーグナー(清水研作編):「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

2.4台のピアノ連弾(8人)によるアンサンブル
  (金川唯、石川愛佐子、室井まりか、吉井愛貴、鈴木賢太、
   平野俊介、廣野光子、藤井品子、指揮:清水研作)
  清水研作編:16手のための新潟ラプソディー〜ふるさと、佐渡おけさ、砂山による〜

3.シューベルト/ベートーヴェン:歌曲「魔王」(日本語版、4人の歌手による演奏)
  (佐藤泰弘、長谷川徹、上野正人、新潟市ジュニア合唱団団員)
  (Pf:相原一智、三宅月海)

4.弦楽アンサンブル
  パガニーニ:ラ・カンパネラ、モンティ:チャルダッシュ (富山珠美編)
  (Vn:近藤ほなみ、牧田由美、松村牧子、加藤礼子、高橋百合、
   Va:佐々木友子、片倉多恵、Vc:津森奈保子、Cb:星野勝彦、指揮:後藤丹)

(休憩15分)

第2部 管弦楽:新潟交響楽団、指揮:松沼俊彦

5.フンパーディンク:「ヘンゼルとグレーテル」序曲

6.クーラウ(後藤丹編):「ソネチネ・コンチェルト」スネチネ1番 全3楽章 
  (Pf:上坂哲生、稲垣汐音、櫻庭稜太)

7.ヴァーヘイ:フルート協奏曲 第1番 ニ短調 作品43
  (Fl:五十嵐冬馬)

8.ロッシーニ:「セヴィリアの理髪師」より “陰口はそよ風のように”
  (バス:佐藤泰弘)

9.ヴェルディ:「リゴレット」より “慕わしき方のお名前は”
  (ソプラノ:山下尚子)

10.モーツァルト:「ドン・ジョバンニ」より “お手をどうぞ”
  (ソプラノ:山下尚子、バス:佐藤泰弘)

11.サウンド・オブ・ミュージック メドレー (後藤丹編)
  (新潟市ジュニア合唱団)

 新潟県音楽コンクールの50回を記念してのコンサートで、高位受賞者と審査員が一堂に会してのガラコンサートです。出演者の名前を見ますと、最近受賞した若手のほかに、活発な活動をされている現役バリバリの人や、審査員の重鎮までずらりと揃っていて壮観です。さらに新潟交響楽団にジュニア合唱団まで出演するとあっては聴かないわけにはいきません。

 今日は聴きたいコンサートや催しが同時刻に重なって開催されるという悩ましい日になりました。苦渋の選択の末、このコンサートを選びました。地方都市でありながら、これだけ公演が重なるなんて、うれしい悲鳴です。

 さて、今日は秋晴れの好天となりました。朝早くから町内会で公園の除草作業に励み、疲れと汚れを落とすため、近所のスーパー銭湯に浸かり、身を清めてこのコンサートに臨みました。

 記念コンサートということで、混み合うかと思って指定券を買ったのですが、ほどほどの入りで、私の回りは誰もおらず、ちょっと寂しかったです。その分ゆったりと聴くことができましたけれど。

 BSNの男性アナウンサーの司会で演奏が進められました。最初は、ステージ上にピアノが4台交互に並べられ、8人の奏者、16手による連弾です。これまでたくさんのコンサートを聴いてきましたが、こんな編成での演奏は初めてです。りゅーとぴあとしても初めてだそうです。
 最近コンクールで受賞した若手4人と審査員4人により、編曲者である清水研作先生の指揮で演奏されました。1曲目はマイスタージンガー前奏曲です。さすがにピアノ4台は迫力があり、ワーグナーの複雑なメロディラインをピアノで見事に再現していました。
 2曲目は清水研作先生のこの日のためのオリジナル曲で、奏者は別のグループに交代しました。これもまたゴージャスな響きを作り出していて、聴き応えたっぷりでした。

 続いては「魔王」の聴きくらべです。「魔王」といえばシューベルトしか知りませんが、他にもたくさんの作曲家が作曲しているんだそうです。上野さんの話では11人以上はいるとのことですが、今日はそのうちシューベルトとベートーヴェンの「魔王」が演奏されました。
 ピアノ伴奏と新潟市ジュニア合唱団員によるボーイソプラノは曲ごとに交代しましたが、聴き比べが面白かったです。ベテラン歌手に混じって堂々と歌ったジュニアの皆さんも良かったです。

 次は弦楽アンサンブルです。新潟で活発な活動をされているベテラン奏者をバックにして、中学生の近藤ほなみさんが真っ赤なドレスで堂々とソロを弾き、見事な演奏を聴かせてくれました。今後の活躍が期待されます。

 休憩後の後半は新潟交響楽団の登場です。指揮は、なんと松沼先生が戻ってきてくれました。これだけでも私にとっては大ニュースであり、期待でいっぱいです。

 序曲を軽やかに演奏した後、今年受賞した小学生3人と共演しました。後藤先生編曲によるピアノ協奏曲で、各楽章ごとに奏者が代りました。外見は紛れもなく小学生ですが、演奏は堂々としたものであり、新潟の子供たちもたいしたものと驚きました。

 続いては、五十嵐冬馬さんとのフルート協奏曲です。小山裕幾さんの後を追うようにして現れたフルート界の新星であり、期待通りの演奏を聴かせてくれました。随分前に聴いたことがありましたが、そのときに比べてすっかり大人に成長されて、見違えるようでした。もう大学生ですものね。ついつい親の目線になってしまいます。大学卒業後については語ってくれませんでしたが、小山さんのように世界に羽ばたいてくれるものと思います。

 次は、バスの佐藤泰弘さん、ソプラノの山下尚子さんによるオペラのアリアです。声量豊かに、存在感ある歌いぶりの佐藤さんは、これぞバスというような、風格を感じました。
 山下さんは華のあるリリックソプラノで、うっとりと聴きほれました。実は今日の出演者の中で、一番楽しみにしていたのはこの山下さんなのです。最近私は、新潟のソプラノといいますと鈴木愛美さんを追いかけていますが、山下尚子さんのファンなのです。2009年のコンサートで虜となり、その後2011年にも聴く機会がありましたが、以来聴きたいと思いながらも、なかなか聴く機会がありませんでした。しばらくぶりに聴かせていただき、昔の恋人に会ったような、そんな懐かしさ、切なさを感じました。これからも活躍されますよう応援したいと思います。

 最後は新潟市ジュニア合唱団です。これは期待を裏切ることのない、感動のステージでした。フルオーケストラと堂々と共演し、美しいハーモニーで観衆を魅了しました。さすがに新潟市の宝。ますます輝きを増しています。

 2時に始まって終演は5時という、内容もボリュームもたっぷりのコンサートでした。ステージ転換の間の出演者へのインタビューも個性が良く出ていて面白かったです。

 いずれの出演者も良かったですが、新潟交響楽団の演奏の良さも際立っていたと思います。いつもより弦のアンサンブルもきれいであり、プロオケと見間違うほどでした。久しぶりの松沼さんの指揮で、レベルアップしたのでしょうか。来月の定期演奏会が楽しみです。

 新潟の若き俊英たちの実力に驚き、今後の成長・発展を祈らずにいられません。子供たちはインタビューで夢を語っていましたが、夢に向かって励んでほしいと思います。
 
 

(客席:2階C5-3、指定席:¥2000)