井上静香と仲間たち ヨーロッパ、ロマン派の薫りに想いを馳せて
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2015年9月27日(日) 14:00  だいしホール
 
ヴァイオリン:井上静香
ヴィオラ:森口恭子
チェロ:マルモ・ササキ(佐々木繭望)
ピアノ:島田彩乃
クラリネット:中 秀仁
 


モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423

ブラームス:クラリネット三重奏曲 イ短調 作品114

(休憩15分)

シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47

(アンコール)
モーツァルト:クラリネット協奏曲 より 第3楽章

 実は、今日はコンサートに行く予定にしておらず、このコンサートのチケットも買っていなかったのですが、運良く時間が空き、急遽参加することにしました。

 秋晴れの気持ち良い陽気の中、だいしホールへと向かいました。すでに開場時間は過ぎており、当日券を買って入場しました。ホール内は多くの人で賑わっていましたが、前方に席を取りました。客席には知り合いの顔がチラホラ見えました。

 開演時間となり、金色のドレスの井上さん、濃紺のドレスの森口さんが登場。最初はモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲です。
 音量豊かに、艶やかに響く井上さんのヴァイオリンは、いつもながら美しく、ホールいっぱいに響き渡ります。森口さんのヴィオラも同様に潤いのある響きで、互いに寄り添い、絡み合い、絶妙のハーモニーを創り上げていました。うっとりとした気分で聴き入り、至福の時間が過ぎました。

 続いては、青緑色のドレスの佐々木さん、紫のドレスの島田さん、そして中さんの3人で、ブラームスのクラリネット三重奏曲です。
 先ほどの明るさのあるモーツァルトとは違って、3人の情熱がぶつかり合い、せめぎ合う音楽に圧倒されました。モーツァルトはのんびりと聴いていましたが、聴く方も、打ちのめされたような衝撃と高揚感を感じました。それぞれが素晴らしい奏者であり、感服しました。

 後半は、井上さん、森口さん、佐々木さん、島田さんの4人で、シューマンのピアノ四重奏曲です。これも前半同様に聴き応えあるものでした。おそらく初めて聴く曲でしたが、いかにもロマン派というような美しい曲ですね。
 各楽章とも特徴に溢れ、ロマンチックな第1楽章で心をつかみ、スタッカートが小気味良い第2楽章、美しいメロディーを各楽器が奏でて夢見心地にさせる第3楽章、そして情熱的に盛り上がる第4楽章。良い曲であり、良い演奏でした。

 アンコールは中さんも出てきて、モーツァルトを五重奏で演奏してくれました。中さんのクラリネットソロの部分で、ラプソディ・イン・ブルーの出だしのグリッサンドを吹いてみたりして楽しませてくれて、大盛り上がりでした。

 実力者5人による演奏はさすがであり、うならせるものがあります。それぞれの個性が発揮され、生命感溢れる輝きのある音楽を聴かせてくれました。
 井上静香と仲間たちと題されたこのコンサート。本当に良い仲間を連れてきてくれました。良い音楽家の周りには良い音楽家が集まるんですね。

 外に出ますと秋晴れの空。いい音楽を聴いたなあという満足感を感じながら会場を後にしました。
 
  


(客席:E-6、¥3500)