新潟に縁のある音楽家が毎年夏に集まり活動している TOKI 弦楽四重奏団。今年は10周年記念ということで、たくさんのゲスト奏者を迎えて、ガラコンサートを開催するとのことであり、楽しみにしていました。
昨年からアルフォーレとパートナーシップ・アーティストとして契約し、柏崎で合宿した後、県内と東京でのコンサートを行っています。
今年も今日の柏崎公演を皮切りに、明日が長岡リリックホール、あさってが新潟のりゅーとぴあコンサートホールで公演されます。さらに、8月1日には東京文化会館での公演が予定されています。
面白いことに、柏崎公演は2000円、長岡公演は3000円、新潟公演は3500円、東京公演は4000円と、チケット代は順に高くなっていきます。
新潟在住の私としては、本来なら新潟公演に行くべきなのですが、平日開催で行くのが困難であり、日曜日の今日、柏崎まで遠征したしだいです。そういえば、昨年も新潟ではなく、やはり柏崎で聴いていました。
新潟から海岸沿いに柏崎へと向かいました。昨日の大雨から一転して、今日は晴天となり、途中の海水浴場はたいそうな賑わいでした。
一旦アルフォーレに車を置いた後、柏崎駅前の「そばよし」で焼きそばを食べ、ホールに戻ると、ちょうど開場の時間でした。自由席でしたので、中央付近に席を取りました。
最初は出演者全員が登場して、グリーグが演奏されました。弦の編成は、3-2-2-2-1の10人。そしてピアノです。ヴァイオリンのトップは岩谷さんです。組曲の中から3曲が演奏されましたが、1曲目は弦楽合奏、2曲目はピアノ独奏、3曲目が再び弦楽合奏という面白い演奏でした。
弦のアンサンブルは美しく、さすがに実力者揃いと感じさせました。平山さんのピアノも力強い音を響かせていました。
その後、鈴木さんと平山さんの司会で演奏が進められました。プログラム2曲目は、TOKI弦楽四重奏団の4人によってハイドンの「皇帝」の第2楽章が演奏されました。美しい演奏にうっとり。
3曲目は、TOKI弦楽四重奏団のメンバー以外の、小杉、佐々木、小熊、福富、佐野さんらによってホルストが演奏されましたが、TOKIのメンバーに負けないきれいな演奏でした。
そして前半最後は、TOKI弦楽四重奏団に、ヴァイオリン独奏にネーヴさん、そしてピアノの平山さんを加えて、ショーソンが演奏されましたが、これも良かったです。
後半最初は、TOKI弦楽四重奏団によるラフマニノフの弦楽四重奏曲。こんな曲があるなんて知りませんでしたが、きれいな曲でした。曲の良さもありますが、岩谷さんのヴァイオリンにうっとりと聴き入りました。
後半2曲目は、弦がネーヴ、小杉、小熊、上森の各氏。これにピアノを加えてシューマンの五重奏曲が演奏されました。親しみやすく美しい曲ということもありますが、楽しい演奏でした。特に上森さんのチェロが美しくホールに響いて心地よかったです。
3曲目はドヴォルザーク。グリーグのときと同じく、3-2-2-2-1という編成で、弦楽全員参加のアンサンブルで、ヴァイオリンのトップはネーヴさんでした。これは若干インパクトに欠けた感はありましたが、きれいな演奏でした。
そして、最後はエルガー。TOKI弦楽四重奏団が4人並んだ後ろに、他の弦楽メンバーが並ぶという配置でした。弦楽四重奏と弦楽アンサンブルが掛け合いをするという面白い趣向の曲で、今日のプログラムでは一番楽しめました。こんな面白い曲を知ることができただけでも今日来た甲斐があったように思います。
アンコールは、ウォーロック。足を踏み鳴らしたりしながらの楽しい演奏で最後を盛り上げて締めくくってくれました。
終演は4時半。全ての曲が別の作曲家。曲ごとに編成を変えて、バラエティ豊かに楽しませてくれました。今年の公演の初日ではありましたが、練習は十分積まれており、きれいなアンサンブルでした。さすがに、実力者揃いの面々。個々の技量の素晴らしさが伺われました。トークのときの平山さんのボケぶりも面白かったです。
そして、もうひとつ特記したいのは、ホールの良さ。落ち着いた内装で、重厚感があり、客席の傾斜もちょうど良く、ゆったり感があります。響きは豊かであり、マイルドです。このホールの響きの良さが、演奏をさらに魅力あるものにしてくれたように感じました。このホールは素晴らしいですので、皆さんも一度行かれると良いですよ。
ガラコンサートと銘打つだけあって、たくさんの曲を聴けて良かったです。演奏は中途半端ではなく、それぞれの曲をしっかりと演奏してくれました。お馴染みの曲以外に、珍しい曲を聴けたのも良かったです。
長岡や新潟の皆さん、そして東京の皆さん。このコンサートは聴きに行くべきです。お勧めします。
(客席:1階14−14、¥2000) |