トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
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2012年12月13日(木) 19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ヴァイオリン:諏訪内晶子
 


ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op.9

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 op.61

(休憩20分)

ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14

(アンコール)
ビゼー:歌劇「カルメン」第3幕への間奏曲
ビゼー:歌劇「カルメン」第1幕への前奏曲
 
 

 りゅーとぴあ友の会(N-PACmate)会員優待コンサートということで、S席が8000円というたいへんお得なコンサートです。今売出し中のソヒエフと、なんだかんだ言っても日本を代表するヴァイオリン奏者である諏訪内さんの共演ということで、チケット完売必至と気をもんでチケットを購入したのですが、実際は・・・。

 突然の寒波襲来で大混乱の日々でしたが、ようやく天候が落ち着き何よりでした。平日夜のコンサートは厳しいものがあり、今年も何枚かのチケットを無駄にしてしまいました。今日も5時半を過ぎても会議が終わらず、どうなるものかと気をもみましたが、何とか間に合うことができました。

 ということで、大急ぎでホールに到着。満員の館内を想像したのですが、かなり空席があり、ちょっと驚きました。S席が会員割引になっていますので、S席エリアはそれなりに埋まっていますが、全体は5〜6割の入りというところでしょうか。

 拍手の中に楽員が入場し、最後に美しいコンミスが登場。オケの編成は大きいのですが、ステージいっぱいに広がらず、中央にぎっしりとまとまるような配置で、窮屈そうです。また、ステージの縁のぎりぎりまで前に出ています。もしかしたら、何らかの音響効果を狙ってのものなのかもしれません。

 ちょっと小柄なソヒエフ氏が登場して、1曲目はベルリオーズです。まず、オケの音色に驚きました。輝くような明るいサウンドで、高音が強調されたような印象です。色彩感が豊かではありますが、どっしりと重厚なサウンドではありません。クリアな音が耳に響きすぎる感もありましたが、新鮮な驚きを感じました。演奏もきびきびとしたもので、最初からすごいという印象を受けました。

 続いては、サン=サーンスです。オケの編成は小さくなり、コンミスは退場して、隣にいた男性がコンマス席につきました。
 金色のタイトなドレスが麗しい諏訪内さんが登場。さすがに美しく、ステージ映えします。諏訪内さんを聴くのは、2004年9月の故・岩城宏之指揮OEKでとの共演、2010年11月のゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団との共演以来3回目となります。
 演奏は気迫が感じられるもので、メランコリーさは排除されたような硬派の演奏に感じました。この曲は10月の東響新潟定期で大谷さんの独奏で聴いていますが、それとは一味も二味も違った演奏に感じました。まずもって、オケの音色が東響とは全く異なります。良く言えば色彩感豊かなのですが、弦が分厚いものの、ちょっと高音に潤いがなく、雑にも感じ、金属的に響いてました。管楽器は良かったと思います。
 諏訪内さんの堂々とした、貫録ある演奏は、さすがと思わせました。ソリストアンコールを期待したのですが、終わりになりました。その代り、休憩時間にサイン会が開かれましたが、CDを買わなかった私は、ご尊顔だけを拝見させていただきました。サイン待ちの行列は長かったですが、猛スピードのサインで対応されていました。

 後半は、再び編成が大きくなって、幻想交響曲です。コンマスは再び美人コンミスに戻りました。サン=サーンスでは諏訪内さんを引き立てるために交代したのかもと勘ぐっております。
 さて、演奏はすさまじいもの。ソヒエフの実力を知らしめる爆演だったと思います。オケが良く鳴って気分爽快でした。熱く燃え上がっていましたが、乱れることはなく、ホールいっぱいに輝くような音が響き渡っていました。ここでも管の良さがひときわ目立っていたように思います。オケの響きといい、盛り上げ上手なソヒエフの指揮といい、新鮮な感動と、音楽を聴く喜びを感じました。

 終演時間はかなり遅くなったのですが、アンコールを2曲サービスしてくれました。空席が多いのが誠に残念に思います。こんなお得なコンサートはないのにねえ・・。
  

(客席:2階C5−7、S席会員割引:¥8000)