オーケストラアンサンブル金沢 妙高公演
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2012年7月14日(土) 16:00  妙高市文化ホール
 
指揮:ダニエル・ハーディング
ヴァイオリン:シン・ヒョンス
コンサート・マスター:サイモン・ブレイデス
 

(プレコンサート)

モーツァルト:弦楽四重奏曲第6番ハ長調 KV465 より 第1楽章

 (Vn1:ヴォーン・ヒューズ、Vn2:若松みなみ、Va:丸山萌音輝、Vc:ソンジュン・キム)



ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.61

(ソリストアンコール)
  パガニーニ:カプリース第24番


(休憩)

ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 op.67 「運命」

(アンコール)
  ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
 
 

 この公演、「なんで妙高なの?」と思った音楽ファンが多かったに違いありません。今年の3月に、だいしホールですばらしい演奏を聴かせてくれたシン・ヒョンスと、かのダニエル・ハーディングが共演するという魅力的なプログラムに、驚いたのは私だけではないでしょう。ハーディングとOEKの共演も今回が初めてで、前日に金沢で定期演奏会をやり、そのプログラムをそのまま妙高でやるというものです。でも、どうして妙高なの?

 ヒョンスを聴くのは、今年の3月以来2回目、ハーディングを聴くのは、今年の1月以来2回目、そしてOEKを聴くのは2004年9月以来で4回目となります。
 OEKは以前、新潟定期演奏会と称していた時期があり、定期的に来てくれるものと期待しましたが、全く新潟に来なくなってしまいました。今回も新潟市じゃなくて妙高。ちょっと遠すぎます。

 チケットは買ったものの、今日は仕事でしたので、行けるかどうか、そして開演に間に合うかどうかが心配でした。でも、仕事が順調に終わり、幸い1時に職場を出ることができました。北陸道を車をとばし、途中米山SAでゆっくり休憩したにもかかわらず、予定より早く、3時にはホールに到着しました。

 このホールは始めて来ましたが、立派な施設に驚きました。コンサートが開けそうな大きなロビーがあり、実際にロビーコンサートも行われているようです。

 チラシには何も書かれていませんでしたが、開場前の3時20分からプレコンサートがあるとのことで、ロビーで待っていましたが、客はポツリ、ポツリ。知らない人も多かったに違いありません。私は予定より早く着いて幸運でした。
 なかなか客が集まらないので、私は率先して最前列で聴きましたが、ロビーの響きが良かったです。演奏もしっかりしていて感激でした。

 プレコンサートが終わってから開場となりました。ホワイエでCDを売ってましたので眺めていたら、掲示板でお馴染みの「かえでねこ」さんに声を掛けていただき感激しました。はるばる妙高まで聴きに来たもの好きは、私だけでなくて良かったです。

 さて、ワンフロアの1000席余りのホールですが、客の入りは3分の1程度でしょうか。ちょっとといいますか、かなり寂しい客席です。私にとっては魅力的な公演ですが、地元の人たちは興味がないのでしょうか。混み合うことを予想していたので、拍子抜けでした。空席だらけでしたので、席をちょっと中寄りに移動させていただきました。
 なお、席番の付け方が面白く、前から順に、い、ろ、は、に、ほ、へ、と という順です。誰の趣味かは知りませんが、今の時代には馴染みませんね。そして、椅子がギシギシと音を立てるのは困りものでした。

 拍手の中団員が入場。全員揃ったところで全員で礼をしたのは気持ち良いですね。オケの配置は対向配置で、コントラバスとチェロが左、ヴィオラが右に配置されていました。なぜかトランペットが右端でした。弦5部は、8-6-4-4-2という小編成。

 オレンジ色のドレスのヒョンスさんと小柄なハーディングが登場。ヒョンスさんの方が背が高かかったです。演奏は堂々としたもの。オケが小編成ということもあり、音量も負けておらず、力強さを感じました。
 第2楽章はもう少し歌って欲しかったと感じましたが、第1楽章、第3楽章のカデンツアはお見事。ヒョンスさんの素晴らしさを再認識しました。
 響かないホールのせいもあり、最初はオケの厚みがなく、潤いに欠けるように感じましたが、ハーディングは躍動感ある生き生きとした音楽を作り出し、ヒョンスさんをうまくサポートしていたように思います。
 アンコールのカプリースも最高。思わず「すごい」と唸ってしまうような演奏でした。容姿端麗。ヴィジュアル的にも楽しむことができて良かったです。

 後半は「運命」。オケの編成は若干大きくなり、弦5部は8-7-5-4-3。前半同様の対向配置で、トランペットとトロンボーンが右端に座っていました。トロンボーンと第2ヴァイオリンの間、ティンパニとヴィオラの間に、透明のアクリル板が立てられていたのは興味深かったです。うるさいからでしょうか。

 演奏は軽快で躍動感があるもの。編成が大きくなった分、オケの厚みも増して、迫力十分。管の皆さんも良い音を出していました。OEKはこれまで3回聴いていますが、こんなに気迫に満ちた演奏は初めてのように思います。切れを感じさせる演奏であり、聴き飽きた感のある「運命」ではありますが、ハーディングが新たな魅力を引き出し、生き生きとした音楽を作り出していました。
 これは一期一会の名演ではなかったでしょうか。アンコールも「運命」と同様に躍動感ある演奏で、これも良かったです。最後はハーディングと団員全員で礼をしてお開きとなりました。

 ハーディングとOEKの共演は大成功だったと思います。団員の皆さんもハーディングをたたえ、喜んでいました。少ない聴衆ではありましたが、皆さん真剣に聴いておられました。楽章間に拍手が入らなかったのも素晴らしかったです。はるばる新潟市から遠征した甲斐がある、期待通りのコンサートでした。
 

(客席:ぬ−7、¥5000)