群馬交響楽団定期公演 第46回まえばし市民名曲コンサート
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2012年1月21日(土) 18:30  前橋市民文化会館 大ホール
 
指揮:イプ・ウィンシー
ヴァイオリン:成田達輝
コンサートマスター:水谷 晃
 




モーツァルト:歌劇「魔笛序曲」KV620

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 KV219「トルコ風」

 (ソリストアンコール)パガニーニ:24のカプリース 第1番

(休憩15分)

ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

 (アンコール)バルトーク:ルーマニア民族舞曲

 
 

 東京遠征の夜、都内には興味を引く公演がなく、群馬交響楽団を聴くべく、前橋に向かいました。群馬交響楽団の本拠地は高崎ですが、前橋でも定期公演をしているようです。市民名曲コンサートということで、料金も格安です。
 指揮者のイプ・ウィンシーさんは、ブザンソン国際指揮コンクール優勝の経歴を持つ女性指揮者で、香港シンフォニエッタの音楽監督だそうですが、名前は知りませんでした。ヴァイオリンの成田達輝さんは今年20歳になる若者ですが、ロンティボー国際コンクール第2位ということで、どんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみでした。

 新日本フィルの公演が終わるとともに錦糸町駅に急ぎ、東京駅から新幹線で高崎へ。在来線は事故で列車ダイヤが大きく乱れていて、開演に間に合うのか心配しましたが、遅れて到着した両毛線の電車で前橋に無事着くことができました。
 冷たい雨が降る中、前橋駅からホールへと向かいました。途中で食事でもと思ったのですが、食堂らしきものはなく、県庁所在地にしては駅周辺は寂しすぎて、ひっそりとしていました。暗い公園の奥に市民文化会館がありました。

 ちょっと古ぼけた多目的ホールで、客席はワンフロアです。椅子の横幅がちょっと狭苦しかったです。開演の合図のチャイムが2種類ありましたが、最初のチャイムが我がりゅーとぴあと同じで、びっくりしました。

 拍手の中楽員が入場しましたが、すぐに拍手が途切れてしまいました。コンマスが登場して再び拍手が贈られました。オケは昼に聴いた新日本フィルと全く同じ対向配置で、コントラバス、チェロが左、ヴィオラは右でした。

 ウィンシーさんが登場して、1曲目は「魔笛」序曲です。指揮棒を持たずに、キビキビとした指揮振りは気持ち良かったです。群響のアンサンブルはすばらしく、対向配置の演奏効果が良く現れていました。

 2曲目は、成田さんが登場して、「トルコ風」です。なかなかかっこいい青年ですね。最初は線が細く感じられましたが、第1楽章のカデンツアのあたりから良く鳴るようになりました。今年20歳という若さに関わらず、演奏は落ち着いており、堂々としていました。テクニックも申し分なく、緩徐部でのメロディの歌わせ方もきれいでした。
 群馬に縁があるらしく、指揮者も楽員も若者を盛り上げようと優しく見守っているようでした。カーテンコール時のコンマスのにこやかな表情が印象的でした。
 アンコールにカプリースを演奏しましたが、これがまたお見事。超絶技巧の早弾きで、群響のヴァイオリン奏者の皆さんも大喝采していました。

 後半の「英雄」も、早めのテンポで、メリハリのある軽快な演奏で楽しめました。管も弦も破綻することなく、抜群のアンサンブルでした。日本での知名度は高いとは言えませんが、素晴らしい指揮者と感じました。

 アンコールの「ルーマニア民族舞曲」もすばらしいもので、大満足でした。群響の実力をまざまざと見せつけられたように思います。予想以上のすばらしい演奏に、幸せ気分で帰路につきました。
 

(客席:6-28、A席:2000円)