イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ選集 第1回
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2011年12月4日(日) 16:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ: イリーナ・メジューエワ
 


ベートーヴェン

 ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 作品14-1

 ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調 作品31-3

 ピアノ・ソナタ第20番 ト長調 作品49-2

(休憩15分)

 ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》

 ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 作品53《ワルトシュタイン》

(アンコール)
 ベートーヴェン:バガテル 作品126-3

 
 

 メジューエワは新潟に何度か来演し、すばらしい演奏を聴かせてくれて、クラシックファンの中では語り草となっていますが、私は都合が合わず、これまで聴くことができませんでした。
 今回はりゅーとぴあのベートーヴェン・チクルスの一環として、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを2回に分けて演奏するという興味深いプログラムであり、スケジュール調整もできましたので、是非聴きに行こうと楽しみにしていました。

 昨日来の強風が吹き荒れ、大荒れの日曜日となりました。雨が降らないだけましという感じでした。ホールに着くとすでに開場されていました。客の入りはちょっと寂しかったですが、その分ゆったりと聴くことができました。

 当初のプログラムでは9番・20番・18番の順でしたが、演奏順が入れ替わりました。赤いドレスのメジューエワが譜めくりを従えて登場し、演奏開始です。

 まずピアノの音のきれいさに感銘を受けました。完璧なテクニックに裏打ちされた、流れるような演奏に息を呑みました。どんなに速いパッセージでも乱れることはありません。
 ダイナミックレンジが広く、スリムな体からは想像できないような力強い音を作り出します。輝きのある高音に音量たっぷりな低音。強奏部でも音の濁りは微塵もありません。速めのテンポで、音楽が泉のごとく満ち溢れ、大きな流れとなってホールを音の洪水で埋め尽くしました。

 圧巻はワルトシュタインでした。魔法の箱から湧き上がる音の噴水。機関銃のごとく繰り出される力強い音楽。血沸き肉踊る情熱溢れる演奏に打ちのめされました。すごいベートーヴェンを聴いちゃったというのが率直な感想でした。

 一見華奢に見えるメジューエワの体の中には、煮えたぎるマグマが潜んでおり、ピアノを通して溶岩を吹き上げているかのようです。音の火砕流から逃れるすべはなく、ただ圧倒されるのみでした。

 外に出ると肌寒さを感じましたが、気分は爽快。精神的高揚を感じて、心は熱く燃え上がっていました。期待以上の良い演奏に大満足でした。次の第2回も楽しみです。今度はもっと客席が埋まると良いですね。

 
(客席:2階 C2-9、S席:会員割引:3150円)