東京交響楽団 第64回新潟定期演奏会 代替公演
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2011年4月10日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮: 飯森範親
ヴァイオリン: 渡辺玲子
コンサートマスター: グレブ・ニキティン
 



(追悼演奏)J.S.バッハ:G線上のアリア


モーツァルト:交響曲第35番ニ長調「ハフナー」

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」

(休憩20分)

モーツァルト:交響曲第41番ハ長調「ジュピター」



 

 
 

 3月13日に開催予定だった東京交響楽団第64回定期演奏会は、3月11日の東日本大震災のため中止されました。この代替公演が本日開催されました。指揮者は秋山さんから飯森さんに代わり、独奏者も新進気鋭の鈴木愛理さんから重鎮の渡辺玲子さんに変更になりました。東京の公演は中止のままでしたが、新潟は代替公演が組まれ、これはすばらしいことです。
 震災から早くも1ヶ月。復興を進める上で経済の活性化は欠かせず、自粛の自粛が課題となっています。私もコンサートにできるだけ駆けつけて、社会の活性化の一端を担おうと思います。

 昨日は雨模様で肌寒さも感じましたが、今日は朝から好天気となり、太陽のありがたさを実感しました。コンサート前に白山公園を散策しましたが、桜のつぼみは膨らんで、開花も間近と思われました。いよいよ新潟も春本番です。(→ブログ

 さて、開演時間となりましたが、いつもより空席が目立ちました。オール・モーツァルト・プログラムということで人気公演となるかと思いましたが、代替公演ということで来られなかった方々も多かったのかもしれません。

 いつものように拍手の中に楽員が入場。楽員は起立して拍手に応えます。今日のコンマスはニキティンさんです。編成は小さく、弦5部は8−8−6−4−3でした。対向配置で、左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンと並び、コントラバスは中央の最後方に位置しました。小ぢんまりとしたオケの中で、大柄なニキティンさんが目立っていました。チェロのトップは定年になったはずのボーマンさんでした。

 まず飯森さんの挨拶があった後、東日本大震災の犠牲者を追悼するために、弦楽だけでG線上のアリアが演奏されました。演奏を聴きながら、そして演奏後の静寂の中で、犠牲者のご冥福を祈りました。

 その後はプログラムに入り、最初は「ハフナー」です。颯爽とした、きびきびした演奏で、沈んだ心を元気付けてくれるように感じました。

 続いては渡辺さんの独奏で「トルコ風」です。音量豊かで、ホールに美しい音色が朗々と響き渡りました。音にしっとりした艶があり、力強さも感じられました。さすがと思わせる堂々とした演奏でした。オケはやっぱり元気良かったですが、もう少し穏やかでも良いように感じました。独奏ヴァイオリンの音の良さに比して、オケの音色は劣っていたように思います。

 後半は「ジュピター」です。前半同様に、オケはエンジン全開。終始元気良く、全力疾走している感じでした。キビキビと颯爽とした演奏という表現もできますが、ちょっと粗っぽかったようにも感じました。もう少し各楽章のメリハリがあると良かったように思います。

 冒頭の追悼演奏を含めて、私には生きが良すぎた演奏に感じました。飛ばすところは飛ばすにしても、もうちょっと落ち着きもあった方が良いように感じました。「ハフナー」も「トルコ風」も「ジュピター」も、オケの鳴らし方、リズムや強弱のつけ方がワンパターンに感じてしまいました。良い演奏には違いないのですが、私の好みとは若干のずれがありました。
 

(客席:2階C5-**、S席:定期会員、4500円)