山本真希 オルガンリサイタルシリーズ 
グレンツィングオルガンの魅力 No.7  
      “J.S.バッハ” 〜若きバッハの熱き情熱〜
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2009年6月6日(土) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
パイプオルガン:山本真希
コラール:新潟市ジュニア合唱団
 
 
小フーガ ト短調 BWV578

27のコラール集より “最愛なるイエスよ、我らここに集いて” BWV730,731

協奏曲 ニ短調 BWV596 (原曲:ヴィヴァルディ「調和の霊感」op.3/11)

コラール・パルティータ “恵み深きイエスよ、よくぞ来ませり” BWV768
                             
(コラール:新潟市ジュニア合唱団)

(休憩)

オルガン小曲集より  
(コラール:新潟市ジュニア合唱団)
  1.いざ来たれ、異邦人の救い主よ BWV599
  6.イエス・キリストよ、汝はたたえられよ BWV604
  8.高き天より、われは来たり BWV606
  13.われらキリストをたたえまつる BWV611
  18.平和と喜びもてわれは行く BWV616
  21.キリスト、汝神の子羊 BWV619
  27.キリストは死の絆につかせたまえり BWV625
  28.われらの救い主、イエス・キリスト BWV626
  33.来たれ、創り主にして聖霊なる神よ BWV631
  37.これぞ聖なる十戒 BWV635
  38.天にいますわれらの父よ BWV636

トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 
(アンコール)
  おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け BWV622  
(コラール:新潟市ジュニア合唱団)
 
  

 これまでの専属オルガニストにない活躍ぶりと、親しみやすい人柄で人気の山本さんのリサイタルシリーズも7回目となります。毎回テーマを持った意欲的なプログラムを聴かせてくれますが、今回はバッハです。新潟市ジュニア合唱団も共演するとのことで、期待していました。

 仕事を終え、ホールに着くと、すでに開場待ちの行列ができていました。チラシ集めをして、私も行列に並んで入場しました。今年度のリサイタルは、席によるオルガンの音色の違いを楽しめるようにとのことで、全席自由となっています。私はお気に入りの、3階席に席を取りました。これまでのリサイタルに比して、客の入りが良いようです。

 最初はお馴染みの有名曲の小フーガト短調です。豊潤なオルガンの響きがホールを満たし、一気に山本さんの世界に誘われました。聴くだけではわからないのですが、演奏の様子を見ると、華やかな音の蔭では、四肢をフルに使って重労働していることが分かります。今さらながら、たいしたものと感心してしまいます。
 2曲目の「最愛なるイエスよ、我らここに集いて」は本来コラールが付くはずですが、事情があったらしく、オルガン演奏のみでした。1曲目とは違った音色で楽しめました。続く協奏曲もきれいな曲で、うっとりと聴き入り、音色の多彩さにも感銘を受けました。
 前半最後のコラール・パルティータでは、新潟市ジュニア合唱団(女子8人)がオルガン前のP席に登場して、コラールが歌われ、その後オルガンが演奏されました。コラールは短く、オルガン演奏開始とともに合唱団は退席しましたが、ホールに響き渡る合唱の美しさには息を呑みました。曲としては11の変奏からなる大曲で、聴き応え十分でした。

 休憩後の後半は、ジュニア合唱団はステージ上に登場しました。コラール合唱とオルガン演奏が交互に行われて、全曲続けて演奏されました。さすがにドイツ語の発音には難がありそうですが、清らかな澄み切った女声合唱の響きが心を打ち、オルガンも優しく心に響いて癒されました。コンサートホールは大聖堂になったように感じました。

 プログラム最後は、お馴染みのトッカータとフーガ・ニ短調です。これには度肝を抜かれました。あの穏やかな山本さんからは想像できないような情熱的な演奏で、燃えさかる炎のように感じました。ただただ唖然とするばかりで、これまで聴いた中で最高のトッカータとフーガ・ニ短調だったと思います。

 もうアンコールなどいらないくらいの感動を感じたのですが、再びジュニア合唱団が登場して1曲演奏されました。トッカータとフーガで高ぶった気持ちを静めるには絶好のデザートでした。最後に予定になかった山本さんのトークがあって良かったです。

 今日のリサイタルは、山本さんのすばらしさを再認識させるもので、多彩な音色、優しさと激しさの対比に感銘しました。爆発する山本さんを見たのは初めてであり、どんどん進化していく山本さんに驚きを感じました。新潟にこのような素晴らしいオルガニストを迎えたことは誇りにすべきと思われ、これからも大事にしなければなりません。いつまでも新潟に引き留めなければ・・・。
 そして、改めて言うまでもありませんが、ジュニア合唱団の頑張りはたいしたものです。あの澄み切った歌声を聴くと、邪念だらけの私の心は洗われる思いです。これは新潟の宝と言っても良いのじゃないでしょうか。

 今日は馴染みやすい選曲もあって、これまでになく音楽を楽しみ、感動を味わうことができたように思います。次はどんな演奏をしてくれるのか今から楽しみです。
 

(客席:3階I3-8、全席自由、会員割引セット券:1350円)