東京交響楽団 第45回新潟定期演奏会
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2007年12月2日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:シュテファン・アントン・レック
ピアノ:小菅 優
 
ハイドン:交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43

(ソリストアンコール)
ショパン:練習曲集より Op.25-12 ?

(休憩20分)

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

 
 

 冷たい雨が降り続く日曜日、気分は晴れません。嫌な季節ですね。出かける元気も萎えかけていましたが、本日は私の大好きな「春の祭典」がありますし、小菅優のピアノにも興味があります。出かける前にたまたまFMを聴いていたら、偶然にもラトル指揮ベルリンフィル(Pf:スティーブン・ハフ)で「パガニーニの主題による狂詩曲」をやっていました。ねっとりしない爽やかな演奏でした。恥ずかしながら、あの第18変奏は何度聴いても心に染みます。

 ということで、雷ピカピカの悪天候の中りゅーとぴあに向かいました。今日はいつになく客の入りが良いようで、9割方埋まっています。私の席の周囲はいつも年配の方ばかりなのですが、今日は中学生らしき女の子がいたりします。

 いつものように拍手の中楽員が入場。全員揃うまで起立して待っています。今日のコンマスは大谷さん。いちだんと大きな拍手が湧きます。指揮者のアントン・レックは初めてですが、東響とは新国立劇場でのオペラ公演で共演し好評だったとのことです。

 最初はハイドンです。個人的にどうしてもハイドンの交響曲は馴染めなくて、退屈してしまいます。ハイドン最後にして最高傑作といわれる「ロンドン」も例外ではなく、これまでほとんど聴くことはありませんでした。ということで期待せずにいたのですが、キビキビとした演奏で、飽きさせずに聴かせてくれました。ノンビブラート奏法のアンサンブルもきれいであり、メリハリがありました。小型のティンパニーもいい味を出していました。なかなかの名演だったんじゃないかと思います。早くもブラボーの声が上がりました。

 ステージにピアノがセッティングされ、2曲目はラフマニノフです。赤いドレスの小菅さんが登場。小菅さんはCDでの演奏は聴いたことがありますが、コンサートは初めてです。
 初めはピアノの音がこもったような変な音に感じましたが、私の気のせいでしょうか。しだいに音に輝きが感じられるようになり、力強さも感じられました。歌わせどころでは感情を込め、あの第18変奏では思いっきり泣かせてくれました。東響の演奏も輝かしく、ハイドンのいぶし銀的演奏とは対称的な華やかな音色で、ダイナミックな演奏でした。弱音の美しさも味わわせてくれました。これはいい演奏だったと思います。
 さすがに小菅さんは期待通りのすばらしさでした。盛大な拍手に応え、アンコールにショパンの練習曲が演奏されました。これまたきらびやかなすばらしい演奏。もっともっと聴きたいところですが、休憩に入りました。

 休憩後の後半は春の祭典です。ステージいっぱいのフルオーケストラは壮観です。今日は一般によく演奏される1947年版のスコアにレックが手を加えた改訂版だそうです。さて、演奏は・・・。
 出だしのファゴットから変な音色で怪しげです。どうも木管の調子が今ひとつのように感じられました。その後だんだん調子は出てきたようですが、大編成のオケなのに音の厚みが思ったほどに感じられません。何かきれいすぎる演奏で、泥臭さが感じられません。これはこれでいい演奏だと思うのですが、私の個人的好みからは少しずれます。実は3週間前に所沢でゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団で「春の祭典」を聴いたばかり。どうしてもその演奏と比較してしまいます。個人的に大好きな曲なので、思い入れが多すぎるのかも知れません。感動は8分目というところでしょうか。ともあれ、冷静に考えればすばらしい演奏だったというべきでしょう。
 ちなみに東響新潟定期での「春の祭典」はこれで3回目。最初は1999年の第4回定期で秋山さんの指揮、次が2003年の第20回定期で飯森さんの指揮でした。いずれもいい演奏だったように記憶していますが、これほど演奏回数が多いとは驚きです。私は大好きなので、もっと演奏してほしいですけど。

 外に出ると冷たい雨が降り続いています。嫌な天気ですね。憂鬱になりますが、負けずに頑張りましょう。明日も早起きせねば。

 さて、来年度の東響新潟定期の予定が配られましたが、あまり魅力的な演目がありません。サントリー定期から3公演(6月:スダーン、7月:金聖響、10月:キタエンコ)、オペラシティシリーズから2公演(4月:ジャン、12月:飯森)、芸術劇場シリーズから1公演(3月:大友)が選ばれたようですが、私の期待する公演は見事に外されました。7月の金聖響のマーラーの「復活」があるくらいで、スダーンとカシオーリとの共演や飯森さんのマーラー7番などは外れてしまいました。サントリー定期の演目を一部変更して新潟の期待の星・鍵富君がキタエンコと共演(前日の川崎名曲全集も同じ内容)という話題作りはありますが、ちょっと期待はずれでした。来年は「りゅーとぴあ」開館10周年。9月にウィーンフィル(指揮:ムーティ)が来るらしいですが、それだけじゃあねえ・・。何か驚くようなコンサートはないのかなあ・・。
 

(客席:2階C5-35、S席:定期会員 5000円)