Art Museum SKY Concert
  ←前  次→
2007年11月17日(土) 19:00 新潟市新津美術館 アトリウム
 
ヴァイオリン:礒 絵里子、 ピアノ:高橋多佳子
 
エルガー:愛の挨拶          (礒、高橋)
クライスラー:美しきロスマリン    (礒、高橋)
クライスラー:中国の太鼓       (礒、高橋)
篠原敬介:Forest of the Piano    (高橋)
ショパン:スケルツォ第2番     (高橋)
ラヴェル:水の戯れ          (高橋)
ヴィヴァルディ:「四季」より「秋」   (礒、高橋)

(休憩)

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調 (礒、高橋)

(アンコール)
ヴュータン:アメリカの思い出    (礒、高橋)
星に願いを              (礒、高橋)

 
 

 本日は午後ずっと某所での研究会に出席していましたが、夜の懇親会を欠席してこのコンサートへ急ぎました。会場は新潟市新津美術館。旧新津市の外れにあって、隣は県立植物園です。行楽にはいい場所ですが、新潟市街からは若干距離があります。夕方のラッシュも重なって、時間がかかってしまいましたが、ちょうど開場の時間に着くことができました。
 今日の日中は快晴の気持ちよい天気でしたが、夕方から天気が崩れ、雷が光っていました。本日のコンサートは、一般にはあまり知られていなかったようですが、美人二人の出演とあって楽しみにしており、万難を排して駆けつけた次第です。150人限定のコンサートというのも大きな魅力です。早々にチケットを買いに行き、なんとチケットの通し番号1番をゲットしました。だからどうだということでもないですけど。

 礒、高橋のお二人は、14日夕より新津入りしていたとのことで、昨日、一昨日は秋葉区内の小学校と幼稚園でのアウトリーチコンサートを行っていたそうです。ホームページを見ると、二人ともアウトリーチを積極的にやられているようです。
 会場は美術館のアトリウム。階段状で、大理石張り。このアトリウム自身も美術作品という感じです。響きの良い空間であり、コンサートには最適に思います。150席限定でまさにサロンコンサートの雰囲気です。

 照明が落とされ、二人が登場。私のすぐ横を通り過ぎてステージへ。容姿端麗。スリムなお二人は、ヴィジュアル的にも1級品です。礒さんは白で胸元に黒い模様のあるドレス、高橋さんはくすんだ水色で胸元に黒い模様のドレスで、ともに大きく肩を出して、上品な中にもセクシーさも醸し出していました。(あとでお二人のブログをみたら色違いのお揃いのドレスだそうです。)

 トークを交えながら、おなじみの小品の演奏が進みました。ピアノは小型のヤマハのグランドピアノですが、会場の響きが良くて、迫力ある演奏でした。ヴァイオリンの音色も良かったです。この場所でリハーサルを重ねていたとのことで、会場の響きも十分に計算されて、二人の息もピッタリです。
 ピアノ、ヴァイオリンともにすばらしかったですが、特に高橋さんのピアノ独奏は聴き応えがありました。映画「ピアノの森」のテーマは美しく、スケルツォはダイナミックでした。小型ピアノじゃなくてフルコンサートピアノだったらどうだったんだろうと思いはふくらみました。
 ラヴェルとヴィヴァルディでは、「レッツ!音描(おんがく)!」と題して、スクリーンにアウトリーチコンサートで子供たちが描いた絵を映写したりして楽しませてくれました。「水の戯れ」のクリスタルのような響きはこの会場ならではと感じました。「秋」は全3楽章が演奏され、ピアノ伴奏ではありましたが、協奏曲としての味わいを与えてくれました。

 休憩後の後半は、フランクのヴァイオリンソナタです。礒さんはベルギーに留学しましたが、このフランクはベルギー生まれです。この曲はイザイに献呈され、初演の場所が美術館だったという話もあり、このコンサートにはピッタリの選曲だと思います。リラックスした前半とはうって変わって、渾身の演奏でした。甘美な両端楽章に挟まれた情熱的・幻想的な第2、第3楽章の対比がすばらしく、ヴァイオリンとピアノが対等にぶつかり合い、熱気がほとばしるような演奏に息を呑みました。有名曲ではありますが、曲の良さを再認識させてくれました。
 アンコールはスクリーンにアウトリーチコンサートの模様を映し出しながら、ヴュータンの面白い小品が演奏され、最後は「星に願いを」が演奏されて終演となりました。ヴュータンの曲は21日の新潟でのリサイタルでも演奏予定ですが、おどけた楽しい曲です。

 いつもの音楽ホールではなく、美術館の非日常的空間で聴く音楽は、これまでにない悦びと感動を与えてくれました。至近距離で聴く演奏は何とも贅沢であり、貴重な体験でした。演奏の良さもさることながら、容姿端麗なお二人の美しさにも大満足でした。二人の話も楽しく、ますますファンになりました。
 何だかんだで高橋さんを聴くのは3回目でこの9月にも聴いたばかり。容姿に似合わない力強い演奏をされ、決して裏切らない実力の持ち主です。お母様が加茂市出身とのことで親近感が湧きます。さすがにショパンコンクール5位入賞の実力者。もっともっと羽ばたかれることと思います。
 また、礒さんを聴くのは今回が初めてです。新潟には何回か来演しており、以前デュオプリマとしてのチケットを買ったこともあったのですが、急用で行けなかったことがありました。今年でデビュー10周年。記念コンサートが東京のほかに新潟だけで開催されます。新潟がお気に入りのようで、うれしくなります。留学していたベルギーの作曲家でまとめたリサイタルで、興味深い曲目が並んでいて是非とも行きたいのですが、所用で行けないのが残念です。

 外に出ると雲影に月が出ていましたが、遠くでは稲妻が光っていました。家への帰り道、雨がぱらついてきましたが、幸い大降りにならないで済みました。明日の天気は悪そうで、憂鬱になりそうですが、いい音楽を聴いて気分良くビールを飲みながらこの文章を書いています。スリムな容姿は良かったなあ・・・とニヤニヤしている自分がちょっと恥ずかしいですが、同じ音楽でも美人が演奏すると感動が違うというのも事実。こういう機会があったらまた是非聴きに行きたいものです。

*コンサートの模様は、お二人のブログに書かれていますので是非ご覧下さい。
 礒絵里子さんのブログ →http://yaplog.jp/iso-diary/
 高橋多佳子さんのブログ →http://yaplog.jp/takaland/
 

(客席:自由席:2500円)