りゅーとぴあオペラ劇場 オペラコンサート2007
  ←前  次→
2007年3月2日(金)19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ソプラノ:ダニエラ・ロンギ  テノール:行天晃  バリトン:黒田 博 
ピアノ:アルマンド・タッソ
司会:小鉄和広 
 
チレーア:「アドリアーナ・ルクヴルール」 より
      私は創造の神の下僕です  (ダニエラ・ロンギ)
      さあ、独白の場の始まり..  (黒田 博)
      小箱を私に? 失礼して開けますわ  
               (ダニエラ・ロンギ、行天晃、黒田 博)

プッチーニ:「トスカ」 より
      妙なる調和  (行天晃)
      マリオ! マリオ! (ダニエラ・ロンギ、行天晃)
      歌に生き愛に生き  (ダニエラ・ロンギ)

(休憩115分)

ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」 より
      祖国の敵  (黒田 博)
      母は死に  (ダニエラ・ロンギ)
      5月の美しいある日のように  (行天晃)
      君のそばで  (ダニエラ・ロンギ、行天晃)

(アンコール)
レオン・カヴァッロ:マッティナータ  (黒田 博)
ディ・カプア:オーソレミーオ  (行天晃)
トスティ:暁は光から   (ダニエラ・ロンギ)

 
 

 「一夜でマスターするイタリア・オペラの魅力 〜ヴェリズモ・オペラ名作選〜」と題されたコンサートです。「ヴェリズモ・オペラ」といっても無教養な私には何のことやらわかりません。解説を総合しますと、「ヴェリズモ」とは真実主義、リアリズムということで、登場人物が感情的・衝動的に行動し、荒々しく燃えさかり、燃え尽きるというような、嫉妬、不倫、毒殺、拷問、純愛、悲恋などを扱った「19世紀の激情的メロドラマ」ということのようです。今日の演目の3作品は不動の人気を誇る代表作ということですが、さすがに「トスカ」は知っていますが、他の2作品は題名すら聞いたことがありません。各作品を一言で言うと、「アドリアーナ・ルクヴルール」は「パリのスター女優をめぐる嫉妬と殺人」、「トスカ」は「歌に生き愛に生きたローマの歌姫の衝撃の死」、「アンドレア・シェニエ」は「断頭台を前に情欲と愛が交錯する悲劇」とのこと。
 ということで、渋い演目であり、またピアノ伴奏だけのコンサートなので、正直言えば魅力を感じなかったのですが、最近の新潟はめぼしいコンサートがないので、立派なチラシに誘われて参加した次第です。ちなみにダニエラ・ロンギはイタリアのヴェローナで活躍する歌姫だそうです。

 内容から想像できましたが、会場は空席が目立ちます。発売された席の半分に満たないようで、500人程度でしょうか。全員を1階席に集めてちょうどいいような感じでした。ステージ上にはピアノと字幕用の電光掲示板が両脇にあるのみで、たいへん殺風景です。
 新潟ではおなじみの小鉄の司会で演奏が進みました。さすがにロンギの歌声は力強く、ホールいっぱいに響き渡っていました。声量は大したものです。イタリアのディーヴァと比較するのは可哀想ですが、日本の2人も頑張っていました。黒田の存在感のある歌声は力強く、行天も初めは声が出ていませんでしたが次第に調子が出てきたようでした。ピアノ伴奏のタッソもすばらしく、盛り上げてくれました。さらに司会の小鉄はこの公演の総合ディレクターをしており、曲の解説のほか、ピアノ伴奏の譜めくりに活躍されていました。ただし、語り口が淡々とし過ぎていたかも知れません。小鉄も1曲ぐらい歌ってくれても良かったかも。

 各人が1曲ずつアンコールを歌って終了しました。今日のような渋い公演に集まった人たちはそれなりの音楽好きのようで、皆さん熱心に聴いておられました。私としましては、ピアノじゃなくて、オケだったらなあ・・と感じてしまいました。もうちょっと演出があっても良かったかも知れません。本日の公演はマスタークラスの一部にもなっており、コンサートというよりは市民向けのオペラ講座というのが趣旨なのでしょう。でも、「ヴェリズモ・オペラ」の存在を知ることができましたし、新潟では決して聴けないような、チレーヤやジョルダーノの作品をハイライトではありますが聴けたことは収穫でした。

 さて、今回の公演に合わせてマスタークラスが開かれます。4日午後には公開マスタークラスもあります。ロンギとタッソはこの公演とマスタークラスのためだけに来日したそうです。文化庁芸術拠点事業ということですが、どういう縁で新潟にいらっしゃったのでしょうか。はるばるとご苦労なことです。

(客席:2階D2-26、A席:会員割引¥2700)