佐渡裕指揮 シエナ・ウインド・オーケストラ演奏会
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2006年12月17日  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:佐渡 裕
 

第1部 

ショスタコーヴィチ:祝典序曲 (編曲:上埜 孝)
ワーグナー:エルザの大聖堂への行列 (編曲:カイエ)
ゴーブ:メトロポリス

(休憩15分)

第2部 <音楽のおもちゃ箱> 佐渡・シエナ X 岩井直溥

シング・シング・シング (編曲:岩井直溥) 
メイン・ストリートで (作曲:岩井直溥) 
マンボ No.5 (編曲:岩井直溥)
アフリカン・シンフォニー (編曲:岩井直溥)

(休憩10分)         

第3部 ショスタコーヴィチ生誕100周年

ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第1番
      第1曲:ワルツ、第2曲:ポルカ、第3曲:フォック・ストロット
ショスタコーヴィチ:二人でお茶を
      (タヒチ・トロットに基づく新編曲、編曲:真島俊夫)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」より第4楽章 (編曲:上埜 孝)

(アンコール)
ショスタコーヴィチ:モスクワを疾走
星条旗よ永遠なれ

 
 

 小雨の日曜日の昼下がり、「りゅーとぴあ」へ向かいました。今年は例年になくコンサート通いをして、何度この道を通ったか知れません。今のところこれが今年最後のコンサートとなりそうです。今回はブラスのコンサートです。シエナの2年前の新潟公演は即完売となり、チケットを買えず行くことができませんでした。そのときの公演曲は「りゅーとぴあ」でCD録音されて、「ブラスの祭典3」として発売され、コンサートに行きたかったなあ・・と悔やまれました。そこで次のコンサートは必ず行こうと決めていました。今回は早めにチケットを購入し、いい席を確保しましたが、その後まもなく完売となりました。新潟のブラス人気は大したものですね。
 チケット完売だけあって満席の客席は久し振りです。駐車場が混雑しているからとかで、開演は10分ほど遅れました。それでも遅れて入場する人が多数いました。

 さて、第1部は正統的な吹奏楽の演奏です。ダイナミックな音、大音量でも音は濁りません。ホールの響きとマッチして、心地よいサウンドを生んでいました。「祝典序曲」は先日の新潟交響楽団定期演奏会で聴いたばかりですが、フルオーケストラ版と遜色ない演奏でした。ただし、バンダが登場しなかったのは残念でした。(横浜公演ではバンダありという。) 2曲目の「エルザの大聖堂への行列」は吹奏楽の定番で、コンクールでしばしば演奏されますが、さすがにプロの演奏です。3曲目の「メトロポリス」は、曲名が表すようにジャジーな雰囲気のある斬新な現代的な曲であり、クライマックスの全員での棒を叩いての演奏は圧巻でした。

 第2部は佐渡のトークを交えて岩井直溥の特集。岩井と言えば、先日の新潟ウインドオーケストラの公演にゲスト出演していましたが、佐渡の話を聞き、ブラスの編曲家として偉大な功績のある重鎮であることを再認識しました。こんなブラス界の神様がよく新潟に、それもアマチュアの演奏会に来てくれたものです。
 さて、演奏は、「シング・シング・シング」では大いにスウィングしましたが、ビッグバンドとは違った品の良さを感じさせました。新潟出身のトランペットがソロを演じていました。次の「メイン・ストリートで」は吹奏楽界では良く知られた曲のようですが、耳に心地よかったです。「マンボ No.5」では観客も総参加。佐渡や楽員はラテン調の仮装をして、客席にまで降りてきて、大いに盛り上げてくれました。ただし、乗り切れない私は白けてしまいましたが・・。最後の「アフリカンシンフォニー」は雄大な演奏で、聴き惚れてしまいました。

 第3部はショスタコーヴィチの特集。ジャズ組曲は、小編成で、ヴァイオリン、バンジョー、スティールギターを加えたオリジナル通りの演奏でした。1曲目の「ワルツ」はどこかで聴いたような気がしましたが、「セカンドワルツ」とよく似たメロディーでした。「二人でお茶を」は、「タヒチトロット」の雰囲気を残しながら、ジャズ組曲の編成用に編曲したもので、ともに味わい深い演奏でした。
 佐渡のショスタコーヴィチにまつわるトークの間にステージは大編成用に組み直され、最後は「革命」の最終楽章。コンサートの最後を締めくくるにふさわしい力強い演奏でした。圧倒的迫力に、プロの実力を見せつけられた感じがしました。

 アンコールはショスタコーヴィチの珍しい小品を演奏した後、シエナ名物の「星条旗よ永遠なれ」でした。楽器を持った若者たちが客席からステージに上がって、あふれんばかり。客席とステージが一体となり、ホールは興奮のるつぼと化した。最後のすさまじいスピードには腰を抜かしそでした。
 
 クラシック愛好家は吹奏楽を軽視するきらいがありますが、吹奏楽ならではの味わいがあります。老若男女が演奏し楽しめるのが吹奏楽の良さ。そういう私も娘が一時吹奏楽に関わるまでは敬遠していたのですが。楽しくなければ音楽じゃない、音を楽しむのが音楽だ。と思わせるような、思わず顔がほころぶようなコンサートでした。これも佐渡の実力であろうと思います。
 

(客席:2階C4ー14、S席6000円)