劇団四季ミュージカル オペラ座の怪人
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2005年5月21日(夜の部) 電通四季劇場「海」
 
 
オペラ座の怪人:高井 治
ラウル・シャイニイ子爵:佐野正幸
メグ・ジリー:松元美樹
ムッシュー・アンドレ:林 和男
ウバルド・ビアンジ:半場俊一郎
ムッシュー・ルフェーブル:岡本隆生
ほか
 
オーケストラ指揮:西野 淳
クリスティーヌ・ダーエ:佐渡寧子
カルロッタ・ジュディチェルリ:種子島美樹
マダム・ジリー:西島美子
ムッシュー・フィルマン:青木 朗
ムッシュー・レイエ:深見正博
ジョセフ・ブケー:岡 智
ほか
 
演奏:劇団四季ミュージカル・オーケストラ
 
 

 映画の「オペラ座の怪人」の虜となり、ついに実演鑑賞と相成りました。この日東京出張が決まっていたので、3月にインターネット予約したのですが、いい席はとうの昔に完売。1階席後方になってしまいました。何ヶ月も先までいい席は埋まっており、劇団四季の人気に今さらながら驚嘆した次第です。

 さて、私のような中年オヤジが「オペラ座」にはまってしまったの何故か。もともとは某自動車のコマーシャルで流れたアンドレア・ボチェリとのデュエット曲でサラ・ブライトマンを知り、CDやらDVDやら買って、その中でアンドリュー・ロイド=ウェバーという作曲家を知りました。
 これとは別に、PIE JESU: music of devotion というオムニバスCDで偶然「レクイエム」の「ピエ・イエス」を聴いて、世の中にこんなにも美しく心癒す音楽があるものかと感じ入り、作曲者のロイド=ウェバーとは何者かと気になっていました。あの魔弾の射手のウェーバーじゃないしねと。
 そんなときサラ・ブライトマンがらみでロイド=ウェバーを知り、「ジーザス・クライスト・スーパースター」、「エビータ」、「キャッツ」などで知られるミュージカルの巨匠である事を始めて知ったのです。以来、ロイド=ウェバーの名曲の数々のファンとなりました。とは言っても、サラ・ブライトマンの歌う曲を聴く程度でしたが。

 そんな中、映画「オペラ座の怪人」が公開されあした。雑誌「モーストリー・クラシック」の付録DVDに予告編とロイド=ウェバーのインタビューが収録されており、迫力満点のオーバーチュア、可憐なエミー・ロッサムの「Think of me」の歌声を聴き、「怪人」に魂を奪われてしまったのでした。
 映画公開と同時に2週連続で見に行き、サントラ盤も2種買い、元祖サラ・ブライトマン(当時はロイド=ウェバーの奥さん)とマイケル・クロフォードのロンドン・オリジナルキャスト盤、さらには劇団四季盤も買ってしまいました。いずれもそれぞれの良さがあり、ここで始めて劇団四季のレベルの高さに感激しました。
 私が買ったのは「ロングラン10週年記念キャスト盤」ですが、今井清隆の怪人、井科瑠美のクリスティーヌ、柳瀬大輔のラウルなど、オリジナルキャスト並の実力を発揮しており、日本語で聴くミュージカルも捨てたものじゃないなと再認識したのでありました。

 と言うことで、新橋駅から地下通路を歩き、汐留シオサイトの劇場に向かいました。完売ですので当然ながら満席ですが、何故か右隣の席だけ空席。おかげで楽に鑑賞することができました。若い女性やカップルばかりで、中年オヤジがひとりで行くのは気が引けたのですが、同じような人々が少なからずいて一安心しました。

 場内が暗転して開演。CDで予習してあるので筋書き、大方のセリフは頭に入っています。オークションの場面から話が進みます。シャンデリアが上がってオーバーチュアへ。生演奏であるはずですが、PAを通しているので音が悪いです。映画館での迫力ある音響に比べて貧弱ですが、生の緊張感はあります。劇中劇の「ハンニバル」の豪華さに感服。さすがに「怪人」専用の劇場です。セットのすばらしさにも目を奪われます。クリスティーヌの佐渡は可憐であり、怪人の高井は言うことなし。映画のジェラルド・バトラーやオリジナルキャストのマイケル・クロフォードより声も歌もすばらしいです。日本人体型は仕方ないですけれど。地下の迷路へ下るシーンや舟で渡る演出も予想以上にすばらかったです。シャンデリアの落下はちょっと期待はずれでしたが、2幕冒頭のマスカレードの華やかさ、墓場での緊迫感、と息もつかせずクライマックスへ。感情移入して涙がこみ上げました。細かいことは書ききれないですが、やっぱり生は最高です。

 ロングラン公演ですのでその日によってキャストは変わりますが、今回の高井・怪人や佐渡・クリスティーヌは評判も良く、私も大いに満足でした。当然ながらCDよりも楽しめました。
 出演者のほとんどが音大出で、声楽家としての十分な技量を持っているはずであり、願わくはPAなしの生音声での歌、演奏を是非聴いてみたいものです。作品としても現代の「オペラ」として通用すると思われ、ロイド=ウェバーのすばらしさを再認識しました。今度はシャンデリアの下の席で見てみたいですが、そんな席は最終日まで既に完売。残念。

 さて、8月には映画のDVDが発売になります。もちろんすでに予約しています。猿のオルゴールがネット販売されていますが、値段が高いのでガマン。まだまだ怪人の魔力から逃れそうにありません。
 

(客席:1階20−2、R席8400円)