ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  ←前  次→
2003年11月9日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:クリスティアン・ティーレマン
 

ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調「田園」作品68

(休憩)

R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40 

(アンコール)
R.シュトラウス:「カプリッチョ」op.85 より 「月光の音楽」

 

 
 

 待ちに待ったウィーン・フィルです。チケットを手に入れるのに新潟の音楽好きたちは右往左往。東響定期枠、N-PAC mate枠、そして一般発売と3段階での発売となり、抽選販売されたのですが、運良く東響定期枠で抽選に当たりました。外れまくった人もいて、運が良かったと喜んでいたのですが、S席29000円(2枚で58000円)はちょっと厳しかったです。チケット完売のはずなのに、キャンセル分と称する当日券が販売されていたのは驚きです。

 ということで、今回は家内と連れだってのコンサート。館内のレストランで昼食をとり、ホールに赴きました。値段が高いだけあって、立派なプログラムと「りゅーとぴあ」を型どった紙の立体カードのお土産が配られました。抽選で与えられた席は1階席最後列中央。まずまずいい席です。ステージは生花で飾られ、特別なコンサートという気分を盛り上げます。館内は立ち見席を含めて満席。

 拍手の中楽員の登場。全員揃うまで起立して待っています。なかなか紳士だなあとまず感激。楽器の配置は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれ、第1ヴァイオリンの左にコントラバス、第1ヴァイオリンの後方にチェロ、第2ヴァイオリン後ろにヴィオラ、中央後方に管楽器、右後方に打楽器という配置。

 チューニングが終わって、ティーレマンが登場し、田園の演奏開始。まずしっかりしたコントラバスの低音に支えられた柔らかな音色に感銘しました。やっぱ音が違うなあ・・。東響ばっかり聴いてたら耳がバカになってたのかなあ・・、などといろんな思いが頭を駆け抜けます。
 演奏は、メリハリのある演奏ででしたが、音色の美しさを除くと特に感銘を受けませんでした。指揮者の問題なのか、オケの反応の問題なのか、今ひとつ感極まるまでにはいかず。しかし、音は美しかったです。これがウィーンの音なのかと幸せな気分になりました。

 休憩の後、再び拍手の中楽員の登場。やはり全員揃うまで起立して待っており、これは好印象です。楽器配置は前半と同様ですが、今度は左奥にハープが2台並べられています。私の斜め前の席にいたお役人風の2人の紳士は帰ってしまったのか着席せず。誠にもったいない話です。

 さて、ティーレマンが登場して後半は英雄の生涯。来日記念盤としてこの曲が発売になっていましたが買いませんでした。あんまり聴く曲じゃなく、LPの時代にカラヤンで聴いていた覚えはありますが、CDになってからは聴いていません。
 ということで曲への思い入れ、理解は乏しく、今日の演奏が特に優れた演奏だったのかの判断はできません。しかし、きれいなオーケストラサウンドは堪能でき、最後まで飽きることなく聴き通すことができました。今日はいつものブラボー屋さんはいないのか最後の余韻を充分に味わってからの拍手。これは良かったです。いつもこうであってほしいものです。

 アンコールはR.シュトラウスでまとめました。私の全く知らない曲でしたが、しっとりといい演奏でした。楽員が退場しても拍手は鳴りやまず、最後にティーレマンが登場してコンサートのお開きとなりました。

 何せウィーン・フィルを生で聴くのは初めてなので、今日の音、今日の演奏がウィーン・フィルとしては良かったのか悪かったのかは判断しようがないです。しかし、きれいなサウンドは堪能できあした。特にオケの配置もあったのかも知れないですが、コントラバスの重厚な低音が心地よかったです。
 翻って演奏はといいますと、指揮者の問題もありましょうが、今ひとつ最高というほどではなかったように思います。管楽器のアレっというようなミスもみられました。来日初公演であったのでオケとしての調子も今ひとつだったのかも知れません。
 そういえば先週の日曜日はウィーンでの定期演奏会がFMで生放送されていたんだっけ。そのオケが今自分の前にいる、世界最高のオケが自分の前にいる、そういう事実のほうが私にとっては重要なのであります。演奏はどうあれ、ウィーンフィルを聴いたんだぞ、という自己満足が何物にも代え難い収穫なのです。

 外へ出ると真っ暗。もう冬が近いです。携帯の電源を入れ子供たちは何をしてるかな、職場からの呼び出しはないかな、と束の間の夢の世界から現実に立ち返りました。

(客席:1階13-18)