関東沖を進む台風の影響か北風が吹き、随分と肌寒く、あわてて長袖に着替えて出かけました。りゅーとぴあ開館5周年記念の「シリーズ ウィーンからの風」と題されたコンサートの第3回にあたります。オール・ウィーン・プログラムと称しているのですが、モーツァルトはわかりますが、マーラーの4番がどうしてウィーンと関係あるのか不勉強な私には理解できませんでした。マーラーがウィーンに着任して最初に作曲したのがこの曲だといいます。11月のウィーンフィル新潟公演の前座として、何とかこじつけているように思われなくもないですが、まあ、そんなことはどうでもいいです。
会場はいつもの東響定期より客の入りが良く、9割方埋まっています。盛況で何よりです。前半は梯さんのピアノでモーツァルトの21番。
楽器配置はいつもと異なり、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが前方左右に分かれ、中央左にチェロ、中央右にヴィオラ、左奥にコントラバスという配置です。本日のコンマスはニキティンさん。指揮は当初マルティン・ジークハルトの予定でしたが、ヘンリク・シェーファーに変更。アバドに見込まれてベルリン・フィルの副指揮者を務めたという期待の若手だそうです。
さて、シェーファーに引かれて梯さんの登場。NHKのドキュメンタリーで紹介されたりしてよく知ってはいましたが、実演を聴くのは初めてです。1音1音が輝いて、音がきれいできらめきを感じる演奏でした。ただし、これが個性なのかも知れないのですが、自分の世界に閉じこもり、回りからの感情移入を拒むかのようにも感じられました。へそ曲がりな私は、もともと第2楽章以外は聴かない曲でもあり、少々退屈しました。アンコールに応えて幻想曲を演奏。いい演奏なのかどうか、素人の私は判断できないですが、あまり心は揺り動かされませんでした。
休憩の後、後半はマーラーの4番。もちろん実演は初めてです。コンマスの前に椅子が置かれ、そこにヴァイオリンが載っています。この意味がはじめ理解できませんでした。
第1楽章は私の期待に反して淡泊に演奏が進みました。楽器配置が前記したようになっており、左右に分かれたヴァイオリンがコントラストをみせてはっとしたりなどはありましたが、あまり鳴り響かない演奏でした。
第2楽章で、もうひとつのヴァイオリンの意味が判明。コンマスが調弦の違ったヴァイオリンを持ち替えて独奏するなんてCDを聴いてるだけじゃわかりませんので思わぬ発見でした。
好きな第3楽章はうっとりとさせてくれてこれは満足でした。やっぱりいい曲だなあと感慨にふけりました。第3楽章終末のうるさい場面でソプラノの天羽さんが白いドレスで登場。この登場の仕方はなかなか良いですね。
そして第4楽章へ。うーん。私の好みとちょっと違うなあ・・。声質、声量、歌い方など私の期待するイメージとは少しずれていました。まあ、好みの問題なので悪しからず。指揮者のシェーファーもあまり個性的じゃないようで、記憶に残りそうもないです。
本日は生でマーラーを聴けたということでよしにしましょう。やっぱ、これが大事です。CDだけじゃ曲はわかりません。生演奏を聴くとCDの味わいも違ってくるように思います。来月の定期はいよいよマーラーの2番「復活」。これは楽しみです。
(客席:2階Cブロック*−*) |