東京交響楽団 第17回新潟定期演奏会
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2002年7月14日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ユベール・スダーン
ピアノ:小川典子
 
ハイドン交響曲第1番ニ長調 Hob.I-1

モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595 (Pf:小川典子)

(休憩20分)

ブルックナー交響曲第0番ニ短調 WAB.100

 
 
 

 雲行きの怪しい梅雨真っ直中の日曜の午後、いつもの如く駐車場に向かうと既に満杯。本日は催し物が重なっているようです。仕方なく少し離れた駐車場に車を止め、降り出した雨の中ホールに辿り着いたときには、既に小川典子さんによるプレトークが終わるところでした。
 本日は渋い演目で、ハイドンの1番、ブルックナー0番はともに聴いたこともなく、こういう初期の作品は、きっとつまらないに違いないという先入観があって、正直言って期待していない定期でした。会場はいつものように3階席に空席が目立ちます。ほとんどが顔なじみの固定客という気がします。

 さて、1曲目。本日のコンマスはニキテイン氏。ステージ中央にはチェンバロがあります。指揮台はありません。スダーンが登場し演奏開始。どんな曲か心配していましたが、小編成の軽快な曲であり、演奏もしっかりしていて、多いに楽しめました。ハイドンの交響曲はなじみがなく、後期のタイトルの付いたいくつかの曲しか聴いたことがなかったのですが、この1番はわかりやすく、気楽に聴くことができて拾いものでした。

 2曲目は、小川典子さんの独奏で、モーツァルト。小川さんといっても、CDの宣伝位でしか知らず、当然実演は初めてです。新潟と縁があるそうで、親近感が持てます。薄いピンクの衣装で登場し、華やかな雰囲気が漂います。演奏は、曲自身が派手ではないですが、明るく爽やかで、さらりとした、力の入らない演奏という印象でした。

 休憩の後、いよいよブルックナー。ブルックナーの交響曲は3番以降しか聴いたことがなく、0番は全く聴いたことはありません。習作みたいですから、きっとたいした曲じゃなくて、退屈するに違いないと思いながら演奏に臨みました。
 今度はオケの編成も大きくなり、指揮台も設置されました。スダーンが登場し演奏開始。0番とは言うものの、実際は初めての交響曲ではないらしいです。曲は正にブルックナー以外の何者でもありません。いわゆるブルックナー開始、ブルックナー休止やブラスの咆哮など、その後のシンフォニーを彷彿させる瞬間が度々垣間見えます。緩徐楽章(第2楽章)は美しく、心が和みます。ほう、こんな曲があったのかと驚きでした。演奏時間も45分程度とちょうど良く、飽きずに聴き通せあした。

 このように満足できたのは、東響の演奏が素晴らしかったことが大きいです。最近の定期でアレッ?と思わせることもあった東響ですが、本日の演奏は最高でした。スダーンと一体化し、一期一会の名演を作り出したように感まあした。定期演奏会でもなければ決して聴くことはないプログラムでしたが、聴く機会が持てたことは幸いでだったと思います。
 

(客席:2階C*−*)