新栃窪温泉 清乃湯 (上越市柿崎区) B  (泉質A、浴室D、設備D、眺めC) →一時休業したが、「あばれ井戸の湯」として営業再開

上越市柿崎区栃窪 TEL:025-536-3339 営業時間:10:00-17:00 定休日:水曜日
泉質:ナトリウム-塩化物泉、18℃、ため湯
タオル:なし サウナ:なし 露天:なし 石鹸:あり シャンプー:なし 休憩所:なし 食堂:なし

場所:国道8号線法音寺交差点から山手に入る。前記の鷺乃湯と同様に看板に従って田舎の細道を進む。この道中は、時間を逆行するかのように、だんだん家並みが古っぽくなり、しまいには茅葺き屋根の集落になる。広場で子供たちが遊んでいたり、古き良き時代を彷彿させる。T字路に突き当たり、一瞬どっちに行こうか迷うが、ここは右折し、さらに道なりに進む。鷺乃湯のすぐ手前の林の中に小屋のような建物が見え、入り口に木の看板が出ている。ここが平成11年に新しくできた清乃湯である。布施さんというご老人が道楽に作ったという噂の温泉である。栃窪温泉といえば一般には鷺乃湯をさすはずだが、間違えてこちらを訪れる客も多いらしい。私が訪問していたときもそういう客が来た。

料金:大人500円、小人200円、タオルなし。

浴室:玄関を入ると8畳位の茶の間。のれんの奥に男女別の脱衣場と浴室がある。気分で男女を入れ替えているらしい。1人しか入れない小さな木製の浴槽があり、木のふたをはずして入浴する。一応シャワーがあり、板張りの壁、木製の洗い桶、木製の洗い椅子にこだわりを感じる。固形石鹸があるのみでシャンプーはない。基本的に1回1人の入浴であり、客が多ければ順番待ちとなる。

泉質:湯は黄緑褐色で塩辛い。臭気はないがぬるぬるした感じがする。源泉温度は18度、湧出量は毎分17L。分析表には泉質の記載がなかったが、成分表の数字から泉質を付けるとナトリウム-塩化物泉となる。主な成分は、ナトリウムイオン3699mg/kg、塩素イオン4941mg/kg、炭酸水素イオン1119mg/kgなどガス性除く成分総計は10010mg/kgとリッチである。炭酸水素イオンの多さは特記できる。浴槽には加熱した源泉の蛇口があり、ぬるかったらお湯を足して温かくする。温度計が置いてあって測ってみたが、41度でちょうど良かった。
 さて、建物の横に緑色の水がたまった池があり、ぼこぼこと気泡が湧き出ている。温泉はこの池から湧いており、ぼこぼこしているのは天然ガスである。この天然ガスを集める装置が池の上にあり、ホースでボイラーまで導かれている。このガスを燃やして温泉を加熱しているのである。池の横にある小屋にボイラーがあり、ガスを燃やして加熱しているのを見ることができる。隣に源泉をためておくタンクがあって、加熱した源泉と、非加熱の源泉を混ぜて温度調整しているらしい。この池も布施爺さんが掘ったという。当然ながら、栃窪温泉と名乗ってはいるが、鷺乃湯とは泉質が似ているものの源泉は全く異なる。ここは新栃窪温泉としておこう。

コメント:休憩所というより茶の間というべきところに主人がいる。よその家に遊びに行った感じである。主人からお茶を入れていただいて、しばしの温泉談義。保健所の分析表なども見せていただいた。冷蔵庫があり、ビールなども出すらしい。主人がひとりで切り盛りしていて、一応5時半頃までは営業しているというが、客が来なければ早く閉めてしまうとのこと。実は、私が最初来たときは閉まっていて、今回は2度目の来訪であった。
 主人とじっくり話ができて、気取らない心温まる温泉である。久しぶりに拾いものをしたという感じ。こういう温泉は「えこじの湯」以来である。観光気分の人には向かない。温泉を味わいたい玄人好みの温泉である。私も老後はこんな暮らしをしたいと思った。主人は私の父と同じ年。いつまでも元気に営業を続けていただきたいと願いながら帰途についた。

(営業時間は10時頃から5時頃までであるが、その日の気分で変わるらしいのでご注意。)

(No.187 2000/8/28)

現在長期休業中ですのでご注意下さい。(2007/11/25記)

*2008/4/11 経営者が変わって「あばれ井戸の湯」として営業再開しました。

*布施清吉氏は平成20年6月に死去されたとのこと。ご冥福をお祈りします。(合掌)

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