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新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団は、新潟で活躍するプロの音楽家やそれに準じるメンバーにより結成されたオーケストラです。2011年からバレエ公演での演奏からスタートし、その後定期演奏会や特別演奏会、オペラ公演などでも活躍しています。
プロの音楽家が集まってのオーケストラと、オーケストラ演奏を職業とするプロのオーケストラは、同じようでいて全く異なりますが、プロオケがない新潟にあっては、このオケは貴重な存在です。
私は2014年8月の第1回演奏会から聴かせていただいており、アマオケとは一線を画したハイレベルな演奏を楽しませていただいています。
定期演奏会としましては、2025年2月の第12回演奏会以来1年ぶりになります。そのほかに、2025年10月の新潟県民オペラ「トゥーランドット」での演奏も聴いていますので、5か月ぶりとなります。
前回の第12回演奏会は「ブラームス・プロジェクト vol.1」と題してオール・ブラームス・プログラムが組まれました。次は当然「ブラームス・プロジェクト
vol.2」かと思いましたが、始まったばかりのブラームス・プロジェクトは早くも中断して、今回は 「ドイツ・オーストリアのロマン派音楽〜円熟期の作曲家たちによる名曲の輝き」と題し、ウェーバー、ライネッケ、シューベルトの作品が演奏されます。
まあ、ブラームスにこだわる気持ちは全くないのですが、ベートーヴェン・シリーズも6曲演奏したところで頓挫していますし、ブラームス・プロジェクトも1回で中断というのは、どうしたんだろうという素朴な疑問を抱きました。
また、このオケの演奏会では、ソリストとして新潟の演奏家も迎えての「新潟のアーティストたち」シリーズも行っており、これも楽しみでしたが。これも中断していました。
今回はシリーズ復活ということで、このオケの代表を務める石丸涼子さんのソロで、ライネッケのフルート協奏曲が演奏されます。石丸さんは、2019年3月の第5回演奏会でモーツァルトのフルート協奏曲第1番を演奏されており、それ以来の協奏曲となります。
メインの曲目は、私が大好きな交響曲のひとつであるシューベルトの「グレート」ですので、これを目当てに聴きに行くことにしました。
今日は、厚い雲に覆われながらも、時おり雲間から日差しも見えて、何とか天候は持ちこたえてくれました。ゆっくりと昼食を摂り、12時半過ぎに家を出ました。今回はバイパス経由で26.5km、40分程度で快適に秋葉区文化会館に到着しました。
秋葉区文化会館は広大な無料駐車場があって大変便利なのですが、会館を丸く取り囲む駐車場は、余裕がありながらも、方向感覚が取りにくく、とめにくく感じますが、私だけでしょうか。外観も館内も奇抜なデザインが特徴のこの会館は、建物自体が芸術作品とも言えましょう。
館内に入りますと、それほどの混雑もなく、まだ開場待ちの列は数人のみでした。その列に並び、開場とともに入場しました。私は紙チケットではなく、電子チケットで、スマホでQRコードを提示しましたが、受付の人はそれをスマホで読み込んで確認していて、大変そうでした。
チケットをネット購入するとシステム利用料とか発券手数料とか、馬鹿らしいお金を取られてしまいますが、電子チケットは手数料がかからなくて良いですね。
ホールに入り、中段左寄りに席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。客の入りはほどぼどというところでしょうか。
秋葉区文化会館は、江南区文化会館と同じ設計事務所で、雰囲気や大きさがよく似たホールですが、江南区文化会館と奥行きは同等ながらも横幅があり、その分客席は100席ほど多いです。
ステージには三々五々団員が登場して、音出しを始め、開演5分前のアナウンスがある頃には、コンマス以外全員が揃い、賑やかでした。
弦5部は、6-6-4-4-2 の対向配置で、チェロとコントラバスが左に並びました。ティンパニは右後方、トランペット、トロンボーンはその右側に並びました。
プログラムに書かれたメンバー表を見ますと、コンマスは佐々木友子さん、第2ヴァイオリン主席が庄司愛さん、ヴィオラ主席が片倉多惠さん、チェロ主席が渋谷陽子さんなど、お馴染みの名前がずらりと並んでいます。管楽器も新潟で活躍している方々が並び、ティンパニは倉澤桃子さんです。名前を眺めているだけでも胸が高鳴ってしまいます。
開演時間となり、コンマスの佐々木さんが入場し、チューニングとなりました。一旦チューニングが終わっても音出しが続き、どうしたんだろうと思ったところで、管が1人遅れて席に着き、しばしの静寂の後、音楽監督で指揮者の磯部省吾さんが登場して、いよいよ開演です。
1曲目は、ウェーバーの歌劇「オベロン」序曲です。ホルンに導かれて、美しい弦楽アンサンブルが加わって演奏が始まりました。ゆったりとした序奏から、軽快な場面へと移り、小編成のオケとは思えない厚いサウンドで楽しませてくれて、まさにプロの音だと感じ入りました。
オペラのストーリーはわかりませんが、緩徐部は美しく歌わせ、管も弦も不安定に感じる場面は全くなく、美しいアンサンブルにうっとりと聴き入り、生き生きとした音楽に心踊りました。
大きな拍手が贈られて、一旦ヴァイオリンがステージを下り、ステージが整えられてチューニングとなり、2曲目は、ライネッケのフルート協奏曲です。石丸さんと磯部さんが登場して演奏が始まりました。
第1楽章は、木管とコントラバスのピチカートとともに演奏が始まりました。弦がゆったりと歌い、フルートが美しく、穏やかに、流麗に歌いました。少し憂いを感じさせながら、音楽が揺れ動き、トライアングルが良いスパイスになっていました。緩急と強弱の大きなうねりを作りながら熱くフルートを演奏し、大きな盛り上がりの中に終わり、パラパラと拍手が起こりました。
第2楽章は、コントラバスとティンパニの低音のリズムに始まり、フルートが少し悲しげに歌いました。ゆったりと穏やかな中にも嘆き悲しむ場面もあり、胸が切なくなりました。うっとりと音楽に浸る中に楽章が終わりました。
第3楽章は、ホルンとクラリネットに導かれ、フルートが明るく歌って始まりました。石丸さんは身振りもほとんどなく、淡々とした様子で演奏していましたが、熱を帯びるオケとともに楽しげに舞い踊り、大きなうねりとともに快活にエネルギーを高め、熱く盛り上がって終わりました。
素晴らしい演奏を聴かせてくれた石丸さんとオケの皆さんに、ブラボーとともに大きな拍手が贈られて、好演を讃えました。
休憩の後の後半は、シューベルトの交響曲第8番「グレート」です。第1楽章は、美しく鳴り響くホルンとともに始まりました。木管と弦が美しくメロディを奏でて演奏が進みました。一歩一歩足元を見ながら、力強く歩みを進めて行きました。エネルギーを高めて、高らかに熱くテーマを演奏して楽章が終わりました。
第2楽章は、弦がリズムを刻み、オーボエとクラリネットがメロディを奏でて始まりました。力強くリズムを刻んで緩急を繰り返し、中間部をゆったりと歌い、再びリズムを刻みながら進んで行きました。熱を帯びて高まりを見せ、静寂の中からチェロが歌い、オーボエが呼応して次第に明るさを取り戻して穏やかに歌い、熱を高めて波を繰り返し、穏やかな安らぎとともに終わりました。
第3楽章は、力強い弦で始まりました。この弦楽合奏が素晴らしく息を呑みました。緩急を反復し、ゆったりと流麗に歌い、そして力強くリズムを刻みました。この対比も鮮やかで、胸が躍りました。明るく穏やかな風景の中でワルツを踊り、繰り返すうちに熱量を高めて、力強く終わりました。
第4楽章は、明るく高らかに始まりました。気分爽快な疾走感とともに走り出し、明るく軽やかに歌い、楽しげに駆け足し、スピードを落とすことなく突き進みました。穏やかな時間もスピードは緩めず、エネルギーを蓄えて、力強く走り抜けました。どんどんとエネルギーアップし、全速力で走る蒸気機関車の如く、野を駆け、山を駆け、ひたすら走り続け、そのパワーにひれ伏しました。オーボエの汽笛を鳴らしながら疾走し、圧倒的なパワーとともにフィナーレを迎えました。
大きな感動と興奮をホールにもたらし、大きな拍手とブラボーで熱い演奏を讃え、カーテンコールが繰り返されました。
そしてアンコールとして、シューベルトの「楽興の時 第3番」が演奏されました。穏やかに、楽しげに踊り、先ほどの興奮を鎮めてくれて、良いデザートになりました。
大きな感動と満足感を胸にホールを出て、寒さを感じる中に駐車場に向かいました。雨が降ったらしく、車は雨に濡れていました。帰り道は、弱いながらも雨が降ったり、雪が降ったりしましたが、バイパスは渋滞もなく、快適に帰宅できました。
さすがにプロの音楽家の集団からなるオケは違いますね。小編成ながらも十分なパワーで圧倒し、磯部さんに導かれて、生き生きとした音楽を生み出してくれました。
来年3月21日の第14回演奏会は、ブラームス・プロジェクト vol.2 として、長岡リリックホールで開催されます。長岡の皆さんに素晴らしい演奏を届けるのは良いのですが、新潟市民としては大変ですね。
この定期演奏会は年に1回しか開催していないのが残念です。プロの音楽家によるオケではなく、真のプロオケとして、年に何回か演奏会を開催してくれるとありがたいのですが、無理なんでしょうね。
新潟A・フィルハーモニックや新潟シンフォニエッタTOKI に参加しているメンバーもあり、棲み分けも問題に思います。
このオケとしては、今年の11月29日に開催されるオペラ公演の演奏も担当します。これも楽しみですね。さらなる発展を祈念したいと思います。
(客席:8-14、¥3500) |