昨日は好天になりましたが、次第に天候が崩れて、今日はどんよりとした土曜日になりました。今日は出かける予定はなかったのですが、予定が変わって午後に時間ができましたので、急遽この演奏会に行くことにしました。
新潟ドルチェ・マンドリン・アンサンブルは、昭和48年に第1回定期演奏会を開催した歴史ある社会人アンサンブルです。
今回は第50回の記念演奏会であり、祝福の意味も含めて、聴かせていただくことにしました。毎年新潟市音楽文化会館を会場にして定期演奏会を開催してきましたが、昨年から工事により長期休館となっており、昨年の第49回定期演奏会は江南区文化会館で開催され、今年の第50回定期演奏会は北区文化会館が会場になりました。
新潟市内の音楽団体は練習場所や演奏会の開催場所の確保で苦労しておられますが、来年には音楽文化会館の使用が再開されますので、もう少しの辛抱です。
某所で簡素な昼食を摂り、バイパスを走り、混み合うこともなく、北区文化会館に到着しました。駐車場には大型観光バスが3台並んでいましたが、どうしたんでしょう。
駐車場で時間調整して、頃合を見て館内に入りました。開場時間前でしたが、既に受付が始まっており、プログラムをいただいて開場を待ち、開場とともに入場しました。私は中段左寄りに席を取りましたが、開演時間が近付くに連れて席は埋まり、なかなかの入りとなりました。
開演時間となり、団員が入場しました。左からファースト・マンドリン(9人)、セカンド・マンドリン(7人)、マンドラ・テノール(6人)、マンドロン・チェロ(3人)、ギター(8人)と並び、右後方にコントラバス(1人)が並びました。
マンドリンのことはよく知りませんでしたが、いろんな種類があるんですね。ギターやコントラバスを加えて、マンドリンオーケストラを形成し、ステージいっぱいに団員が並んで壮観でした。
コンマスが最後に出てきて、通常のオケならチューニングとなるところですが、チューニングはなく、開演のアナウンスとともに、指揮者なしで演奏が始まりました。
プログラムには書かれておらず、何の曲かと思ったのですが、このアンサンブルのテーマ曲で、「希望のささやき」という曲だそうでした。
いきなりの美しいアンサンブルに、うっとりと聴き入りました。挨拶代わりと言うにはもったいない、素晴らしい演奏でした。
司会者が出てきて挨拶がありましたが、今回は50回記念で、OBの参加や賛助出演もあることなどの話があり、コンマスの白井さんの紹介と曲目紹介があり、指揮者の阿部さんの紹介があって、第1部の演奏が始まりました。
第1部は、マンドリンのオリジナル曲です。1曲目はイタリアのマンドリン奏者のブラッコの小交響曲「マンドリンの群!」です。日本でも戦前から盛んに演奏されている曲だそうです。
速いテンポで始まり、その後はゆったりと美しく歌わせ、曲調が変わって明るく歌い、スピードアップして大きく歌わせて、ゆったりとした後、急速に盛り上げてフィナーレとなりました。曲名の如く、交響曲を聴くかのような、短いながらも中身の濃い、充実した曲でした。
2曲目は、青山 涼の「風の駅」です。密集した住宅街を走る都電荒川線の線路を思い浮かべて作曲した曲だそうですが、親しみやすく、明るく、そよ風が吹きぬけるような、爽やかな曲あり、演奏でした。
3曲目は、武藤理恵の「月に舞う」です。マンドラの重厚なメロディに始まり、コンマスのソロがあり、神秘的な音楽物語が始まりました。大河ドラマのテーマ曲のような重厚感と親しみやすさがあり、耳馴染みの良いメロディが流れ出ました。そして、軽快にスピードを上げるも静けさが訪れ、穏やかなアンサンブルとなり、ゆったりと美しくメロディを奏で、熱く胸を高鳴らせて、激しく感情を燃やし、大きな高揚の中に曲が終わりました。
いずれもマンドリンのためのオリジナル曲だけあって、聴き応えのある美しい曲でした。マンドリンの魅力を知らしめてくれた素晴らしい演奏でした。
10分間の休憩の後の第2部は、映画音楽です。団員が静かに入場し、指揮者が登場して、静かに演奏が始まりました。
1曲目は、ビージーズの名曲「メロディ・フェア」です。我が青春時代の懐かしい曲で、思わず英語の歌詞を口ずさんでしまいました。シングル盤を買って何度も聴いていました。B面の「若葉の頃」もいい曲でした。私は今や人生の終盤にかかりつつありますが、遙か昔の希望に満ちた若き頃を思い起こし、感慨に耽りました。
司会者による曲目紹介と指揮者の紹介があり、以後第1部と同様に、司会者による曲目紹介とともに演奏が進められました。MCの間に、賛助出演のフルート、オーボエ、クラリネットと、打楽器奏者2人が入場して後方に着席しました。
2曲目は、フランシス・レイ・メドレーです。ある愛の歌〜白い恋人たち〜男と女〜さらば夏の日〜雨の訪問者と、昭和人なら誰もが知っている名曲がメドレーで演奏されました。若かりし頃にレコードを買って聴いた想い出の曲であり、映画の場面が眼前に繰り広げられるかのようでした。令和の時代になっても曲の魅力は失われませんね。
3曲目は、「チキ・チキ・バン・バン」からのメドレーです。Chitty Chitty Bang Bang 〜 Chu−Chi
Face 〜 You Two 〜 Me Ol' Bam-Boo と、管楽器・打楽器も加わって、明るく楽しく、思わずメロディを口ずさんでしまいながら、楽しく聴かせていただきました。
続いては、日本映画の曲が2曲続けて演奏されました。まず最初は、北野武監督の「菊次郎の夏」のメインテーマの「Summer」です。久石譲によるノスタルジックな名曲ですが、しっとりとしたアレンジの編曲も良くて、心に沁みる美しい演奏でした。
次は「犬神家の一族」より「愛のバラード」で、管楽器・打楽器も加わって演奏されました。オーボエがメロディを奏でたりなど、オーケストラを聴くような厚みのあるサウンドで楽しませてくれて、映画の場面が思い起こされました。
そして、第2部最後は、「コーラスライン」より「ONE」です。迫力ある打楽器・管楽器とともに演奏が始まり、ミュージカルの華やかなステージが眼前に広がりました。この映画はリアルタイムで楽しんでいましたので、懐かしく聴きました。ドラムスとティンパニが盛り上げて曲が終わりました。
2度目の休憩の後の第3部は、クラッシクの名曲をマンドリン用にアレンジしたプログラムです。管楽器・打楽器は登場せず、指揮者が入場して演奏が始まりました。
1曲目は、J.シュトラウス2世の「アンネン・ポルカ」です。もともとの曲調がマンドリンに合っているように思われ、違和感のない演奏を楽しみました。
司会者が出てきて、指揮者の紹介と曲目の紹介があり、この間に管楽器と打楽器奏者が入場して席に着きました。
2曲目は、ルロイ・アンダーソンの「ワルツィング・キャット」です。編曲の良さもあり、原曲の雰囲気が良く表現されており、子ネコの鳴き声もマンドリンでバッチリでした。最後には団員による犬の吠え声もあって、楽しく演奏してくれました。
3曲目は、サティの「ジュ・トゥ・ヴ」です。管楽器・打楽器も加わっての演奏でした。オーボエのソロもあって、鉄琴が爽やかな味付けをして、楽しめる編曲でした。
4曲目は、ラヴェルの名曲「亡き王女にためのパヴァーヌ」です。マンドラで始まり、クラリネットがしっとりと歌い、オーボエが加わって、マンドリンと溶け合い、さらにフルートも加わって、木管三重奏とマンドリン・アンサンブルにより、繊細な音楽が作り上げられました。泣かせる音楽に胸が締め付けられるようでしたが、曲の良さとともに、編曲の素晴らしさを感じました。
司会者により、賛助出演のフルートの星田さん、オーボエの川又さん(新潟室内合奏団)、クラリネットの富樫さん(新潟大学管弦楽団)、ティンパニ&パーカッションの中島さん、熊谷さん(ともに新潟大学管弦楽団)の紹介があり、大きな拍手が贈られました。
そして、プログラム最後は、ビゼーの「アルルの女」から「カリオン」と「ファランドール」です。「カリオン」は、鐘の鳴る様子がマンドリンで良く表現され、木管やティンパニがスパイスとなっていました。中間部の木管三重奏はしみじみとし、再び鐘が鳴り響いて曲が終わりました。
「ファランドール」は、管楽器とティンパニとともに壮大に始まりました。太鼓がリズムを刻み、どんどんどクレッシェンドしていき、一旦小休止してメロディを奏で、太鼓が再びリズムを刻んでクレッシェンドし、ティンパニも鳴らして、どんどんと音量を上げて、感動と興奮をもたらしてフィナーレとなりました。
大きな拍手に応えて、司会者がフルートを持って席に着き、アンコールは「マイウェイ」です。フルートソロとともに始まり、クラリネット、オーボエも加わり、さらに打楽器も加わって、感動の音楽が生まれました。
演奏の終盤に、代表者が50回目の定期演奏会を迎えることができたことへの感謝の言葉が述べられ、「マイウェイ」のメロディをバックに自分たちの歴史を振り返り、これからも自分たちの道を歩んでいくと語る姿に感動させられました。
客席から花束を持った粋な男性がステージに上がって代表者に花束を渡し、さらなる感動の中に演奏が終わり、記念すべき50回目の演奏会は終演となりました。
良く練られたプログラムであり、司会者の曲目解説も詳細でわかりやすく、落ち着いた話しぶりも良かったです。配布されたプログラムの内容も秀逸でした。
各曲の編曲も素晴らしく、賛助出演の5人とともに、マンドリン・アンサンブルの素晴らしさ、楽しさを知らしめてくれました。
新潟の地で、50年以上も活動を続けている新潟ドルチェ・マンドリン・アンサンブルの皆さんに敬意を表するとともに、これからのさらなる発展を祈念したいと思います。
日頃聴く機会がないマンドリンアンサンブルを、見事な演奏で、それも無料で聴かせていただき、感謝でいっぱいです。どうもありがとうございました。
ホールを出ますと湿度が高く、どんよりとした天気でした。雨が降り出しそうな天候でしたが、いい音楽を聴かせていただき、晴れやかな気持ちで家路に着きました。
(客席:13-9、無料) |