東響ロビーコンサート
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2024年7月21日(日) 13:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール・ホワイエ
第1ヴァイオリン:田尻順、第2ヴァイオリン:竹田詩織
ヴィオラ:青木篤子、チェロ:内山剛博
 

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
  第1楽章 アレグロ・モデラート
  第2楽章 アッセ・ヴィフ トレ・リトメ
  第3楽章 トレ・ラン
  第4楽章 ヴィフ・エ・アジテ
 
 
 東京交響楽団新潟定期演奏会の日に恒例の無料のロビーコンサートです。東響の団員の演奏を至近距離で聴けて、親しみを感じられる貴重な機会です。前回は聴けませんでしたので、今日は昨年12月以来、久しぶりに聴かせていただくことにしました。

 今日は、弦楽四重奏です。出演は、コンサートマスターの田尻順さん、第2ヴァイオリンの竹田詩織さん ヴィオラ主席の青木篤子さん、そしてチェロの内山剛博さんです。曲目は、ラヴェルの弦楽四重奏曲で、大いに楽しませていただきたいと思います。

 ゆっくりと簡素な昼食をとり、りゅーとぴあへと向かいました。今日は長期戦になりますので、白山公園駐車場ではなく、料金の上限額が設定されている市役所駐車場に車をとめました。
 館内に入りますと、すでにたくさんの観客が集まっており、階段や2階バルコニーもかなりの人で埋まっていました。私はステージの中央後方の床に座って開演を待ちました。

 時間となり、ヴァイオリンの田尻さん、竹田さん、ヴィオラの青木さん、そしてチェロの内山さんの4人が登場しました。
 まず内山さんによりメンバー紹介があり、曲目解説がありました。ラヴェルの唯一の弦楽四重奏曲であること、27歳の時の作品であること、今日の定期演奏会で演奏される「クープランの墓」が作曲されるまでの10年の間に、第一次世界大戦があったり、ラヴェルが病気になったりと、ラヴェルにとってもたくさんの出来事があったことなど、興味深く拝聴しました。

 そして、いよいよ演奏開始です。響きの良いホワイエに響く弦楽四重奏の調べは、あまりにも美しく、うっとりと聴き入りました。
 第1楽章は、柔らかな調べがゆったりと流れ、心地良さを感じました。どこか愁いを秘めたメロディがさざ波のように押しては返し、大きな波となり、ときに荒れたかと思うも、穏やかさを取り戻し、深遠な森の静けさの中に終わりました。
 第2楽章は、ピチカートで始まり、激しさとスピード感を感じさせました。中間部ではゆったりと休息し、うつらうつらしながら、再び少しずつエンジンをかけて走り出し、激しいピチカートとともにハイスピードとなって駆け抜けました。
 チューニングが行われて、第3楽章は、ゆったりとしたヴィオラから、チェロへ、そしてヴァイオリンへと引き継がれ、穏やかに歌い上げました。少ししんみりとしましたが、チェロが激しく咆哮し、激しい感情の高ぶりを押し殺して、静けさの中に終わりました。
 第4楽章は、激しく感情を吐露し、その高ぶりを抑えきれず、苦悶し、次第に熱を帯びて盛り上がり、フィナーレとなりました。

 さすがに東響のメンバーだけあって、素晴らしい演奏で魅了しました。無料ではもったいないくらいの演奏であり、ロビーコンサートのありがたさを実感しました。大きな拍手が贈られて、感動のコンサートは終演となりました。

 次回は、9月15日(日)13時から、オーボエ(浦脇健太)、クラリネット(エマニュエル・ヌヴー)、ヴァイオリン(森岡ゆりあ)、ヴィオラ(新井瑞穂)、コントラ・バス(コーディ・ローズブーム)で、プロコフィエフのオーボエ五重奏曲が演奏されます。
 楽器の編成は珍しい組み合わせですし、曲も聴いたことがありません。最近入団した方々のお名前もあり、その演奏も楽しみです。予定が許せば、是非聴かせていただきたいと思います。
 
 
(客席:正面後方、無料)