三四年前からの、雑誌ホトトギスと國民新聞とに出した畫稿を合せて今度畫集を出す事になつた。
今見ると、中には随分、拙いと思ふのもあれぱイヤ味なのも、又書き直したいと思ふのもある。けれども大概其ままにしておいた。
私だけには――この拙い繪やイヤ味な繪を通して、これを描いた時分のこころもちを志みゞと味ふことが出来る。
若し此の畫集の中で、一枚でも、私が描いた時と同じ様なこころもちで、之を見る人があつたら、私にとつては大いなる幸である。
四十三年十二月 ヨヘイ
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渡辺与平