販売取扱所・移送取扱所・一般取扱所
構造・設備基準まとめ
1. 3つの取扱所の定義と区分
取扱所とは、製造所以外の場所で危険物を小分けしたり、移動させたり、消費したりする施設です。目的によって、給油取扱所(ガソリンスタンド)を加えた4つに分類され、このページではそのうち以下の3つを取り上げます。
販売取扱所
店舗で危険物を販売する
主として容器入りの危険物を、店舗において製品としてそのまま販売する施設(例:塗料店、プロパンガス・灯油の販売店)。
指定数量の倍数に応じて第一種と第二種に分かれます。
移送取扱所
パイプラインで輸送する
配管(パイプライン)及びポンプ、これらに附属する設備を用いて、危険物を特定の場所から別の場所へ移送する施設。
※移動タンク貯蔵所(タンクローリー)とは全く異なるので注意。
一般取扱所
上記以外のすべての消費・取扱
販売・移送・給油(ガソリンスタンド)以外の目的で危険物を取り扱うすべての施設。
例:工場のボイラー室、洗浄施設、危険物を原材料として使用する化学プラントなど。
2. 各取扱所の個別基準(図解イメージ)
■ 販売取扱所(第一種・第二種)の構造基準
販売取扱所は「店舗」であるため、建築物の中に組み込まれるケースを想定した基準になっています。指定数量の倍数による区分と、危険物を小分けする「配合室」の基準がポイントです。
【販売取扱所の店舗レイアウトイメージ】
店舗(販売スペース)
配合室(危険物を分ける室)
※床面積:6㎡以上10㎡以下
- 第一種販売取扱所: 危険物の指定数量の倍数が15倍以下。
- 第二種販売取扱所: 危険物の指定数量の倍数が15倍を超え40倍以下(第一種より壁などの耐火基準が厳しい)。
- 店舗の配置: 建築物の1階に設けなければならない。
- 配合室の設置: 危険物を容器に小分けしたり混ぜたりする場合、必ず耐火構造の障壁で仕切られた「配合室」を設ける(床面積は6㎡以上10㎡以下)。
- 配合室の構造: 床は危険物が浸透しない構造にして、適当な傾斜とためますを設ける。出入口には0.1m以上の高さの敷居を設ける。
■ 移送取扱所の基準
配管のルートが広範囲に及ぶため、災害を防ぐための空地や、配管自体の耐久・保護基準が細かく定められています。
【移送取扱所(パイプライン)の安全設置】
地上設置:周囲に保有空地を確保
地下埋設:道路の下など(深さ規定あり)
海底設置:船舶等の影響のないルート
- 保安距離・保有空地の扱い: 法令上「保安距離」が必要とされるのは製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・一般取扱所の5施設で、移送取扱所はこの5施設には含まれません。一方「保有空地」は、移送取扱所(地上設置のもの)も対象になります。配管の最大常用圧力に応じた幅の空地を配管の両側に確保します(0.3MPa未満:5m以上、0.3MPa以上1MPa未満:9m以上、1MPa以上:15m以上)。
- 住宅・学校等への配慮: 上記の「保安距離」とは別に、配管は住宅、学校、病院、鉄道などの施設に対して、告示で定める水平距離を確保しなければならないという独自の規定があります。
- 配管の構造: 原則として鋼製(スチール)で、内圧や外圧、熱応力に耐え、地震時にも容易に破断しない構造とする。
- 道路・鉄道交差: 道路や鉄道の下を横断して埋設する場合は、管の保護のため外管(スリーブ)を設けるなどの防護措置を講じる。
- 非常時の設備: 配管内の危険物の流れを止める非常遮断弁や、漏えいを検知する設備、緊急時の通報設備などを設ける。
■ 一般取扱所の構造基準
一般取扱所は、危険物の取扱方法(ボイラーでの消費、充填、塗装等)に応じて基準が異なりますが、ベースは製造所の基準が準用されます。取扱いの内容や条件によっては、保有空地や保安距離などを緩和する特例基準も設けられています。
【一般取扱所の基本構造(製造所の基準を準用)】
周囲の保有空地
不燃材料の屋根・壁
床の傾斜+ためます(液漏れ防止)
- 保有空地と保安距離: 製造所と同じく、指定数量の倍数に応じた保有空地、および対象施設に応じた保安距離が必要。
- 建築物の構造: 壁・柱・床・はりは不燃材料とし、延焼のおそれのある外壁は出入口以外の開口部のない耐火構造とする。屋根は軽い不燃材料(万が一の爆発時に圧力を上方に逃がすため)とし、天井は設けない。
- 床面構造: 危険物が浸透しない構造(コンクリート等)にし、適度な傾斜をつけて、漏れた液を溜める「ためます」を設ける。
3. 比較表
3つの取扱所の主な違いをまとめた対比表です。
🎯 学びのポイント
販売取扱所には保安距離や保有空地は必要ありません。街中の商店街にある塗料店などをイメージしてください。隣の建物と密接しているため、空地を空けることは物理的に不可能です。その代わり、指定数量が最大40倍までに厳しく制限されています。
移送取扱所についても誤解されやすいポイントがあります。法令上の「保安距離」が必要な施設は製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・一般取扱所の5つだけで、移送取扱所は入っていません(代わりに保有空地や、住宅等への独自の水平距離規定があります)。