タンク貯蔵所(屋外・屋内・地下・簡易)の構造・設備基準
「4つのタンク貯蔵所」の重要ポイントです。それぞれの明確な数値基準と特有の防護設備を整理しましょう。
1. タンク貯蔵所の構造イメージ図
設置される場所(屋外、屋内、地中)に合わせて、漏洩を防ぐための専用設備や容量制限が課せられています。
【屋外】と【屋内】タンクの対比
屋外タンク
容量制限なし
厚さ3.2mm以上の鋼板
圧力タンクには安全装置
防油堤(周囲に設置)
容量:最大タンクの 110% 以上
高さ:0.5m 以上
タンク専用室(平屋建て)
屋内タンク
容量:指定数量の
40倍以下
(第4類は原則20,000Lまで)
間隔:壁から 0.5m 以上
【地下】と【簡易】タンクの対比
▼ 地面(地中に埋設)
地下タンク
容量制限なし
頂部は地表から 0.6m 以上深く
タンクの周囲に 0.1m 以上の砂
簡易タンク
1基:600L 以下
同一敷地内に 3基まで
(同じ品質のものは2基以上置けない)
2. 各タンクの数値・設置基準
① 屋外タンク貯蔵所:「防油堤(ぼうゆてい)」について
- 保安距離・保有空地: ともに設定義務があります。保有空地の幅は、貯蔵する危険物の量(指定数量の倍数)に応じて下表のとおり決まります。
- 防油堤の容量: 万が一の液漏れを受け止めるコンクリートの囲い(防油堤)は、中にあるタンクの容量の110%以上(タンクが複数ある場合は最大タンクの110%以上)が必要です。(引火性のない液体の場合は100%以上)
- 防油堤の高さ: 0.5m以上とされています。
- 防油堤の構造: 鉄筋コンクリートまたは土で造り、面積は80,000㎡以下。1つの防油堤内に設置できるタンクは原則10基以下です(引火点70℃以上200℃未満の危険物のみなら20基以下、200℃以上のみなら制限なし)。
- 水抜き口: 防油堤の内部に溜まった雨水を排出するため水抜き口を設け、弁は通常は閉鎖しておきます(排水時のみ開けます)。
- 出入りのための階段: 防油堤の高さが0.5m以上あるため、おおむね50mごとに出入り用の階段(または土砂の盛り上げ)を設けます。
- 通気管・安全装置: 圧力タンク以外のタンクには通気管(無弁通気管または大気弁付通気管)を、圧力タンクには安全装置を設けます。
屋外タンク貯蔵所の保有空地(タンクの周囲に確保する空地の幅)
※ 屋外タンク貯蔵所には、保安距離・保有空地のほかに、敷地境界線からタンク側板までの距離(敷地内距離)も定められています。
② 屋内タンク貯蔵所:容量の上限と配置ルール
- 場所の制限: タンクは原則として平屋建ての「タンク専用室」に設置します。
- 容量制限: 原則として指定数量の40倍以下。ただし、第4類(第4石油類・動植物油類を除く)の場合は、40倍を計算した値が大きくなっても最大20,000L(2万リットル)が上限です。第4石油類・動植物油類は20,000Lの上限がなく、指定数量の40倍以下であればよいことになっています。
- メンテナンス隙間: タンクと壁、またはタンク同士の間には、点検用の空間として0.5m以上の間隔を空ける必要があります。
- 専用室の床: 液体が浸透しない構造とし、適当な傾斜をつけて貯留設備(ためます)を設けます。
- 保安距離・保有空地: タンク専用室内に設置されるため、どちらも不要です。
③ 地下タンク貯蔵所:ガソリンスタンドに設置
- 保安距離・保有空地: タンク全体が完全に地中に埋まっているため、どちらも必要ありません(免除)。
- 埋設のルール: タンクの上の面は地表から0.6m以上深くなければなりません。また、タンクの周囲は直接土に触れさせず、厚さ0.1m(10cm)以上の乾燥砂で隙間なく包む必要があります。
- タンク相互の間隔: 2基以上を並べて設置する場合、タンク相互間は1m以上あけます(容量の合計が指定数量の100倍以下のときは0.5m以上)。
- 漏れ検査管: 危険物の漏れを早期に発見するため、タンクの周囲に4箇所以上設けます。
④ 簡易タンク貯蔵所:手軽な小規模施設
- タンクの容量: 1基あたり600L以下という非常に小さなタンクです。
- 設置基数の制限: 1つの簡易タンク貯蔵所(同一敷地内)に置けるのは最大で3基まで。かつ、ガソリンならガソリン1基までとし、同じ品質の危険物のタンクを複数並べることはできません。
- 保安距離・保有空地: 保安距離は不要です。保有空地は、屋外に設置する場合はタンクの周囲に1m以上、専用室内に設置する場合はタンクと壁の間に0.5m以上が必要です。
- タンク相互の間隔・固定: タンク相互の間隔は0.5m以上とし、タンクは地盤面や架台に固定して設置します(キャスター付きでも、貯蔵中に動かすためのものではありません)。
- 構造: 厚さ3.2mm以上の鋼板で造り、通気管を設けます。
3. 4大タンク貯蔵所の比較一覧表
4. 4種類に共通する基本事項
- タンクの材料: 屋外・屋内・地下・簡易のいずれも、原則として厚さ3.2mm以上の鋼板で造ります。
- 通気管: タンク内の圧力変化を逃がすため、圧力タンク以外のタンクには通気管を設けます。
- 標識・掲示板: 見やすい箇所に、貯蔵所であることを示す標識と、防火に関し必要な事項を示す掲示板を設けます。
- タンクの検査: 完成検査の前に、水圧試験(圧力タンクは最大常用圧力の1.5倍の圧力)などの検査を受けます。
🎯 学びのポイント
地面の下に埋まっている地下タンクと、車両に積載された移動タンク(タンクローリー)は、保安距離・保有空地がどちらも不要という共通点を持っています。屋内タンクも専用室内にあるため同様に不要で、保安距離・保有空地の両方が必要なのは屋外タンクだけです。
5. 理解度チェック
タップすると答えが表示されます。
Q1. 屋外タンク貯蔵所の防油堤の容量は、タンク容量の何%以上が必要?
110%以上です。タンクが複数ある場合は、最大のタンクの容量の110%以上が必要です。
Q2. 屋内タンク貯蔵所で、タンクと壁との間に必要な間隔は?
0.5m以上です。点検やメンテナンスのための空間を確保します。
Q3. 地下タンクの頂部は、地表からどれだけ深く埋める?
0.6m以上です。タンクの周囲は厚さ0.1m以上の乾燥砂で包みます。
Q4. 簡易タンク貯蔵所に、同じ品質のガソリンのタンクを2基設置できる?
できません。同一品質の危険物のタンクは2基以上設置できず、全体でも3基までです。
Q5. 保安距離と保有空地が「両方とも必要」なタンク貯蔵所は?
屋外タンク貯蔵所です。屋内タンク・地下タンクは両方不要、簡易タンクは保安距離のみ不要(保有空地は必要)です。