1. 試験の構成と合格基準
| 科目 | 出題数 | 合格ライン(60%以上) |
|---|---|---|
| 危険物に関する法令 | 15問 | 9問以上 |
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 | 6問以上 |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 | 6問以上 |
五肢択一(マークシート)・全35問・試験時間2時間。3科目すべてで60%以上が必要です(1科目でも未満だと不合格)。
2. 第4類(引火性液体)の品名・指定数量・引火点
| 品名 | 水溶性 | 指定数量 | 引火点などの区分(定義) | 主な物質 |
|---|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | ― | 50 L | 発火点が100℃以下、または、引火点が−20℃以下で沸点が40℃以下 | ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド、酸化プロピレン |
| 第1石油類 | 非水溶性 | 200 L | 引火点が21℃未満 | ガソリン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン |
| 第1石油類 | 水溶性 | 400 L | 引火点が21℃未満 | アセトン、ピリジン |
| アルコール類 | 水溶性 | 400 L | 炭素数1〜3の飽和一価アルコール | メタノール、エタノール、プロピルアルコール(1-,2-) |
| 第2石油類 | 非水溶性 | 1,000 L | 引火点が21℃以上70℃未満 | 灯油、軽油、キシレン、クロロベンゼン、1-ブタノール |
| 第2石油類 | 水溶性 | 2,000 L | 引火点が21℃以上70℃未満 | 酢酸、アクリル酸、プロピオン酸 |
| 第3石油類 | 非水溶性 | 2,000 L | 引火点が70℃以上200℃未満 | 重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン |
| 第3石油類 | 水溶性 | 4,000 L | 引火点が70℃以上200℃未満 | グリセリン、エチレングリコール |
| 第4石油類 | ― | 6,000 L | 引火点が200℃以上250℃未満 | ギヤー油、シリンダー油、潤滑油 |
| 動植物油類 | ― | 10,000 L | 引火点が250℃未満(動物の脂肉・植物の種子や果肉から抽出) | アマニ油、ヤシ油、オリーブ油 |
覚え方の目安:指定数量は 50 → 200・400 → 400 → 1,000・2,000 → 2,000・4,000 → 6,000 → 10,000(水溶性は非水溶性の2倍。アルコール類は第1石油類の水溶性と同じ400 L)。
引火点の区分:21℃・70℃・200℃・250℃ が境目。指定数量の倍数計算シミュレーターもご利用ください。
3. 代表的な物質の性質(目安)
| 物質名 | 引火点(℃) | 発火点(℃) | 沸点(℃) | 液比重 | 水への溶解 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | ||||||
| ジエチルエーテル | −45 | 160 | 35 | 0.7 | 少し溶ける | 日光や空気で過酸化物を生じる。褐色びん・冷暗所。 |
| 二硫化炭素 | −30以下 | 90 | 46 | 1.3 | 溶けない | 水より重い。蒸気の発生を防ぐため水没させて貯蔵。燃焼で有毒な二酸化硫黄。 |
| アセトアルデヒド | −39 | 175 | 20 | 0.8 | 溶ける | 貯蔵に銅・銀・水銀・マグネシウム(とその合金)は使わない。 |
| 酸化プロピレン | −37 | 449 | 35 | 0.8 | 溶ける | アセトアルデヒドと同様、銅・銀・水銀・マグネシウムは使わない。 |
| 第1石油類 | ||||||
| ガソリン | −40以下 | 約300 | ― | 0.7〜0.8 | 溶けない | 燃焼範囲 約1.4〜7.6vol%。自動車用はオレンジ色に着色。 |
| ベンゼン | 約−11 | 約500 | 80 | 0.9 | 溶けない | 芳香のある液体。蒸気は有毒。 |
| トルエン | 約4〜5 | 約480 | 111 | 0.9 | 溶けない | 芳香のある液体。 |
| アセトン | −20 | 約465 | 56 | 0.8 | 溶ける | 水溶性なので、泡消火には水溶性液体用泡を使う。 |
| アルコール類 | ||||||
| メタノール | 11 | 約385〜464 | 65 | 0.8 | 溶ける | 燃焼しても炎の色が淡く見えにくい。毒性が強い。 |
| エタノール | 13 | 363 | 78 | 0.8 | 溶ける | 水溶性。泡消火は水溶性液体用泡。 |
| 第2石油類 | ||||||
| 灯油 | 40以上 | 220 | 145〜270 | 0.8 | 溶けない | 霧状になると引火点以下でも燃えやすい。 |
| 軽油 | 45以上 | 220 | 170〜370 | 0.85 | 溶けない | ディーゼル燃料。 |
| キシレン | 約27〜33 | 約460〜530 | 約140 | 0.9 | 溶けない | o-,m-,p- の3種類の異性体がある。 |
| 酢酸 | 約40 | 約463 | 118 | 1.05 | 溶ける | 水より重い。融点約17℃で、冬は凍る(氷酢酸)。腐食性がある。 |
| 第3石油類 | ||||||
| 重油 | 60〜150 | 250〜380 | ― | 0.9〜1.0 | 溶けない | 燃焼が長く続く。 |
| クレオソート油 | 約74 | 約336 | ― | 1.0以上 | 溶けない | 水より重い。 |
| グリセリン | 約177〜199 | 約370 | ― | 1.3 | 溶ける | 水より重い。 |
空欄「―」は省略(試験に出にくい項目)。蒸気比重はすべて1より大きく(空気より重く、低所にたまる)、液比重はほとんどが1より小さい(水に浮く)。ただし、二硫化炭素・酢酸・クレオソート油・グリセリン・ニトロベンゼン・アニリンなどは水より重いので注意。
4. 第4類に共通する性質
性質
- 引火性の液体で、蒸気が空気と混ざって燃える(蒸発燃焼)
- 蒸気は空気より重い:低いところにたまって遠くの火源に引火することがある
- 液体は水より軽く、水に溶けにくいものが多い(例外あり)
- 電気の不導体で、流動・かくはん・ろ過などで静電気がたまりやすい
- 発火点は比較的低いものもあるが、引火点が低いほど危険
貯蔵・取扱いの基本
- 火気・火花・高温体を近づけない(「火気厳禁」)
- 通風・換気をよくして、蒸気を滞留させない
- 容器は密栓して、冷暗所に貯蔵
- 静電気の発生を抑え、接地(アース)や流速の制限を行う
- 蒸気の燃焼範囲:下限〜上限の間で引火・爆発の危険がある
用語の整理:引火点=火源を近づけると燃え出す最低の液温/燃焼範囲=燃える蒸気濃度の範囲/発火点=火源がなくても自然に燃え出す最低温度。用語解説もご覧ください。
5. 指定数量の倍数計算
倍数 = (A の貯蔵量 ÷ A の指定数量)+(B の貯蔵量 ÷ B の指定数量)+ …
合計が 1以上 のとき、指定数量以上の危険物として、消防法の規制を受けます(1未満は指定数量未満で、貯蔵・取扱いは市町村の条例で規制されます)。
計算例:ガソリン 400 L + 灯油 2,000 L を貯蔵する場合
ガソリン = 400 ÷ 200 = 2倍、灯油 = 2,000 ÷ 1,000 = 2倍 → 合計 4倍
同じ品名でも、非水溶性と水溶性で指定数量が違う点に注意(例:酢酸は水溶性なので2,000 L、灯油は非水溶性なので1,000 L)。
6. 消火方法
- 第4類の火災は窒息消火が基本:泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物の消火剤が有効
- 棒状の水は不適:液体が水に浮いたまま流れて、火災が拡大する
- 水溶性の液体(アルコール類・アセトンなど)は、普通の泡が水で壊れるので、水溶性液体用泡(耐アルコール泡)を使う
- 消火剤の適応は「性質消火」のページの消火剤シミュレーターで確認できます
7. 標識・掲示板(第4類)
- 製造所等の掲示板:「火気厳禁」(赤地・白文字)
- 禁水(青地・白文字)は第4類には使いません(水に反応する危険物ではないため)
標識・掲示板の詳しい内容は「法令」のページで確認してください。
8. 直前チェックリスト
- 3科目すべて60%以上(法令9/物理化学6/性質消火6問以上)
- 特殊引火物の定義:発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下
- 引火点の境目:21℃・70℃・200℃・250℃
- 指定数量:50/200・400/400/1,000・2,000/2,000・4,000/6,000/10,000 L
- アルコール類=炭素数1〜3の飽和一価アルコール(メタノール・エタノール・プロパノール)
- 二硫化炭素=水より重い・水没貯蔵・発火点90℃(第4類で最も低い)
- 酢酸=水溶性・水より重い・冬に凍る
- アセトアルデヒド・酸化プロピレン=銅・銀・水銀・マグネシウムを使わない
- 蒸気は空気より重い/液は水より軽いものが多い(例外あり)/静電気に注意
- 消火は窒息消火。棒状の水は不適。水溶性には水溶性液体用泡
- 倍数計算=Σ(貯蔵量÷指定数量)が1以上