==================================================================== DSMC_2D.xls Version 1.1.5 伝宝 一樹 denpoh@mvi.biglobe.ne.jp Nov 08, 2023 ==================================================================== 【概  要】 DSMC_2D.xlsはMicrosoft Excel上で動作するDirect Simulation Monte Carlo (DSMC) [1-4] の2次元汎用コードです.Excelシートのセルを計算 格子のcellに見立てて形状入力したら楽なのでは?と思い,Excelのマクロ として組み込んでみました. 現バージョンでの主な特徴は下記の通りです. Version 1.1.4以後のバージョンには,多孔質体をや表面粗さをモデル化 するための独自の新技術Virtual Solid Cell (VSC)を搭載しています. - 2次元 (x-y平面) - 最大セルサイズ50×50 - 純ガス - Maxwell分子 - 内部自由度 - Variable Hard Sphere (VHS) モデル - Larsen-Borgnakkeモデル - Virtual Solid Cell (VSC) まだまだ機能は限定されていますが,気軽に希薄流解析を試せるDSMCコード として遊んでみて下さい.バグは取り切れていないと思いますので,もし 発見した場合には,作者までご連絡いただければ幸いです. 参考文献 [1] G. A. Bird: Molecular Gas Dynamics, Clarendon Press, 1976. [2] K. Nanbu: Stochastic Solution Method of the Boltzmann Equation I, Mem. Inst. Fluid Sci., Tohoku Univ., Vol. 3 (1992), pp. 47-93. [3] K. Nanbu: Theory on the Monte Carlo Simulation of Rarefied Flows Based on the BGK, Holway, Kac, and Boltzmann Equations, Mem. Inst. Fluid Sci., Tohoku Univ., Vol. 5 (1994), pp. 83-120. [4] K. Nanbu: Stochastic Solution Method of the Boltzmann Equation II, Gas Mixture, Diatomic Gas, Reactive Gas, and Plasma, Mem. Inst. Fluid Sci., Tohoku Univ., Vol. 7 (1997), pp. 53-101. 【使用方法】 1.形状および計算条件の設定 アーカイブに同梱されたサンプルを参考に,マゼンタ色のタブを有する4枚 のシート  Cells (形状入力およびcellの定義)  Conds#1 (計算条件-1)  Conds#2 (計算条件-2)  SolverCtrl (ソルバー設定) を設定して下さい. (1) 形状入力およびcellの定義 ("Cells"シート) 列(横)方向にx軸、行(縦)方向下側に向かってy軸を取っています. シートの各セルを計算格子のcellに見立てていますので,各cellの大きさは 均一です.cellのx,y方向の各辺の長さは"Conds#1"シートで定義します. 壁面(番号:1から9)で流体領域(番号:0)を囲むように各セルにcell番号を 入力して形状を定義します.壁面番号を定義されていないセルは計算領域外 となります. 各壁面の境界条件は"Conds#2"シートで定義します.番号1から9の壁面の うち,inlet(流入境界)とoutlet(流出境界)をそれぞれ一つずつ設けること ができます.どの番号の壁面がinletやoutletに対応するのかは,"Conds#1" シートで定義します.inletやoutletが不要の場合には,"Cells"シートで 使用していない壁面番号を割り当てて下さい. (2) 計算条件の入力 ("Conds#1"シート) - セルの各辺の長さ - ガスの物性(分子量,粘性係数,内部自由度) - 参照条件(圧力,温度) - 初期条件(圧力,温度,cell当たりの計算粒子数) - "Cells"シートで定義した壁面数 - 流入境界条件(壁面番号,境界タイプ,圧力,流速) - 流出境界条件(壁面番号,境界タイプ,圧力) を入力します. 境界タイプは以下の通りです. - 圧  力:圧力を固定します. - 流  速:流速を固定します. - 反  射:"Conds#2"で対応する壁面番号の付着係数(sticking       coefficient)を参照し,その確率に応じて粒子を流出させたり,       反射させて,流出量を調整できます. - 完全真空:計算領域内の粒子が流出するのみ.境界から計算領域内への       粒子の流入はありません. (3)計算条件の入力 ("Conds#2"シート) "Cells"シートで定義した各壁面の境界条件を設定します. - 壁面温度 - 反射/付着確率 拡散反射,鏡面反射,付着(流出)の各確率の合計が1になるよう調整   して下さい. - 壁面移動速度(x方向,y方向) - 空孔率(epsion_RSC)   VSC関連論文で記述されている空孔率epsion_RSCを入力して下さい.   VSCの空孔率epsion_VSCは     epsion_VSC = epsion_RSC^2   として,ソルバー内部で処理されます.また,     epsion_VSC = 0   の場合,完全固体セルとして取り扱われます. (4)ソルバー設定 ("SolverCtrl"シート) - Restart File Name  継続計算する場合にリスタートファイル名を記入します.読み込む  リスタートファイルは,DSMC_2D.xlsと同じフォルダに置いてください.  デフォルトでは,DSMC_2D.rstが生成されます.リスタートファイルを  指定しない場合には,"Conds#1"シートで設定した初期条件からの計算  開始となります. - # of Time-steps to Run  計算を走らせるステップ数を指定します.総ステップ数ではありません.  最小単位は10ステップです.すなわち,1を入力しても最低10ステップは  計算します. - Start Sampling at  データのサンプリングを開始するステップ数を指定します.総ステップ数  に対する値です.総ステップ数は"Log"シートを参照して下さい.  総ステップ数よりも大きな値を指定した場合には,これまでサンプリング  されたデータは破棄されます.リスタート等でデータのサンプリングを  やり直したい場合等にご活用下さい. - Logging Interval  "Log"シートに表示されるログを記録するステップ間隔です. - Append Log?  リスタート時にログを続けて記録するか,消去するかを指定します. 2.計算の実行 気の利いたスタート/ストップ用のボタンは,特に設けてはおりません. 実行はファイルメニューより  表示 → マクロ → マクロの表示 を開きDSMC_2Dを選択,実行(R)を押します.計算が開始し,"Log"シートに 各ステップにおける全粒子数と平均運動エネルギーが表示されます.定常 状態の判定の参考にして下さい. 途中で計算を止めたい場合にはExcelを閉じて下さい.形状および計算条件 を設定後,計算前に保存しておくことをお薦めします. 3.計算結果の表示 データのサンプリングが開始されていた場合,計算終了後以下のシートに 各グリッド上(cell中心ではない)のデータが記録されます. - "n"シート : 数密度 [1/m3] - "V"シート : 流速 [m/s] - "p"シート : 圧力 [Pa] - "T"シート : 全温度 [K] - "Ttr"シート : 並進温度 [K] - "Tint"シート: 内部温度 [K] - "q"シート : 熱流束 [W/m2] また,それぞれの物理量のコンター図は以下のシートに表示されます. - "Plot_n"シート : 数密度 [1/m3] - "Plot_V"シート : 流速 [m/s] - "Plot_p"シート : 圧力 [Pa] - "Plot_T"シート : 全温度 [K] - "Plot_Ttr"シート : 並進温度 [K] - "Plot_Tint"シート: 内部温度 [K] - "Plot_q"シート : 熱流束 [W/m2] 同時に,DSMC_2D.xlsと同じフォルダに描画ソフトウェア「AV似非」 (おりいるの実験室 http://hp.vector.co.jp/authors/VA011972/)用の データが保存されます. - AVESE_Dns.dat : 数密度 [1/m3] - AVESE_Vel.dat : 流速およびベクトル [m/s] - AVESE_Prs.dat : 圧力 [Pa] - AVESE_Tmp.dat : 全温度 [K] - AVESE_Ttr.dat : 並進温度 [K] - AVESE_Tint.dat: 内部温度 [K] - AVESE_Hflx.dat: 熱流束およびベクトル [W/m2] AV似非で描画されることをお薦めします. 【著作権および免責等】 DSMC_2D.xlsの著作権は,作者である伝宝 一樹が保有しています. このソフトウェアを使用したことによって生じた如何なる障害・損害も,作 者は一切の責任を負いません.使用者の責任において使用するものとします. 【転載および再配布】 DSMC_2D.xlsの転載や再配布は一切禁じます. 【最新情報の入手先】 最新バージョンは,ホームページ上で公開いたします.質問,要望,不具 合の報告等は,メールにてご連絡ください.   HomePage: http://www2b.biglobe.ne.jp/~denpoh/   E-mail: denpoh@mvi.biglobe.ne.jp 【更新履歴】 Version 1.1.5 (2023.11.08) - 計算領域外におけるVSC設定のバグ修正. Version 1.1.4 (2022.09.03) - 新機能 Virtual Solid Cell (VSC) の搭載. Version 1.1.3 (2017.01.22) - 精度向上のための小改良. Version 1.1.2 (2010.12.30) - Cell設定のチェックに関するバグの修正. - 内部自由度が0の場合,並進温度と内部温度の保存を省略. Version 1.1.1 (2010.12.13) - 不正な入力のセルにフォーカスを当てる機能の修正. Version 1.1.0 (2010.11.27) - 内部自由度の考慮. - 熱流束の計算機能の追加. Version 1.0.0 (2010.10.12) - 初版のリリース. ==================================================================== Copyright(C) 2007-2023 Kazuki Denpoh All Rights Reserved.