石田組コンサートツアー2026
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2026年5月30日(土)15:30 長岡市立劇場 大ホール
ソロ・ヴァイオリン:石田泰尚
第1ヴァイオリン:佐久間聡一、村井俊朗、第2ヴァイオリン:双紙正哉、田村昭博、森本安弘
ヴィオラ:加藤大輔、萩谷金太郎、古屋聡見、チェロ:奥泉貴圭、広田勇樹、大宮理人、コントラバス:米長幸一
 
ラヴェル(松岡あさひ編):亡き王女のためのパヴァーヌ
ホルスト:セントポール組曲 op.29-2
 第1曲 ジッグ
 第2曲 オスティナート
 第3曲 間奏曲
 第4曲 終曲
ラター:弦楽のための組曲
 T. A-Roving
 U. I Have a Bonnet Trimmed with Blue
 V. O Waly
 W. Dashing Away
ファリャ(松岡あさひ編):火祭りの踊り

(休憩20分)

バルトーク(ウィルナー編):ルーマニア民族舞曲
シルヴェストリ(松岡あさひ編):バック・トゥ・ザ・フューチャー
マクブルーム(松岡あさひ編):ローズ
レツド・ツェッペリン(松岡あさひ編):天国への階段
レツド・ツェッペリン(近藤和明編):カシミール
ディープ・パープル(近藤和明編):紫の炎

(アンコール)
ビゼー(松岡あさひ編):ファランドール
ディープパープル(松岡あさひ編):スモーク・オン・ザ・ウォーター
オアシス(松岡あさひ編):ホワット・エヴァー
 

 卓越した音楽性とともに超個性的なヴァイオリン奏者として絶大な人気を誇る石田泰尚さんにより、2014年に結成されて弦楽アンサンブルが石田組です。
 石田組は毎年全国で多数の公演を行っており、そのスケジュールの過密さは驚異的です。今年に入っても、すでに21回の公演を終えており、今回の長岡公演は22回目となり、これからも年末までびっしり予定が決まっています。公演ごとにプログラムに違いがあり、召集される組員の入れ替わりがありますが、石田さんは休みなしです。
 2024年11月には日本武道館公演を行い、今年の10月11日には大阪城ホールでの公演も予定されており、クラシック系では通常使用されない巨大会場を満席にする集客力には驚かされます。

 私は、石田さんの演奏は、ソロやいろいろなアンサンブルで何度か聴かせていただいていますが、石田組としての演奏は、2016年8月の演奏会以来、今回は10年ぶりになります。

 石田さんは神奈川フィルのソロコンサートマスター、京都市交響楽団の特別客演コンサートマスターを努め、ソロ活動のほか、YAMATO SQ やトリオ・リベルタ、三浦一馬五重奏団などのメンバーとしても活動しておられ、おそらく日本で一番演奏活動が忙しいヴァイオリン奏者ではないでしょうか。
 個人的には、5月4日に「俺のクラシック」と題して、りゅーとぴあで三浦一馬さんらとのアンサンブルでのコンサートを聴いたばかりで、4週間ぶりの石田さんとなります。

 石田さんは、これからも、6月10日には YAMATO SQ で長岡リリックホール、6月15日にはトリオ・リベルタでりゅーとぴあに来演しますし、10月17日には柏崎市文化会館で務川慧悟さんとのデュオ・リサイタルが予定されています。これほど新潟に来演している演奏家も珍しいのではないでしょうか。

 正直申し上げるなら、石田さんは5月4日に聴いたばかりですので、わざわざ長岡遠征することもないと思ったのですが、先行発売の文言に踊らされ、勢いでチケットを買ってしまい、後で後悔してしまったというのが実情です。何はともあれ、長岡市初開催の石田組の演奏会を楽しませていただこうと思います。

 今週は、天候がすぐれませんでしたが、昨日の昼から雨雲が去り、天候が回復しました。今日も朝から晴れ渡り、清々しい青空が広がりました。
 与えられたルーチンワークをこなし、昼前に家を出ました。いつものように国道116号線を南下して、大河津分水を渡って左折し、信濃川沿いを進んで与板経由で長岡入りしました。
 途中某所に寄り道をして、休息がてらに昼食をいただき、長生橋を渡って長岡市立劇場へと向かいました。早めに行ったつもりでしたが、駐車場はかなり混みあっていました。県外ナンバーも多数あり、びっくりしました。

 館内に入りますと、チケット完売と思いきや、若干の当日券の販売がありました。ちょうど開場が始まりましたので、私も入場して、ロビーでこの原稿を書きながら開演を待ちました。
 開演時間が近付いたところで席に着きました。今回は先行販売でチケットを買いましたが、中ほどのやや右寄りです。客席はほぼ満席で、熱気に包まれていました。県外からの追っかけも多数来られているようで、石田組のTシャツを着て気合を入れている人もいました。

 開演時間となり、拍手の中には組員が入場しました。左から第1ヴァイオリン2人、第2ヴァイオリン3人、チェロ3人、ヴィオラ3人、コントラバス1人です。チェロ以外は立奏です。

 遅れて、いつもの挙動で石田さんが登場して、1曲目は、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」です。石田さんのソロとともに演奏が始まりましたが、弦楽アンサンブルのソフトでふくよかなサウンドに驚きました。
 このホールには良い印象を持っていなかったのですが、響きはデッドではありますが、席がちょうど良かったのか、音量も十分であり、厚くて美しい弦楽アンサンブルの響きにうっとりしました。

 続いては、ホルストの「セントポール組曲」です。第1曲は、軽快で歯切れ良く演奏し、コントラバスの重低音の響きも美しく、このホールでこのような美しい音を聴けるとは意外でした。
 第2曲は、爽やかに、春風のように演奏し、第3曲は、哀愁を感じさせ、しっとりと歌いました。低弦のピチカートともに軽快にリズムを刻み、緩急のメリハリも鮮やかで、しっとりと終わりました。
 第4曲は、フーガのように第1ヴァイオリン→第2ヴァイオリン→ヴィオラとメロディが受け継がれ、軽快にリズムを刻んで、ウキウキ・ワクワクさせて、爽やかに終わりました。

 続いては、ラターの「弦楽のための組曲」です。第1曲は、軽快に、そして流麗に、淀みなく音楽が流れ出ました。明るく、高揚感とともに終わりました。
 第2曲は、爽やかに、優しく音楽が流れ出ました。透明感のある弦楽アンサンブルのサウンドが心地良く感じられました。
 第3曲は、ふくよかな弦楽アンサンブルとともに、ゆったりと、美しく石田さんのヴァイオリンが歌いました。チェロが歌い、大きなうねりが作られて、再びヴァイオリン・ソロがしっとりと歌い、優しさの中に終わりました。
 第4曲は、一転して軽快に、小気味良くリズムを刻みました。チェロが雄弁に歌い、歯切れ良く曲が終わりました。

 前半最後は、ファリャの「火祭りの踊り」です。ヴィオラが刻む不気味なサウンドとともにヴァイオリンソロがメロディを奏で、緩急・強弱のアクセントを大きく付けて演奏が進みました。ヴィオラが怪しげな雰囲気を醸し出し、編曲の良さもあって、ハッとさせる場面もあり、息もつかせず楽しませてくれました。激しさの中に切れの良い演奏で終わり、大きな感動と興奮をもたらして休憩に入りました。

 休憩時間が終わり、石田さんは他の組員と一緒に登場しました。後半最初は、バルトークの「ルーマニア民族舞曲」です。短く親しみやすいメロディが連続して演奏されるお馴染みの曲ですが、編曲の良さもあって、新鮮な気分で楽しめました。
 アクセントを大きくつけて演奏して始まり、コントラバスの響きが美しく感じられました。ヴァイオリンソロが、繊細に、せつなく、しっとりと響き、最後は軽快にリズムを刻んで熱量を上げ、スピード感とともに激しく終わり、興奮をもたらしました。

 石田さんが真っ先に退場し、遅れて他の組員が退場し、クラシックステージを終えて、後半の仕切り直しとなりました。

 メンバーが再登場し、石田さんにより挨拶があり、新潟市や三条市には来ているが長岡市は始めてであること、クラッシクステージを終えて、後半はロックをやるなどのお話しがありました。
 そしてメンバー紹介がありました。ヴァイオリンから順に、一人ずつ楽しく紹介があり、いじられたメンバーもあり、笑いを誘ったりもありました。

 石田さんが下がって、続いては組員によるトークコーナーとなりました。直前に石田さんから指示があるそうで、今日はヴィオラの3人が指名されたとのことでした。
 東京フィル団員の加藤さんがマイクを持ち、東京フィルと長岡市は事業提携しているため、毎年長岡市に来ていること、つい最近も室内楽のコンサートをして大盛況だったことなどを話され、長岡市での行きつけの店の紹介もあって会場を盛り上げてくれました。
 続いて、他のヴィオラメンバーのトークがあり、今後のサントリーホールやオペラシティでの石田組の公演の案内や、大阪城ホールでの公演の案内がありましたが、大阪城ホールに行く予定の人がいるかとの質問に、多くの人の手が挙がっていてびっくりしました。おそらく追っかけの人たちだと思いますが。

 トークコーナーが終わって、石田さんが登場。演奏場所は中央に移動し、ときどき後方に振り返って、他の組員に指示を出しながら、後半の演奏が行われました。

 最初はお馴染みの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。弦楽合奏ですので、ちょっと上品な仕上がりになっていて、新鮮な感覚でアンサンブルを楽しみました。

 続いては、「ローズ」です。美しいメロディを、しっとりと演奏し、胸が切なくなるような感情が沸き上がりました。弦楽アンサンブルの美しいサウンドにより、原曲の素晴らしさを知らしめてくれました、

 次は、「天国への階段」です。今ととなっては古典的な名曲といえますが、静かに始まり、しっとりと歌い、熱を高めて、最後は静かに終わり、しみじみとした感動を誘いました。

 続いては、「カシミール」です。エスニックなメロディで始まり、低弦が刻むリズムとともに、石田さんが雄弁に歌いました。編曲の良さもあって楽しめました。

 そして最後は、「紫の炎」です。激しく始まり、石田さんはメンバーに指示を出しながら演奏し、力強く刻み続けるリズムとともに熱く燃え上がり、最後を飾るに相応しい興奮をもたらして、予定のプログラムは終演となり、大きな拍手がホールを満たしました。

 拍手に応えて、アンコールにビゼーの「ファランドール」が演奏され、どんどんと音量とスピードを上げて、否応なく興奮させられました。

 拍手は鳴りやみませんでしたが、なかなか再登場せず、少しして組員は黒いTシャツ、石田さんはピンクの長い組長Tシャツに衣裳替えして、裸足で登場し、アンコールの2曲目に「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を激しいリズムとともに情熱的に演奏しました。各メンバーのソロも素晴らしく、ホールは興奮に満たされました。

 これでおしまいかと思ったのですが、鳴り止まない拍手に応えて、石田さんが黒いTシャツで登場して、もう1曲と話して、「ホワット・エヴァー」が演奏されました。
 途中からチェロの大宮さんが前に出てきて観客に手拍子を促し、ホールを埋めた聴衆全員で手拍子し、観客全員の心が一体となり、さらなる感動がホールを満たし、観客総立ちのスタンディングオベーションとなって、演奏会は終演となりました。

 いやいや、もの凄い演奏会でした。組員全員が卓越した演奏技術を有し、美しい弦楽アンサンブルを聴かせてくれました。この美しいアンサンブルに支えられて、クラシック以外の曲も聴き応えある演奏であり、音楽のジャンルを超えた感動をもらしてくれました。

 石田さんの演奏は、個人での演奏のほか、様々なアンサンブルでの演奏を聴いていますが、やはり石田組としての演奏が一番であることを実感しました。
 容姿や立ち居振る舞いだけを見れば、単なる色物的な演奏家と受け取られかねませんが、演奏は素晴らしく、組員とともに、弦楽アンサンブルとして一級品の演奏を聴かせてくれました。
 お得意のロック物も、編曲の素晴らしさもあって、芸術作品として仕上げられていて、聴き応えあるものでした。期待以上の感動と、大きな満足感をいただき、心も爽やかにホールを出て、新潟市への道を進みました。
  

(客席:14-37、S席:¥6600)