◎海軍省告示第１１号
　大正１０年召集スベキ海軍生徒ノ員数及志願者心得左ノ通定ム

■予定採用員数
海軍兵学校　　　二百八十五名
海軍機関学校　 百十名
海軍経理学校　 三十名

■志願者心得
1,　年齢
　明治三十四年八月二日（海軍経理学校生徒ハ明治三十三年八月二日）ヨリ明治三十八年九月一日迄ニ出生ノ者

２，学力
　 中学校第四学年修了者又ハ之ト同等以上ノ学力アル者

３，採用セザル者
　 イ　妻アル者
　 ロ　禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
　 ハ　復権ヲ得ザル家資分散者又ハ破産者
　 ニ　品行不正又ハ其ノ他ノ事情ニヨリ将来海軍高等武官タルノ対面ヲ保ツコト能ハズト認ムル者
　 ホ　身体
　　　　�@身長五尺ニ達セザル者
　　　　�A体重十二貫（十七年未満ニ在リテハ十一貫五百匁）ニ達セザル者
　　　　�B胸囲二尺五寸三分（十七年未満ニ在リテハ二尺四寸八分）ニ達セザル者及胸廓拡張一寸八分ニ達セザル者
　　　　�C肺活量二千八百立方糎ニ達セザル者
　　　　�D視力各１，０（万国式試視力表ニ依ル）ニ達セザル者（海軍経理学校生徒志願者ニ限リ各眼０，４以上ノ視力ニ達セザル者）
　　　　�E識色力異常ナル者
　　　　�F傷痍疾病畸形等ニシテ海軍軍人ノ服務ニ堪フル見込ナキ者等　　　　

４、学術試験
　　学術試験ハ中学校第四学年修了程度ニ於テ之ヲ行フ、其ノ試験科目及日割左ノ如シ
　　　　五月十二日　代数（負数、整数式、最大公約数、最小公倍数、分数式、方程式、冪法及開法、比例、級数）
　　　　同 　十三日　英文和訳、歴史（日本及東洋歴史、世界歴史中中維納列国会議神聖同盟、亜米利加諸国及希臘ノ独立迄）
　　　　同 　十四日　幾何（平面ノ部）、物理（物性、熱、運動及力）
　　　　同 　十五日　化学（化学総論及非金属ノ性質）、国語及漢文
　　　　同 　十六日　和文英訳及英文法、地理（日本、世界）
　　成績一科目タリトモ所定ノ規格ニ達セザル者ハ爾後試験ヲ継続セシメザルモノトス

５、志願校ノ選択
　　志願者ハ海軍兵学校、海軍機関学校及海軍経理学校ノ内一校ノミヲ志願シ又ハ二校若クハ三校ヲ連記志願スルコトヲ得
　　連記志願トハ其ノ記名校ノ何レニカ採用シ三校志願者ハ三校ノ内何レカニ採用スルモノトス、而シテ連記志願ノ場合ハ志
　　願順序ハ附セザルモノトス
　　志願票中志願セザル校名ハ×印ヲ以テ明瞭ニ抹消シ捺印（志願者）スルヲ要ス

６、志願校ノ変更
　　イ　志願者志願票ヲ差出シタル後ハ自己ノ都合ニヨリ志願校ヲ変更スルコトヲ得ズ
　　ロ　経理学校ト他ノ一校若ハ二校トヲ連記志願シタル者ニシテ身体検査ニ於テ経理学校ノミニ合格シタルトキハ以後経理学校
　　　　単校志願者トシテ取扱フモノトス